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「女の一生」 [映画]

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〔1962年/日本〕


明治時代。
16歳の布引けい(京マチ子)は、両親を亡くし、
叔父の家でやっかいになっていたが、
邪魔者扱いされた挙句、追い出される。


夜道を彷徨っているうちに、
金持ちの堤家の、
明かりと、賑やかな人の声に惹かれ、
フラフラと庭に入ってしまったけいは、
次男の栄二(田宮二郎)に声を掛けられ、
そのまま、堤家で暮らす事になる。


けいの頭の良さを見込んだ、
女当主・しず(東山千栄子)は、
けいと、長男の伸太郎(高橋昌也)を結婚させて、
家業の堤商事を継いでほしい願う。
けいは、栄二と愛し合っていたが、
恩のあるしずに逆らう事はできず、それを了承する。


伸太郎との間に女の子が生まれるも、
もともと伸太郎を愛していないけいは、
仕事に没頭、
会社は大きく成長するが・・・。





現在、新宿の角川シネマで開催されている、
「溝口健二&増村保造 映画祭」。
企画を知った時は、
嬉しくて、ウキウキしたけれど、
上映作品42本中、
未見なのは、4本しかなかった。
そのうち、レンタル店にないのが2本。


過去に観た作品をもう一度観るのも映画の醍醐味だけど、
それはもっと年を取った時の楽しみにとっておきたい。
今はまだ、一本でも多く未見の映画を観たい。


というわけで、観にいったのが、
2本中の1本である、
この、「女の一生」。


「女の一生」というタイトルの映画を検索してみると、
少なくとも7本の作品がある事が分かった。
洋画2本に、邦画5本。
どれも、同じ内容というわけではないらしい。
世間は、「女の一生」をそんなに描きたいのか?
「男の一生」は描かなくていいのか?(笑)。


で、この映画。
京マチ子が、16歳から58歳までを演じるという、
いわゆる大河ドラマのような作り。


孤児だった京さんが、
大きな会社を経営する堤家の嫁になって、
ダメダメな堤家の子供たちを差し置いて、
一番偉くなってしまうというのだから、
ある意味、大映らしい展開。


なにせ、堤家の子供たちは、
中年になっても、
京さんから生活費をもらっているという有り様で、
誰の会社なんだか分かりゃしない。
そのくせ、京さんに不満ばかり言っている。


一人の人間が、
あまりに出来過ぎると、
他の者は、頼り過ぎて、
腑抜けのようになってしまうという、
いい例なのかもしれない。


増村保造監督らしく、
全員の演技が大仰な上に、
話がどんどん進む。
気が付くと、子供は大人になり、
主要人物たちは老けている。


田宮二郎さんの老けメイクには、
感慨無量。
彼が生きていたら、
あんな風な、イケメンのおじいさんになっていたんだろうなぁと思うと、
若くして亡くなったのが本当に惜しい。


それから、
もう、まったく話が逸れるけど、
「男の一生」という映画はないのかと
検索してみたら、
「或る男の一生」というタイトルが出てきた。


で、よく見てみると、この「或る男~」、
原題が、
「THE GREAT GATSBY」。
「華麗なるギャツビー」ではないか。


「華麗なる~」が、
ロバート・レッドフォードやプリオの前にも、
映画化されているとは、
初めて知った。
うー、観たい観たい観たい!


で、さらに調べていくと、
なんという事だ。
この映画、
「著名な“ロストフィルム”の一例」として知られているという。


ショック。
観たいのに、永遠に観る事ができない映画。
残念すぎる。


京マチ子さんの「女の一生」から、
思わぬ流れに発展してしまった。


評価 ★★★☆☆





追記


リクエストがありましたので、
増村保造監督の作品のリストを載せました。


(★は観た作品)
(先日、未見作10本と書いたあと1本観ましたので、残り8本です)
(「暖流」は、今回の映画祭で上映されます)


