「50年後のボクたちは」 [映画]
〔2016年/ドイツ〕
14歳のマイクは、学校で「変わり者」を言われ、
クラス一の美少女・タチアナに片思いしながら、
声を掛ける事もできない。
そんなある日、ロシアから、
転校生・チチャチョフ(通称・チック)がやって来て、
隣同士の席になる。
チックは、マイク以上の変わり者で、
「ロシアンマフィアの息子ではないか」という噂が広がる。
タチアナは、自分の誕生日パーティに、
マイクとチック以外の、
クラスメイト全員を招待する。
タチアナへのプレゼントに、
彼女の似顔絵を用意していたマイクは、
大変なショックを受け、
家で泣いていると、
チックが、オンボロ車でやって来る。
どうやら盗んできたらしい。
パーティに乗り込んだ2人は、
タチアナに似顔絵を渡すと、
そのまま旅に出る・・・。
試写会で観た。
すごいよ、ドイツ。
すごいよ、ドイツ映画。
少年2人が、
車で旅するロードムービーなのだけれど、
・14歳が車の運転
・しかも盗んだ車
・しかも酒を飲み
・途中で出会った女の子と危うい雰囲気に
などなどの
エピソードが満載。
ヤクザが車に乗る場面でさえ、
シートベルトをしていないと苦情が入るという
今の日本では、
作るのは無理かも、と思ったりする。
しかも、この映画の原作は、
推薦図書的な扱いなのだそうだ。
このような内容の本を、
学校や親が薦めるって、
凄い事だ。
チラっと聞いた話なので、
間違っていたら申し訳ないのだけれど、
ドイツでは、
子供が成長してゆく過程で、
必要な場面なら、
不適切だと思われるシーンでも
何ら問題なく、表現できる決まりがあるとか。
映画が自由に作れる空気、
羨ましい。
実際、この映画、本当にいい。
14歳という、
人生で最も不安定で、微妙な時期に、
旅をして、
目覚めて、
日常に戻っていった時、
マイクが確実に成長しているという
過程が素晴らしい。
ラストのラストが、胸に詰まる。
書いていいんだろうか。
書きたい、
どーしても書きたい。
予告にもあるから、書いちゃう(笑)。
マイクと、チックと、
旅の途中で知り合った少女・イザの3人は、
岩場に座って語り合っている時、
約束をする。
「50年後の2066年の今日、またこの場所で会おう」と。
こういうのには、本当に弱い私。
私も誰かと約束してみたい。
「このまま、ここで会うのが最後になったとしても、
20年後に、この場所で会おう」と。
(50年後は生きていないだろうから(笑))
それから、今回の試写会で、
映画とともに、
めちゃくちゃ楽しみにしていた事がありました。
漫画家でコラムニストの、
辛酸なめ子さんのトークショーがあったのです。
私は辛酸なめ子さんの本を
殆ど読んでいると言っていいくらい、
彼女が大好きで、
なので、初めて生でそのお姿を見られるというのが、
もう嬉しくて嬉しくて。
もう一人のゲスト、映画評論家の森直人さんとのトークも面白く、
会場内は、笑いでいっぱいでした。
森さんが話された事の中で、
大きく肯いたのが、
「タチアナって、微妙じゃないですか?」
というお言葉。
私も全く同じ事を思ってた。
私は、それを、
「14歳くらいのあの時期は、女を見る目もまだ完成されてなくて、
だから、ああいう女の子が良く見えると言いたいのではないか」
と解釈したのですが、
違うのかな。
※この日のトークショーの写真が見つからなかったので、
別の映画イベントでのツーショット写真を載せてみました。
お二人はこんな感じで、語り合っておられました。
評価 ★★★★☆