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「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」 [映画]

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〔1975年/日本〕


「雨月物語」、「山椒大夫」などの名作を撮った、
巨匠・溝口健二監督の人生を辿った、
ドキュメンタリー映画。
新藤兼人さんが、監督とインタビュアーを兼任されている。


私は映画は好きだけれど、
ストーリーを追うのが精いっぱいで、
監督さんを語ることなどは出来ない。


でも溝口監督の映画は、それなりに観ていると思うし、
今まで観てきた作品は、どれもとても面白いと感じた。


「残菊物語」
「近松物語」
「赤線地帯」
この3本などは特に好き。
こうして書いてみると、
漢字4文字の作品が多いね(笑)。


で、この映画、
私は溝口監督より、
インタビューを受けている皆様に驚いて、
一人で
「あっ!」とか「うわー!」とか言いっぱなし。


一番嬉しかったのは、
小沢栄太郎さん。
私が知っている小沢さんは、いつも悪役で、
例えば、映画「妻は告白する」での夫役は、
観ているこちらが殺意を覚えるほど、嫌な奴だ。
この人、普段はどんな人間なんだろう、
役と同じに憎らしいんだろうか、と、
ずっと気になっていたのだけれど、


ビックリ!
なんてなんて素敵!
素でお話になる、優しそうな笑顔は、
「殺意」なんて言葉は無縁な穏やかさ。
ホッとするくらい嬉しい。


それから、増村保造監督。
数々の傑作を撮られてきた、名監督。
増村さんの映画は、相当観ているけれど、
殆ど外れがなく、
どれも大好き。
特に若尾文子さんを主演に据えた映画は素晴らしい。
お話しされるお姿を見られて感激。


永田雅一さんのお姿は、
俳優さんや監督さんを見るのとは、
また全然違った感慨。


永田さんは私の中で伝説の人だ。
大映のワンマン社長として君臨し、
数々の名作を世に出してきた。
今まで写真でしか見た事がなかったので、
素でお話なさる姿を見られるとは、
大感激。
そのお話の仕方はイメージ通り(笑)。


