「伊豆の踊子」

〔1964年/日本〕


伊豆を当てもなく旅する一高生・川崎（黒沢年男）は、
途中で旅芸人の一座と行き合う。


峠の茶屋で一行と再会した川崎は、
彼らと一緒に旅する事にする。


一座の最年少の踊子・薫（内藤洋子）は愛らしく、
川崎が思っている以上に無垢で、穢れなく、
荒んでいた川崎の心は慰められる。


川崎と薫は次第に馴染んでゆき、
薫は、映画に連れていってほしいと、
川崎にせがむまでになっていったが、
薫の義母は、
それを阻止する。


川崎が東京へ帰る日、
薫は見送りにくるが、
多くは語らず、
川崎はいつまでも船上で涙を流すしかなかった・・・。





内藤洋子版の「伊豆の踊子」。


原作者の川端康成さんは、
「今までのどの『伊豆の踊子』より、素晴らしかった」と
感想を述べられたそうだ。


その後、作られたのは、
山口百恵版だけだけど、
川端さんは、公開の2年前に亡くなっている。
もし生きておられたら、
百恵版についてなんと仰るか、気になるところだ。


別に川端さんが褒めたから、というわけじゃないけど、
この内藤版、
この間観た美空ひばり版より、
何倍もよく出来ていると思った。


一座の人間関係も、
原作通りに描かれているし、
雇いの踊子・百合子も、
脇に徹している。


なにより、私が一番こだわる、
「映画に行けなくて、泣く踊子」の場面が、
きちんと表現されているのがいい。


分かるよ。
映画、行きたかったよね。
あんなに楽しみにして、
何度も何度も、約束していたのにね。


ただ、行かせなかった義母の気持ちも、
やっぱり分かる。
いくら好きになっても、
東京の学生とでは、
所詮、実らぬ恋。
深入りする前に、
周囲の大人が手を打たなくては、という親心は、
当然といえば、当然なのよね。


内藤洋子の、
おきゃんな顔立ちも、
踊子の雰囲気に合っていると思う。
美人すぎず、地味すぎず、
ちょうどいい感じ。


黒沢年男はちょっと濃すぎだけど、
まぁ、悪くはない。


評価　★★★☆☆

コメント 8

伊豆の踊り子、内藤洋子のは、見た事ある気がする。

オフ会では友が島に渡れると思います。
お楽しみに。＾＾

by hatumi30331 (2016-05-07 20:50) 

こんにちは～
＞所詮、実らぬ恋。深入りする前に、
＞周囲の大人が手を打たなくては、という親心

難しいですよね。転ぶ前に石を取り除く。
正しいかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

若いころの恋は、一生の思い出になるので、
行かせた方が言いような気もしますが。
by don (2016-05-08 12:02) 

伊豆の踊子は内藤洋子のイメージが私は強いです
by きよたん (2016-05-08 13:30) 

ゲ！黒沢年男さん版、ビデオ出てたんや！。
時には娼婦のように驚くわ！。

マイト、悪くはないけどやっぱり「濃い」か…（笑）。
平成のテレビ、映画界では
生きられない顔してるもんなぁ。

黒沢さんや藤岡弘、さんは「オス」ですわ「オス」！。
男性とか女性とかの性別を越えた存在。
両端持って、ぞうきんみたいに絞ったら
すんげぇ「脂」がドラム缶一杯採取できるに違いない。

え！ちょっと青山さん、マジメに関西上陸されるんっスか？！。
それが真実なら全力で熱烈歓迎せねばならない。

しかし、このhatumi30331さんの軽いフットワークよ！。
下見の下見とか言うてはるで！。
去年、まだブッ倒れたところでっせ。
信じられるか、このパワー！。

普通、ここまで動けへんで。
多分、ご本人も「楽しいこと」が好きなのだろうけれど、
人が楽しんでるのを見るのが大好きなんだろうなぁ。
人を楽しませる事が自分の喜びなんだろうと思う。

じゃあないとここまで出来ない。
ボクなんか、「…スゴイっスね…」と付いて行くだけ。

まぁしかし、いきなり関西オフ会！（笑）。
一番「濃い」とこや！濃厚こってりや！。
徐々に慣らしていくならまだしも、
フグで言うなら、いきなりキモを食べるようなもんや。

肝は確かにうまい、
うまいが危険が伴うもんや。
一流の調理人がさばいて、それでも通は食べて吐いて、
また食べて楽しむという・・・。

それをいきなり肝から行くか！。勇者よ！。

詳しいご予定がお決まりになられたら、
こそっとお知らせくださいませ。

・・・って、かなり失礼な事書いてる気がしてきた・・・。
すべての方面にすいません。
by 裏・市長 (2016-05-08 20:32) 

hatumi30331さん
コメントありがとうございます

内藤さん版、観られていますか。
可愛いですよね。

下見まで行っていただいて、
ありがとうございます。
楽しみです。
by 青山実花 (2016-05-08 22:15) 

donさん
コメントありがとうございます

やっぱり現代と昭和初期とでは、
男女に対する考えも違っていたのでしょうね。
なにせ、薫はおぼこな娘（平たくいえば処女）で、
義母はそれを誇りにしておりましたので、
2人を深入りさせてはならないと考えていたようです。

全ては文豪・川端康成さんの原作通りなので、
川端さんも薫の処女性を重要視されていたのだと
思われます。
by 青山実花 (2016-05-08 22:18) 

きよたんさん
コメントありがとうございます

6作も作られていると、
どの作品に思い入れがあるか、
それぞれ違ってくるのでしょうね。
内藤さんの薫、いいですよね。
by 青山実花 (2016-05-08 22:21) 

裏・市長さん
コメントありがとうございます

はい、黒沢さんのビデオ、ありましたね。
私も黒沢さんのだけは無い物かと
諦めかけていましたので、嬉しかったです。

たしかに、黒沢さんや藤岡さんは、
この草食系男子全盛の時代においては、
希少価値かもしれませんね。
ドラム缶一杯の「脂」が出るような男性は、
通りでもあまり見かけません＾＾；
ゲスの川谷くんみたいな男の子なら、
いっぱい歩いていますが。

はい、hatumi30331さんは素晴らしいお人柄なのだと
私も思います。
ご自分の事より、人様の事を考えられる方なのですね。
私も見習わないと。

それから、
私は元々大阪が大好きで、
以前、年に4度も遊びに行った事もあり、
関西のオフ会に行くというのも、
自分ではそれほど凄い事だと思っていないところがあって。

それから、今回、そちらに行ってみたい理由の一つに、
一度も行った事のない、和歌山県に行ってみたいというのが
あるんです。

http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2013-09-16
ここにも書いていますが、
生きているうちに、
全部の県に行けるか、行けないか、
会社でもしょっちゅう話していまして、
白地図を塗ったりしているんです。
和歌山県はまだ未踏の地ですので、
これがいい機会だと思いまして。

今の所、
お伺いできるのではないかと思っております。

by 青山実花 (2016-05-08 22:37)