「光をくれた人」

〔2016年/アメリカ・オーストラリア〕


1918年。
第一次世界大戦から帰還したトム（マイケル・ファスベンダー）は、
戦争に疲れ果て、
街から160キロ離れた灯台で、
たった一人、働く事を決める。


灯台に行く直前のトムと知り合い、
文通を始めたイザベル（アリシア・ヴィキャンデル）は、
次第に彼に心惹かれ、
結婚を決め、
灯台に移り住む。


幸せな生活だったが、
イザベルは2度流産。
悲しみのどん底に突き落とされる。
すると、そんな中、
浜辺にボートが流れ着く。
何とそこには、男性の遺体と、
元気な女の赤ちゃんが乗っているではないか。


トムとイザベルは、
赤ちゃんにルーシーと名付け、
自分たちの娘として育てる事を決意する。
「可愛い可愛いルーシー。
お前は私たちの子よ」。


ところが、イザベルの実家に帰った際、
トムは、偶然の事から、
ルーシーの本当の母親を知ってしまう・・・。





観ていて、
一体誰に感情移入していいのか、
本当に複雑な気持ちになる。


この映画の予備知識は、
「流れ着いたボートに乗っていた赤ちゃんを育てる、
　灯台守夫婦の話」
くらいしかなかったのだけれど、


トムとイザベルの出会いから、結婚までが、
とても丁寧に描かれていて、
2人に好感が持てたし、
さらに、イザベルの、2度の流産というのが、
流れ着いた赤ちゃんを、自分の子として育てるという、
本来なら、してはいけない事を、
「仕方ないのでは」と、
観客に思わせる事に成功している。


女が流産をして、
悲しみに打ちひしがれている時に、
身元不明の、可愛い赤ちゃんが流れ着いたら、
その子を、神様からのプレゼントのように感じてしまっても、
それは仕方ない気がする。
私はイザベルを責める事なんてできない。


赤ちゃんが、意図的に捨てられたとか、
父親も、母親も、亡くなっていたのだったら、
どんなに良かっただろう。
けれど、赤ちゃんの母は母で、
ボートで流された夫と子供を探している。
彼女たち夫婦にも、
結婚に行き着くまでの、
美しく、哀しい物語があり、
子供は、その愛の結晶だ。


あぁ、もう、どうすりゃいいんだ。


ラスト、
号泣というほどではなかったけど、
やはり、少し泣いてしまった。


それから、本筋とは全然関係ないけど、
街から160キロも離れた灯台での、
トムとイザベルの新婚時代の、
「2人きり感」が凄い(笑)。


恋人同士が、
2人で部屋にいる時などに、
「今、私たちは、この世界に2人だけね」なーんて、
甘い言葉を囁いたりするのはよくある事だけど、
当然、外に出れば、
通行人もいるし、車も走ってる。


でも、この映画の場合、
外に出ても、誰もいないのよ。
本当に2人しかいないのよ(笑)。


羨ましいんだか、
羨ましくないんだか、
よく分からない環境だった(笑)。


評価　★★★★☆

コメント 4

どうなるのだろうと気になりますが、悲しい映画になりそう？？
by green_blue_sky (2017-06-20 18:47) 

そんなん本当の母親が出てきて、
捨てたんじゃなくて、ずっと探していたなら、
元のいるべき場所に帰さないとしゃあないやんけ。
ルーシー。

ただ、この2人っきりウフフ・・・な、
灯台守夫婦がどれぐらいの期間、
ルーシーを育てていたかによっても、
意見は変わってくると思う。

2か月ぐらいなら、ふ～ん、帰してやったら？。
ってな軽いカンジになるけれど、
5年も10年も育てて、
子供も自分たちを親だと認識していた場合。

それはちょっと厳しいな・・・。


昭和時代って、産院でよく赤ちゃんの
取り違え、入れ違いみたいな事件が起こったのよ。
学校に行くようになってから、血液検査して
判明したとか。

最近は管理が厳しくなったから、あまり聞かないけど、
病院の中でなら、看護師のストレス解消に、
出来なくも…ないで。

シャッフル！とか言って、一斉に5～6人入れ替えても、
生まれたてなんかみんな、シワクチャのエテ公だから、
わからんで。

ボクだって、ひょっとしたら皇族…もしくは、
財閥の御曹司だったかも知れない。
早くその事実が判明して、本当の家族が、
王女様が白い犬ぞりで迎えにきてくれる日を
夢見ているのだが、昨日はまだ来なかった。

いつ頃来るのだろう。
できれば早めに予定を知らせて欲しいもんだ。
12時53分新大阪とか。
by 裏・市長 (2017-06-22 04:02) 

green_blue_skyさん
コメントありがとうございます。

悲しいというか・・・
じわじわと涙が出る感じなんです。
↑よく分かりませんよね＾＾；

by 青山実花 (2017-06-26 00:14) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

それが、
ルーシーは4・5歳まで、
イザベルに育てられたので、
本当の母の元に連れて行かれて、
本名である「グレース」と呼ばれても、
「グレースじゃないもん！ルーシーだもん！」と
言って泣くくらいで。
そして、本当の母に懐かず、
イザベルを求めて・・・。
だから、余計に困ってしまうんです・・・。


確かに昔は、
DNA検査など無いですから、
性別と血液型さえ合っていれば、
看護師さんが、遊びでシャッフルしても、
分かりませんわね。

大きくなって、
自分と似ても似つかなくて、
「私の子なのに、こんなに馬鹿なはずがない」とか、
「私の子なのに、こんなに不細工なはずがない」とか
思っても、後の祭りですわ。
赤ちゃんが生まれたらすぐに、
目印となるタトゥーを入れておいた方が
いいかもしれませんわね。

え？
裏・市長さんの背中にも、
皇族の印となるタトゥーがありますの？
皇族の印は、確か菊の紋様でしたわよ。
見せてごらんなさい。
・・・あ、これは違います、
菊ではなく、アルプスの少女ハイジですわ。
裏・市長さんは、
御所河原組長の家系だと思われますわ。
いえいえ、組のお坊ちゃまを新大阪まで行かせるなんて
できません。
ご自宅で待機していてくだされば、
迎えの車を回します。

by 青山実花 (2017-06-26 00:14)