川口松太郎さんにも身を乗り出して見てしまう。
これが川口浩様のお父様か、と思うと、
浩様の嫁にでもなった気分でドキドキする。
いい年して、馬鹿だ、自分(笑)。


最近はあまり表に出てこられない京マチ子さん。
やっぱり素敵すぎ。


既に亡くなられている、
田中絹代さん、
浦辺粂子さん、
山田五十鈴さん、
入江たか子さん、
乙羽信子さんなどの
お元気そうなお姿も見られる。


なんて貴重なフィルムなんだろう。
あっと言う間の2時間半だった。


評価 ★★★☆☆





この作品で、
若尾文子さんの出演映画、160本中113本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★春の雪 (2005)
★竹取物語 (1987)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
 幻の殺意 (1971)
★男はつらいよ 純情篇 (1971)
★スパルタ教育 くたばれ親父 (1970)
 座頭市と用心棒 (1970)
★天狗党 (1969)
★千羽鶴 (1969)
★濡れた二人 (1968)
★積木の箱 (1968)
★不信のとき (1968)
★鉄砲伝来記 (1968)
★華岡青洲の妻 (1967)
★砂糖菓子が壊れるとき (1967)
★妻二人 (1967)
★夜の罠 (1967)
★雪の喪章 (1967)
 処女受胎 (1966)
★赤い天使 (1966)
★雁 (1966)
★氷点 (1966)
★処女が見た (1966)
★刺青 (1966)
★妻の日の愛のかたみに (1965)
★不倫 (1965)
★清作の妻 (1965)
★帯をとく夏子 (1965)
 女めくら物語 (1965)
★波影 (1965)
★花実のない森 (1965)
 幸せなら手をたたこう (1964)
 悶え (1964)
★卍(まんじ) (1964)
★獣の戯れ (1964)
★傷だらけの山河 (1964)
★「女の小箱」より 夫が見た (1964)
★温泉女医 (1964)
★新・忍びの者 (1963)
★越前竹人形 (1963)
 女が愛して憎むとき (1963)
★わたしを深く埋めて (1963)
★女系家族 (1963)
 八月生れの女 (1963)
★雪之丞変化 (1963)
★しとやかな獣 (1962)
★秦・始皇帝 (1962)
★瘋癲老人日記 (1962)
★その夜は忘れない (1962)
★やっちゃ場の女 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★閉店時間 (1962)
★爛(ただれ) (1962)
★雁の寺 (1962)
★家庭の事情 (1962)
★妻は告白する (1961)
★新源氏物語 (1961)
★銀座のぼんぼん (1961)
★女は二度生まれる (1961)
★女の勲章 (1961)
★東京おにぎり娘 (1961)
★好色一代男 (1961)
★お嬢さん (1961)
★婚期 (1961)
★花くらべ狸道中 (1961)
★銀座っ子物語 (1961)
 素敵な野郎(1961)
 鎮花祭 (1960)
★偽大学生 (1960)
★安珍と清姫 (1960)
★勝利と敗北 (1960)
★ぼんち (1960)
★からっ風野郎 (1960)
★女は抵抗する (1960)
★女経(じょきょう) (1960)
★初春狸御殿 (1959)
★浮草 (1959)
 実は熟したり (1959)
★美貌に罪あり (1959)
 花の大障碍 (1959)
 次郎長富士 (1959)
★氾濫 (1959)
★山田長政 王者の剣 (1959)
★薔薇の木にバラの花咲く (1959)
★最高殊勲夫人 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
 新婚七つの楽しみ(1959)
★母(1958)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
 嵐の講道館(1958)
★一粒の麦 (1958)
★息子の結婚 (1958)
★口笛を吹く渡り鳥 (1958)
 愛河 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
 螢火 (1958)
 東京の瞳 (1958)
 妻こそわが命(1958)
★青空娘 (1957)
★夕凪 (1957)
★誘惑からの脱出 (1957)
★永すぎた春 (1957)
★朱雀門 (1957)
 慕情の河 (1957)
 続銀河の都 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
 銀河の都 (1957)
 君を愛す (1956)
★四十八歳の抵抗 (1956)
★日本橋 (1956)
★涙 (1956)
 スタジオは大騒ぎ (1956)
 あさ潮ゆう潮 (1956)
★滝の白糸 (1956)
★処刑の部屋 (1956)
★新婚日記 恥ずかしい夢(1956)
★新婚日記 嬉しい朝(1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新妻の寝ごと (1956)
★花嫁のため息 (1956)
 薔薇の絋道館 (1956)
★弾痕街 (1955)
 七人の兄いもうと (1955)
★珠はくだけず (1955)
★長崎の夜 (1955)
★幻の馬 (1955)
 娘の縁談 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
★月に飛ぶ雁 (1955)
 幸福を配達する娘 (1955)
★螢の光 (1955)
 勝敗(1954)
 荒城の月 (1954)
★月よりの使者 (1954)
 緑の仲間 (1954)
★浅草の夜 (1954)
 慕情 (1954)
★舞妓物語 (1954)
★酔いどれ二刀流 (1954)
 或る女 (1954)
★心の日月 (1954)
 十代の誘惑 (1953)
 無法者 (1953)
 続続十代の性典 (1953)
 春雪の門 (1953)
★祇園囃子 (1953)
 続十代の性典 (1953)
 チャタレー夫人は日本にもいた (1953)
 怒れ三平 (1953)
★十代の性典 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
 街の小天狗 (1952)
 秘密 (1952)
 明日は日曜日 (1952)
 花嫁花婿チャンバラ節(1952)
★母子鶴 (1952)
 猛獣使いの少女 (1952)
★死の街を脱れて (1952)

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yonta

「祇園の姉妹」、「浪華悲歌」を観たときに同じタイミングで観ました。
数年前で詳細は憶えていないのですが、インパクトが強かったのは、
浦辺さんの「健ちゃんが切られた~」っていうくだり。
(ありましたよね?記憶違いだったら怖い^^;)

溝口監督作も増村監督作も多くは観ていませんが、
独特のパワーを感じる作品が多くて、おもしろいです。
「赤線地帯」、観たいのにずっと先延ばしにしていましたが、
青山さんがお好きなら、やっぱり観てみます(^^♪
by yonta (2016-11-26 07:23) 

