「歌行燈」 [映画]
〔1943/日本〕
東京からやってきた、
能の観世流家元・恩地源三郎一行は、
巡業先の松阪で、
謡の日本一を標榜する宗山という
盲目の男の噂を聞く。
宗山は、
観世流など話にならん、
自分こそが日本一だと
触れ回っているが、
その私生活は乱れ、
妾を3人も囲っており、
地域の嫌われ者だという。
源三郎の息子・喜多八（花柳章太郎）は、
若い正義感から、
そんな宗山を懲らしめてやろうと、
一人、宗山の家に行き、
宗山の芸の未熟さを知らしめる。
宗山は恥辱のあまり、
その夜、縊死し、
それを知った源三郎は、
喜多八を勘当する。
流しになった喜多八は、
芸者に身を落とした、宗山の娘・お袖（山田五十鈴）と
偶然出会い・・・。
先日書いた、
市川雷蔵さんの「歌行燈」より、
17年も前に作られた映画。
本来なら、
こちらの方が評価も高いし、
原作に近いのかもしれないけど、
大映の、あの「毒気」に先に当てられてしまったので、
どうしても地味な感じがしてしまう。
カラーとモノクロの違いも大きいのかもしれないけど。
こちらを観てしまうと、
大映版が、いかに派手で、
演技が大仰かというのが分かる。
まず、宗山が亡くなるシーンからして、
大映の方は、
大勢の人が見ている前で、
井戸に落ちるという激しさ。
あれだけの人がいて、
なぜ誰も止めなかったのかという疑問は、
確かに観ている時、思ったけど。
それから、
この山田五十鈴版のお袖は、
芸者になったというのに、
芸をまったく覚えられない、
不器用な女として描かれているけれど、
山本富士子版は、
芸事を軽く扱いたくないと主張する設定になっている。
確かに、山本富士子版の主張は不自然だな、と思っていた。
頑なに芸を覚えようとしない芸者なんて、
存在価値ないじゃないか、と。
勝手な憶測だけど、
大映の大スター・山本富士子さんに、
芸が覚えられない女、という設定は、
よろしくないという意見があったのかなぁ、
なんて考えたりして。
ただ、どんなに話が不自然でも、
評価が低くても、
私は派手で大仰で毒気いっぱいの
大映の方が好き（笑）。
評価 ★★★☆☆
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昔でも、美人は美人なんですねぇ♪
山田五十鈴さんは、もうお年寄りになった時しか知らないですけど、
品がありましたよぉ。
昔の芸能界の人は品があったんです♪
by Rchoose19 (2016-02-24 12:34)
大映版、井戸ダイビング、みんなで鑑賞してるんや！。
そりゃあ派手やわ！。
でも、そこで止めて未遂に終わったら、
物語変わってしまうし。
とにかく、リメイクとかパート2はムズカシイ。
タマゴよりムズカシイ。
第1作、初代のインパクトを越えるのはシンドイ。
ウルトラマンも最初のデザインが完成されすぎていて、
いまだにその呪縛から逃れられない。
仮面ライダーも1号が元祖すぎて、3月公開の新作は、
45年ぶりにして、藤岡弘、さん「主演」！。
子ども番組とはいえ、
70歳にしてアクション（？）映画主演なんて
世界でもめずらしいのではないだろうか？。
今年はまた、ゴーストバスターズやらターミネーターやら、
13日の金曜日や猿の惑星、アバターまで帰って来るの？。
スゴイ時代やなぁ。
完全新作は企画が通りにくいと聞くけれど、
それでもリメイク作、多いなぁ・・・。
by 裏・市長 (2016-02-24 19:39)
Rchoose19さん
コメントありがとうございます
山田五十鈴さんは、
お若い頃はお綺麗で可愛く、
また少しお年を重ねた頃に出られた、
映画「疑惑」で、
たった一言のセリフ「おだまりっ！」の迫力が
忘れられません。
by 青山実花 (2016-02-28 16:59)
裏・市長さん
コメントありがとうございます
そうなんです、
とりあえず、どんな形にせよ、
宗山には死んでもらわなければ、話が進まないので、
大映らしい派手な演出をしたのかな、と、
こちらの古い方を観て、思います。
リメイクで、オリジナルを越えた作品は、
無くはないですが、
やっぱりオリジナルを推す人の方が多いですね。
なぜなら、リメイク作を作る、という事は、
それだけオリジナルが素晴らしいという事で、
映画会社にしたら、「夢よもう一度」という側面があるはず
ですものね。
でも、オリジナルが素晴らしければ素晴らしいほど、
ファンの思い入れも強く、
リメイクを「けっ」と思う方も多く出てくるはずで。
なるほど、ウルトラマンも仮面ライダーもそうですか。
70歳の藤岡弘、さんが戦隊アクション物！
なんだかなー、
みなさん、やっぱり若い頃に観たものを
忘れられないという事なのでしょうか。
これからますます高齢者が増えてくると、
そういった事も増えそうですね。
by 青山実花 (2016-02-28 17:11)