★くちづけ(1957年)
★青空娘(1957年)
 暖流(1957年)
★氷壁(1958年)
★巨人と玩具(1958年)
★不敵な男(1958年)
★親不孝通り(1958年)
★最高殊勲夫人(1959年)
★氾濫(1959年)
★美貌に罪あり(1959年)
★闇を横切れ(1959年)
★女経 第一話 耳を噛みたがる女(1960年)
★からっ風野郎(1960年)
★足にさわった女(1960年)
★偽大学生(1960年)
 恋にいのちを(1961年)
★好色一代男(1961年)
★妻は告白する(1961年)
★うるさい妹たち(1961年)
★爛(1962年)
★黒の試走車(1962年)
★女の一生(1962年)
★黒の報告書(1963年)
 嘘(オムニバス・第1話プレイガール)(1963年)
 ぐれん隊純情派(1963年)
 現代インチキ物語 騙し屋(1964年)
★女の小箱より 夫が見た(1964年)
★卍(1964年)
★黒の超特急(1964年)
★兵隊やくざ(1965年)
★清作の妻(1965年)
★刺青(1966年)
★陸軍中野学校(1966年)
★赤い天使(1966年)
★妻二人(1967年)
★痴人の愛(1967年)
★華岡青洲の妻(1967年)
★大悪党(1968年)
★セックス・チェック 第二の性(1968年)
★積木の箱(1968年)
★濡れた二人(1968年)
★盲獣(1969年)
★千羽鶴(1969年)
★女体(1969年)
★でんきくらげ(1970年)
 やくざ絶唱(1970年)
★しびれくらげ(1970年)
★遊び(1971年)
★新兵隊やくざ 火線(1972年)
★音楽(1972年)
 御用牙 かみそり半蔵地獄責め(1973年)
★悪名 縄張荒らし(1974年)
★動脈列島(1975年)
★大地の子守歌(1976年)
★曽根崎心中(1978年)
 エデンの園 Il giardino dell'Eden(1980年)
★この子の七つのお祝いに(1982年)

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コメント 14

tommy88

男の一生なんて描いても面白くありません。
男と一般化された男は、男も興味を持ちません。
基本的に、男をせくすぃーだと思うこともしません。
しかし男は、女の一生には興味を持つものですよ。
あなたの一生ではなく、キミの一生でもなく、女の一生。
男にとって、一般化しなくては、女は理解不能だからでしょうか。
頭が上がらないと、素直には言えないし。
開拓者ぶって、男は教科書が欲しいのだと思います。

by tommy88 (2017-01-09 13:03) 

green_blue_sky

映画ではなく、ドラマで見たような記憶が。。。
小さいころの記憶で曖昧(^_^;)
by green_blue_sky (2017-01-09 18:30) 

Mitch

ロストフィルムとは残念ですね。
そんなこともあるんですね。
by Mitch (2017-01-09 18:40) 

hatumi30331

田宮二郎、若いね!^^

有名所まで行けなかったけど・・・・
えべっさん行って来ました!^^
明日の記事で・・・^^
by hatumi30331 (2017-01-09 20:09) 

lamer

お正月は映画と娯楽は決まっていました。
昔のことです。
夜通し見ていますた。
映画は映画の世界がありました。
理屈抜きで楽しめればいい。
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
by lamer (2017-01-09 22:34) 

裏・市長

男から言わせてもらうと、
「男の一生」なんてどーでもエエねん。

映画監督には男が多くて、
どっちかーつーと、やっぱ女優撮りたいじゃん?。
「女の一生」が多いのは
それも一因ではないでしょうか?。


観たいけれど、観られない。
その原因が「フィルムがすでにない」。

そう特定されていれば、あきらめもつくけれど、
フィルムはあります。
あるんだけれど、公開できません。
あきらめてください。

そんな映画もある。
ボクにとっては、
中村敦夫さん主演の「夕映えに明日は消えた」。
コレや。

作品は完成し、ポスターも作られ、
主題歌のレコードまで発売されながら、
正式な劇場公開がされなかった…。なぜだ!。

20年ぐらい前にこの作品の存在を知り、
ずっと観たいと思っている。
ラストシーンで田んぼに逆さに突き刺さって
死んでいる中村敦夫の姿が観たい・・・。


ところでお願いがございます。
増村保造監督未見作、残すところ9本かと
思うのですが、
それを「若尾文子シリーズ」のように
リスト化してはくれまいか。

非常に面倒くさい作業とは思いますが、
残り9本て何?と思っています。

急ぐハナシではありません。

もぉ~ヒマでヒマで仕方なくて、
しょうがねぇなぁ~ヒマつぶしに大和高田でも
のぞきに行くか…いや、
まだオレ、神戸行ったことねぇんだよ。
そっちのほうが先か。

その神戸に向かう道中で結構ですのでご一考ください。


by 裏・市長 (2017-01-09 22:34) 

