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「幼な子われらに生まれ」 [映画]

osanagowareraniumare1.jpg
〔2017年/日本〕


信(浅野忠信)と奈苗(田中麗奈)は、
再婚同士の夫婦。
奈苗の連れ子の女児2人との
4人暮らし。


信は、元嫁(寺島しのぶ)が育てている実子と、
年に4回の面会が許されている。
信はその日を楽しみにしている。
しかし、奈苗はその事を、
快くは思っていない。


奈苗は、元夫(宮藤官九郎)から、
DVを受けた挙句、離婚した。
元夫の事など、
これっぽちも思い出さないし、
興味もない。


ところが、
奈苗が妊娠し、それを娘たちに告げたところ、
小6の長女が、
突然反抗的になり、
「本当の父親に会いたい」と言い出す・・・。





試写会で観た。


上映前に、
三島有紀子監督、浅野忠信さん、
田中麗奈さん、宮藤官九郎さん、
そして、子役の女の子たちの舞台挨拶。

osanagowareraniumare2.jpg

浅野さんは、とてもシャイで、
「俺はスターだぜ」みたいな驕った様子がまるで感じられない、
素敵なかただった。


田中麗奈さんは、映像で観るよりずっと綺麗。
黒いドレスがめっちゃ似合ってる。


宮藤官九郎さんは、いつも通り(笑)。
ビーサンのようなものを履いているのが可笑しい。
「クズ男の役ですけど、嫌いにならないでね」、と仰り、
笑いを誘う。


皆さんのお話によると、
リアルで自然な感じを出すために、
必ずしも脚本通りにセリフを言わなくてもいいし、
脚本にない動きをしてもいいという事で、
撮影が進められたそうだ。


で、感想。


「どうすりゃいいんだ」という言葉が何度も頭の中を去来する。
再婚同士の夫婦に子供ができた途端、
水面に石を投げたように、
広がる波紋。
特に、思春期に差し掛かった長女のショックは大きく、
その反抗っぷりには、
観ているこちらも戸惑い、
どう手を付けていいのか分からない。


長女にしてみたら、
母と、義父の間に子供が生まれてしまったら、
義父と血の繋がらない自分の存在はどうなるのか、
不安でいっぱいな気持ちなのだろう。
それも分からなくはない。


でも、反抗される義父にしたら、
たまったものではない。
「こんな家、嫌だ」
「あんたは私のお父さんじゃない」
「あんただって、実子と会ってるじゃん」
「部屋に鍵を付けて」などなど、
毎日、そんな言葉を浴びせられたら、
子供の言う事とはいえ、
次第に神経が擦り減っていっても仕方がない。


ところで、浅野忠信演じる、
この夫は、
妻が妊娠した事に戸惑い、
「堕胎」も選択肢の一つだと考えている。


なんだかなぁ。
なんか、勝手。
再婚同士の夫婦が、
子供について話し合う事はなかったのだろうか。
長女の反抗は想定外としても、
将来のビジョンも何も無いまま、
ただ情熱に任せて、だったのだろうか。
若いカップルじゃあるまいし。


それから、どうしても説得力に欠けるのが、
宮藤官九郎のキャラクター。


彼は自分のDVのせいで、
田中麗奈と離婚した過去があるわけだけど、


この手の話しで
一番怖いのは、
そういう男が、
ストーカー化する事じゃない?


でも彼は、
「自分は結婚はもう真っ平。
 婚姻中は、田中麗奈の存在が鬱陶しくてたまらなかった。
 だから彼女に嫌われる事なら何でもした」
と言う。


そんなキャラ設定だから、
彼の存在は脅威になるわけでもなく、
なんか拍子抜け。
結構いい人じゃん、と思える場面すらある。
現実の事は分からないけど、
これは映画なのだから、
もう少し、捻りがほしい所だ。


「田中麗奈が重い」という事だけど、
私から見たら、
普通の専業主婦。
特別、夫に依存しているようにも見えない。
鬱陶しいと言われるほどの事はしていない。


あと一歩、惜しい感じ・・・って、エラソーね(笑)。
おそらく、世間の評価は
高いんだろうなぁとは思う。
いい映画「っぽい」雰囲気。


もちろん、悪くはないです。
色々、考えさせられます。


評価 ★★★☆☆

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コメント 6

green_blue_sky

テーマが違っていたから、厳しい感想になるのでしょうね(^▽^;)
by green_blue_sky (2017-08-08 12:09) 

