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「春琴物語」 [映画]

syunkinmonogatari.jpg
〔1954年/日本〕


大阪・道修町の薬問屋に
丁稚奉公にやって来た幼い佐助は、
店のお嬢さんで全盲のお琴の美しさに魅せられる。
それが、お琴と佐助の運命の出会いだった。


美しく成長したお琴(京マチ子)は、
自分の介助は佐助(花柳喜章)以外の者は受け付ず、
特に、琴の稽古に行くときは、
佐助が仕事の途中でも、それをおかせて、
自分に付き添わせ、
それについて、誰にも不満は言わせなかった。


佐助は、自分の給金を貯め、
買った三味線を深夜秘かに弾くようになった。
それを知られた時は、番頭に激しく叱られたが、
お琴が、佐助に稽古を付けてやると言い出し、
佐助は、店の仕事はせず、
三味線だけに専念するようになる。


お琴の両親が、
いっそ、佐助と所帯を持ったら、と、
お琴に勧めると、
お琴は怒り狂い、
「丁稚風情と私が一緒になるなど、言語道断」と
切り捨てる。


そんなある日、
お琴が妊娠する。
しかしお琴は、子供の父親の名前を
決して言わず・・・。





2014年の秋に、
斎藤工君の「春琴抄」を観た時、
その世界観にめちゃくちゃハマって、
6回映画化されたという「春琴抄」のうちの
5本を、5日連続して観た。


残念な事に、
一番観たい京マチ子さんの「春琴物語」の
ソフトだけが見つからず、
いつか名画座にでもかかったら、
絶対見逃さないようにしなければ、と
思ってきたのだけれど、
この度、ソフトを借りる事ができた。
本当に嬉しい。


春琴のキャラである、
傲慢でワガママでヒステリックな性格が、
京さんのイメージにピッタリ合っているようで、
(実際の京さんは、そのような方ではないと思うけれど)
ビデオデッキにテープを入れる時から、
期待が大きく、映し出された映像にワクワクする。


まずは、幼い頃のお琴と佐助の様子が描かれ、
それから、成長した2人の場面になるのだけれど、
京さんの初登場シーンでの美しさに息を呑む。
うわぁ、綺麗・・・と独り言が出てしまう。


そして予想通り、
京さんとお琴のイメージがピッタリ重なり、
夢中になって観る。
京さんは、こういった役を演じるのに
天才的な女優さんだ。


今回は、佐助の運命についても、
色々考えさせられた。


薬問屋に丁稚に来た時の佐助は、
自分がお嬢さんの介助を
専属でするとは思っていなかっただろうし、
さらには、そんな事がなければ、
まさか自分に三味線の才能がある事など、
一生気付く事はなかっただろうと思われる。


お琴にしたって、
佐助と出会っていなければ、
親が勧める適当な相手と結婚し、
普通に子供を産んでいたであろう。
そう思うと、
人の出会いで、どれだけ運命って変わってしまうんだと
架空の話とはいえ、考えずにはいられない。


ラストが甘すぎる気もしたけど、
京さんのキャラが素晴らしいのでこの点数。


評価 ★★★★☆

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コメント 6

mitu

「春琴抄」5本を、5日連続して観た。・・・すごいです!
そして一番観たかった6本目、★4つ良かったですね(*^^)v
by mitu (2016-04-01 21:40) 

ぼんぼちぼちぼち

先日、山本富士子さん主演版を観やした。
テムポがあって飽きることはありやせんでやした。
こちらも観るの楽しみでやすo(◎o◎)o
原作のラストは確か、墓まで上下関係をつけたままの形で 決して対等な男女の関係にはならなかった という件りだったと思いやすが
山本富士子さん版では、佐助が目を突いてからは 穏やかに対等に暮らしてゆくように感じさせてやした。

by ぼんぼちぼちぼち (2016-04-01 22:08) 

裏・市長

マニアックすぎる!。
このジャケットって、伝説の会員制通販ビデオ、
キネマ倶楽部の1本じゃん?!。多分?。

あのシリーズはいまだにDVDになっていないような、
日本映画も数多い・・・。
でも単価がすごく高かった記憶が・・・。

昔、ビデオソフトはメチャメチャ高かった。
90分のゴジラが30分にカット編集されて、18.000円とか。
でも、その分苦労して手に入れた時の喜びよ。

お父さん!同じの何回見るの!?と、
家族にバカにされながらも繰り返し見ていたものじゃて。

いま、スマホでタダ見出来たり、
ワンコインでDVDが買える時代はなんか作品を
安売りされてるような気がして。
多くの人の目に触れて、再評価される…という
側面も否めないのだけれど…。

「春琴抄」、6回も映画化されてたのか・・・。
山口百恵さんのしか知らないわ~と検索したら、
2008年にも映像化されていたのか。
斎藤工、長澤奈央さん。…劇場でやってたっけ?。
by 裏・市長 (2016-04-02 19:49) 

青山実花

mituさん
コメントありがとうございます

あの時、
ドラマでブレイクしたと噂に聞いていた斎藤工くんの
カッコよさもあり、
本当に感動して、
これは他の作品も観てみなくちゃ!って^^;
見比べる事ができて良かったです。

by 青山実花 (2016-04-05 22:57) 

青山実花

ぼんぼちぼちぼちさん
コメントありがとうございます

京マチ子さん版は
ご覧になられたでしょうか。
(早く観て!というわけではないので、お気になさらずに^^;)

映画になるとどうしても、
オチを付けなくてはならないので、
「幸せに暮らしましたとさ。ちゃんちゃん」みたいに
なってしまうのでしょうね。
あの2人の心情は、
読んでみなければ、理解しきれないのかもしれませんね。

by 青山実花 (2016-04-05 23:03) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます

そうなんです。
このビデオは「キネマ倶楽部」の1本で、
探していた「春琴物語」を持っているかたがおられたので、
ありがたくお借りした次第です。

私はそこまで詳しくないのですが、
このシリーズは、相当貴重な映像があるようですね。
DVD化されるのは無理なのでしょうか。

家庭用のビデオが普及した時は、
本当に映像を観るのに夢中になりましたね。
何度も観たくなるお気持ち、分かります。
生まれた時から、映像が当たり前にある、
今の若者とは飢餓感が違います。

春琴抄は、映像にしやすいのでしょうか、
何度も映画化されていて、
見比べてみると中々面白い物があります。
私は斎藤工君版が一番好きです。
斎藤君がイケメンだからではなく(多少はそれもあるが^^;)、
原作の雰囲気に一番合っていると思うからです。
私もDVDで観るまで知らなかったのですが、
2008年9月に劇場公開されたようです。


by 青山実花 (2016-04-05 23:12) 

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