裏・市長

仕事早っ!。

いやぁ、もう王手やないの!。
あと蜂のひと刺しやな。がんばれ~。

さぁてさて、次はどんな無理難題を
リクエストしてやろうかな。ヌフフフフ…。 ルパン。
by 裏・市長 (2017-01-10 08:47) 

青山実花

tommy88さん
コメントありがとうございます

男の一生には
ドラマティックな事は起きないという
前提があるからでしょうか。
それとも、
男を主人公にした映画や物語は多いので
わざわざ、
「男の一生」などとタイトルを付けなくても
いいのでしょうか。
女は理解不能ですか。
女からしたら、女なんて分かり易いものです。
スマスマでのコント、「計算マコちゃん」みたいなものです。
女のいやらしさ、女の計算高さを、
女のギャラリーはすぐ見抜きます。
by 青山実花 (2017-01-10 20:38) 

青山実花

green_blue_skyさん
コメントありがとうございます

確かに、この映画と同じ作品が、
ドラマでも放映されていたようですね。
大変な記憶力だと思います。

by 青山実花 (2017-01-10 20:40) 

青山実花

Mitchさん
コメントありがとうございます

火事や戦争や映画会社の倒産で、
フィルムが失われてしまった映画は
3500本もあるそうです。
なんという事でしょう。
残念でたまりません。
by 青山実花 (2017-01-10 20:48) 

青山実花

hatumi30331さん
コメントありがとうございます

田宮さん、学ラン着てますものね。
(似合ってないけど(笑))

えべっさんは話は以前よく聞きました。
たしか曜日に関係なく
10日に行われるとか・・・
by 青山実花 (2017-01-10 20:50) 

青山実花

lamerさん
コメントありがとうございます

映画全盛の事は、
皆さん、本当に上映を楽しみにしていたと
聞いた事があります。
私はその頃の日本を
とても羨ましく思ったりしています。

こちらこそ、
今年もよろしくお願いします。

by 青山実花 (2017-01-10 20:52) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます

ったく、どいつもこいつも・・・
・・・と言いたい所ですが、
いつもイケメンを見て騒いでいる身としては、
あまり強い事も言えず・・・(笑)。


確かに、ロストフィルムなら諦めもつきますが、
存在するのに観られないのは辛いですね。

「夕映えに明日は消えた」は
存じ上げませんでした。
なんですか、その、中村敦夫さんの佐清は(笑)。

そう言われると、私もとても観たくなります。
どうやら、昭和52年に高知で、
昭和54年に京都で、上映されているようですので、
今後観られる可能性もゼロではないかもしれません。

もし、どこかで上映されると知った時は、
コメント欄から、必ずお知らせいたします。


裏・市長さんのリクエスト通り、
増村監督の映画を載せました。

ちょうど良かったです。
リクエストされた時、ちょうど、
ヒマでヒマで仕方がなかったので(笑)。

別に面倒臭い事はありません。
わざわざ作ったわけではなく、
エクセルで表にして保存してあったものを
貼り付けただけなので。
(普段から、エクセルをフル活用しています(笑))。

あと残り8本、
なんとか観られるといいなぁと思っています。


裏・市長さんは神戸に行かれた事がないのですか。
私でさえ、行った事があるというのに。
今度、ご案内しましょうか・・・
・・・というのは、嘘です。
20年前に一度行っただけです(笑)。

では、今から神戸に向かいますので、
新神戸駅で待っていて下さい。
詳細は4通目の年賀状で(笑)。

by 青山実花 (2017-01-10 22:12) 

青山実花

ルパンさん(笑)
コメントありがとうございます。

あ~ら、ルパン、
ルパンのお願いなら、
私、な~んでも聞いてあげちゃってよ。

私のお願いも聞いてくれるわね、ルパン。
私を南米に連れて行ってほしいの~。
南米に行くのは一生の夢なんですもの~。
叶えてくれるわよね、ル・パ・ン♪
                      峰不二子

by 青山実花 (2017-01-10 22:33) 

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