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「パリ空港の人々」 [映画]

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〔1993年/仏〕


中年男・ジャン・ロシュフォールは、
カナダからパリ行きの飛行機に乗る直前、
パスポートや財布の入った手荷物から靴まで、全て盗まれてしまい、
しかし、故郷のパリに帰ればなんとかなるだろうと、
警察にも届けず、飛行機に乗ってしまう。


しかし、パリ空港の入国管理局は、
パスポートのない人間の入国は認めず、
トランジットゾーンで過ごす事になってしまう。


彼の身元が証明されればいいのだが、
なにせロシュフォールは、
パリのカナダの二重国籍の上、
イタリア在住、
妻はスペイン人という複雑さ。
さらに、時は大みそか。
事務手続きは手間取り、
当分、外に出られそうにもない。


そんな彼に、黒人の少年・イスマイラ・メイテが
声を掛けてきた。
メイテに連れていかれたのは、
なにやら、数人の人が住んでいる部屋。
そこには、国籍のない男2人女1人が暮らしており、
もう何ヶ月も、放置されたままなのだと言う。


仕方なく、彼らと行動を共にする事にしたロシュフォールは、
空港内でさまざまな体験をし、
また、こっそり外に抜け出して、
みんなでパリ見物をしゃれ込む・・・。





トム・ハンクス主演の「ターミナル」も、
この映画と似たような設定だったけれど、
どちらが先に作られたのだろうと思い、
観終わってから調べてみた。


「ターミナル」が2004年だから、
こちらの方が、11年も前の映画だ。
話に無理があった「ターミナル」に比べて、
(ハンクス以外の、彼の同国人は一体どうなったのかいう疑問)
空港に留まざるを得なくなった主人公の理由が自然で、
話に入ってゆきやすい。


まず、
もし自分がジャン・ロシュフォールの立場だったら、
それだけ不安になるだろうと考えてしまう。
ロシュフォールは旅慣れていそうだからいいけど、
飛行場というだけで気後れしてしまう私だったら、
あまりの不安に泣いてしまうかも(笑)


あんな風に、空港に住みついている人たちって、
本当にいるんだろうか。
どこの国の人間でもない自分って、
どんな感じなんだろう。
一生外に出られないかもしれない自分を不幸に思うのか、
でも、空港での暮らしも意外と悪くはなさそうで、
生きてさえいけるのならいい!と、
腹くくるのか。


彼らが案外簡単に外に出られるのも笑える。
確かに空港は刑務所ではないのだから、
何とかすれば出られるというのは分かる。
メンバーの中の女性は、
パリで数か月暮らした事があると言う。
でも、不法滞在がバレて、
空港に連れ戻されたんだとか。


そんな暮らしも悪くないかも(笑)。
出たり入ったりを繰り返しているうちに、
年なんかすぐ取っちゃうものよ。
それに、どこへ行っても戻れる場所があるって思えるのは、
案外心強い(笑)。


ロシュフォールが、
飄々としているところがいい。
最初は早く空港から出る事を考えていた彼が、
数日、空港友達(笑)と過ごすうちに、
情が湧いてきて、離れがたくなってゆくのが切ない。


彼の写真がFAXで届いて、
本人確認できたら出られると、最初に言われるのだけれど、
送られてきたのは、
なんと、すんごく若い頃の写真。
それがめちゃくちゃハンサムで、
今の彼とは似ても似つかなくて、
これでは本人確認できないと言われてて笑った。


評価 ★★★★☆

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