裏・市長

試写会にも行ってないワタクシから
言わせれば・・・。

宮藤官九郎、寺島しのぶさんのムダ使いちゃうか?。

物語の核心に絡んでこないなら、
別に誰が演っても一緒だし、
シルエットのみ登場、ボクがやってもよかった。
なぜかオファーがなかった。

再婚同士、子なし、子あり、
同じ再婚でも別れ方によっても、
事態は変わってくる。
死別はむずかしい。

若くして亡くなる方は美化されがちだ。

歌手でも俳優でも、早世の方は
必要以上に美化されている。
人間としてどうよ?というようなエピソードがあったり、
逮捕歴があっても皆、それに目をつむる。

最大の問題点は妻が妊娠した事に戸惑う夫やな。
これですべてがおかしくなってくる。

手放しで喜ぶ夫。喜ぶ妻。
だが、子どもたちの中に黒いものが渦巻いて…。

やがて赤ん坊が忽然と姿を消した…。

こっちのほうがスルリとサスペンスがあるんちゃう?。

そして現れる、風来の名探偵、裏田一しちょ介。
「また、大変な事件に巻き込まれてしまいました…」。

劇場映画にするにはスケール感が
足りない気がする。2時間ドラマで充分かも知れん。

ボクも再婚する時は気をつけよう。
…その前に離婚が先だな。
by 裏・市長 (2017-08-09 00:44) 

tommy88

拍子抜け
仰ること理解できます。
時代がヒトを薄っぺらにしていきます。
優しすぎてリアルがないのです。
マスコミの「問題」の焦点化が一律で、その悪影響があります。
世の中はもっとひどいのだけど、えぐみは消しています。
むかし、昭和20年代末の新聞を読みあさったことがあります。
ひどい事件だらけでしたが、それを表に出す力がありました昔は。
今はありません。
だから拍子抜けするような映画が生まれてくるのでしょう。
裏・市長さんが貴重な存在なのだと言える所以です。
と、裏・市長さんのファンとして記入致しました。

by tommy88 (2017-08-09 07:54) 

青山実花

green_blue_skyさん
コメントありがとうございます。

やはり、ちょっと甘いというか、
緩い感じなので、
現実はこんなものではないのでは?
と思わせるのでしょうね。

by 青山実花 (2017-08-10 22:26) 

青山実花

裏田一しちょ介さん
コメントありがとうございます。

本当にねぇ、
なぜ、この三島有紀子監督は、
裏田一さんに映画出演オファーしなかったんですかねぇ。
裏田一さんが宮藤官九郎さんの役を演じるなら、
私は田中麗奈さんの役をさせていただきましたのに。
裏田一さんから、DVされる役。

普段から、あれだけ嫌がらせの応酬をしておりますので、
お互い、演技経験ゼロでも、
素のままで、十分できると思いますの。
主役の浅野忠信の存在なんて、
吹っ飛ぶってなもんですわ。
私たちの演技なら、
全米を泣かせられる事、間違いありませんのに、
本当に、映画会社は見る目がありませんわね。

え?
裏田一さんは、探偵の役がなさりたいの?
赤ちゃん失踪事件の?

そうねぇ、
赤ちゃんは歩けないから、
自分から家出するわけないし、
絶対、登場人物の誰かが犯人ですわよねぇ。

でも、私は犯人役は嫌ですわ。
こんな清純派の私に、
赤ちゃん誘拐の犯人なんて似合いませんもの。
人にはイメージというものがございます。
これから女優として売り出そうとしている私が、
そんな役をしたら、
CMのオファーが来なくなってしまいますわ。

CMといえば、
裏田一さんは、映画「かぞくわり」のCMで、
ナレーションをご担当なさるそうですね。
初日舞台挨拶の際は、絶対新宿に来てくださいね。
「天使のいる図書館」同様、
必ず駆け付けますわ、花束持って。

by 青山実花 (2017-08-10 22:27) 

青山実花

tommy88さん
コメントありがとうございます。

どうも、この手の映画は、
優しくて、口当たりがよく、
何となく「分かるー」という雰囲気を出しやすいので、
いい映画「っぽく」感じるんですね。
現実には、宮藤官九郎さんのような人に、
現在の住所や勤め先などを知られたら、
押しかけられて、
金をせびられて、
暴力を振るわれて、
大変な事件になる気がします。
女から愛想尽かされるために、
「わざわざ嫌われる事をする」男がいるとしたら、
それは、ある意味、
めっちゃ優しい男だと思うんですが。

by 青山実花 (2017-08-10 22:28) 

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