SSブログ

「暴れん坊街道」 [映画]

abarenboukaidou.jpg
〔1957年/日本〕


丹波国由留木城下。
家老・稲葉幸太夫の娘・重野(山田五十鈴)は、
奥小姓の与作(佐野周二)と恋仲となってしまい、
不義の子を産む。


重野の罪は許され、
最近生まれた城主の姫の乳母に任命されるが、
そのためには、
生まれた子・与之助は里子に出さねばならない。
重野は、引き裂かれる思いで、
父母の名を書いた紙を入れた守り袋を、与之助の荷物に入れる



それから11年。
与之助は、里親に死なれ、
馬子をして暮らしていた。
そんな与之助の馬に、
今は風来坊となった与作が乗った。
互いに親子だとは夢にも思わずに。


そんなある日、
由留木家の行列が通った。
姫が駄々をこねている所を、
与之助が宥め、
機嫌を直した為、
姫の乳母・重野は褒美を取らせようとする。


重野は、ふと目にした与之助の守り袋を見て、仰天する。
それは昔、自分が作ったものではないか・・・。





近松門左衛門は容赦しない。
全て丸く収まって、全員が幸せに、なんて事は、
絶対にさせないらしい。


近松といえば、
「遊女」や「心中」や「放蕩息子」の物語が主で、
こんな子供を主人公にしたものは観た事がなかったので、
「引き裂かれた母子ものかぁ。ラストは名乗り合って大団円?」
などと思っていたから、
上記のように感じた次第。


途中で、与之助がとんでもない事件をおこし、
それによって、
話はどんどんマズい方へ転がってゆく。


11歳になった与之助を演じる、
植木基晴くんがいい。
彼はとにかく元気いっぱい。
そして明るいだけでなく、
自分の出生が、
性格のどこかに暗い影を宿している事に、
観る者は同情してしまう。


そんな与之助だから、
偶然出会った重野が実の母だと知った時の、
驚きが辛かった。
自分は、馬子をして、
日々の食べ物にも困るというのに、
母はどうだ、
金ぴかの着物を着て、姫に仕えているではないか、と。


あぁ、本当は母だって辛いのよ。
彼女は与之助を捨てたくて捨てたわけじゃない。
でも、捨てられた側にしたら、
そんな事情、知ったこっちゃないものね。





お友達のぼんぼちぼちぼちさんから、
近松門左衛門の映画についてご質問があり、
やっぱり人様にお教えするには、
今まで観た以外の作品も観てみなければ失礼になると思い、
本作を選んだ。


いい機会なので、
近松原作の映画で、ソフトが手に入りそうな作品を
なるべく時間を空けずに観てみようと思う。
なんだかとても楽しみ。


評価 ★★★★☆

nice!(58)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 58

コメント 2

mitu

「馬子にも衣装」の馬子って、こういう格好なのね^^
それにしても
お互い向上していけるような友達って、いいですね~(^_^)
by mitu (2015-10-14 06:48) 

青山実花

mituさん
コメントありがとうございます。

あ、確かにそうですね。
馬子が衣装を着た姿はよく見ますが、
馬子が普段着ている物を見たのは初めてかも^^;

お友達っていいですよね。
mituさんとも、お会いした事はないけれど、
交流できることをとても幸せに思っています。
by 青山実花 (2015-10-16 01:31) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0