きよたん

新藤監督俳優さんもインタビューしてるんですね
演技とは違った素の自分も出て意外な一面が見えるんですね
ファンにはたまらないですよね
by きよたん (2016-11-26 10:09) 

裏・市長

小沢栄太郎て!。

小沢栄太郎て!!。

小沢栄太郎て!!!!。

青山さん、生まれる時代、間違えたやろ。
多分、この日、小沢栄太郎についてブログ記事を
書いたのは地球でただひとりだと思われる。


映画ってやはり、誰が主演か?で観てしまうと思うねん。
監督とか脚本で観る人って極少数やと思うねん。

最近でこそ、裏方にスポットが当たるような雰囲気に
なってますが、1975年当時というのがスゴイ。

近年は「ゴジラ」など一部の作品は、
照明さんやら、光線の合成した人まで
取り上げられたりしてて驚く。

制作から50年以上経って、
さすがに語り尽くされてしもうたのもあると思うけど・・・。

あまり表に出ない人の功績を紹介する、
讃える映像・証言が記録として残されているのは
実に貴重だと思われます


「若尾文子さんの出演映画、160本中113本を観た事となりました」。

おぉ!スゴイね!。

普段のボクならば、
完全制覇できたら、
その暁にはお祝いに
高級住宅街に家、買うたるわ!とか、
クルマ買うたるわ!ハンドルは右か左か?、
前か?後ろか?とか、
バラ100本の花束、まこさんとこで買うて、
プロポーズしに行くわ!とか軽々しくクチにするのだが、
このお方は実現させそうで怖ろしくて怖ろしく、
絶対に・・・言うもんか!。

by 裏・市長 (2016-11-26 20:33) 

青山実花

yontaさん
コメントありがとうございます

「健ちゃんが切られた~」って、
浦辺さん、確かに言っています。
女性に切り付けられるなんて、
溝口監督も、相当にすったもんだあったのでしょうね^^;
もちろん、それが悪い事とは全く思いません。
すったもんだなく一生を終えるより、
いいかもしれません^^;

「赤線地帯」も俗っぽくていいですが、
「近松物語」は観られておられるでしょうか。
こちらはもう少し格調高くて、
でもとっても面白いのです。
もしyontaさんが未見なら、
ぜひ観てほしい1本です^^

by 青山実花 (2016-11-27 20:00) 

青山実花

きよたんさん
コメントありがとうございます

新藤兼人監督は「讃歌」という映画でも、
インタビュアーの役をされています。
結構出たがりなのかな?(笑)

演技でしか見た事のない俳優さんが、
素でお話されていると、
見入ってしまいますよね。
最近では、テレビなんかでも。

by 青山実花 (2016-11-27 20:00) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます

裏・市長さんは、小沢栄太郎さんに興味ありませんか?
暴力で人を追い詰めるのではなく、
心で追い詰めるタイプの悪役。
素の小沢さんがいい人で本当に良かった^^;

確かに、映画で主にスポットライトが当たるのは、
主演した俳優さんで、
次が助演した俳優さん、
そして、少しマニアの方になると、
セリフが一つしかない俳優さんなどに注目するのでしょうが、

監督に注目して、全制覇を目指すのも、
面白いかもしれませんね。
私だったら、差し詰め、
増村保造監督でしょうか。
といっても、もう殆ど観ている気もしますが、
残っているあと少しを頑張ってみようかな(笑)。


> 完全制覇できたら、
> その暁にはお祝いに

さすが、裏・市長さん、
映画を制覇したくらいで、
数々のプレゼントをくださるとは、
太っ腹な上に男らしい。
実現した暁には、ぜひ約束を果たしてくださいますよう、
心からお待ち申し上げておりますわ。

とは言え、
若尾さんの未見の映画ソフトを
どうやって調達するかが問題でございます。
未見の作品の殆どは、フィルムが存在するのかさえ分からず、
私に残された時間では、制覇できない可能性の方が高いと
思われるのでございます。
あぁ、本当に残念。
「約束はいらないわ、果たされない事など大嫌いなの」
てな気分でございます。
by 青山実花 (2016-11-27 20:01) 

青山実花

サンフランシスコ人さん
コメントありがとうございます。

スペインの方に、
「祇園囃子」のような
日本の風俗はどう見えるのでしょうか^^
by 青山実花 (2019-12-28 08:54) 

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