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「妻の日の愛のかたみに」 [映画]

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〔1965年/日本〕


福岡県の柳川で暮らす、北原正之(船越英二)は、
幸せいっぱいであった。
見合いで知り合い、結婚した妻・千枝子(若尾文子)が
大変に美しい上に、
気立てもよく、働き者で、
そんな彼女が、愛おしくてたまらないのだ。


中学校の教師をする正之と、
小学校の教師をする千枝子は、
一緒に通勤し、
生徒たちまで、彼らをからかう始末。


1年ほど経ったある日、
千枝子は関節の痛みを覚え、
チョークが持てない状態となる。
日が経つにつれ、痛みは酷くなり、
医者からは、リウマチだと診断される。


入院し、治療に励むも、
回復しない病状。
家に戻った千枝子は寝たきりとなり、
姑は、そんな千枝子と別れてはどうかと、
正之に進言する。


しかし、千絵子を深く愛する正之は、
周囲の意見に耳を貸さず、
献身的な看病を続ける。
けれど、千枝子は、
自分のせいで周囲が大変な思いをしていると、
悩み続け・・・。





「若尾文子祭」で上映された、
未見だった1本。


花嫁姿の若尾さんが、
船頭さんの漕ぐ船に乗って、
ゆっくりと川面をすべってゆくという、
美しい出だし。


そして、その船を自転車で追いかけ、
おにぎりやお茶を渡す、お婿さんの船越さん。
彼が若尾さんを好きでたまらない様子が、
大変に上手く撮られていて、
心和む場面。


しかし、タイトルから、
難病物だろうとの察しがついているので、
この先訪れるであろう、
悲劇が想像できて、
心は重くもある。


案の定、若尾さんは発病する。


若尾さんにとって一番辛いのは、
自身の病より、
周囲に迷惑を掛ける事。
そして、船越さんの優しさ。


優しさって何だろう、
愛ってなんだろうと考えさせられる。
もしも船越さんが冷酷で、
病気になった妻をなじるような男だったら、
むしろ若尾さんは、
そこまで悩む事はなく、実家に帰ったであろう。


舅も、若尾さんを大変に庇ってくれるし、
意地悪かと思われた姑も、
若尾さんが実家に帰る日には泣いてくれた。
悪い人なんて誰もいない。
病気が全て悪いんだ。


難病が劇的に治るはずもなく、
この物語にも救いはないけれど、
お涙頂戴映画というわけではなく、
夫婦愛や、親子の愛、
友情について考えさせられる映画だった。


評価 ★★★☆☆


角川シネマ新宿での「若尾文子祭」が終わりました。
未見の作品は全て観るぞ!と意気込んでいたのですが、
諸事情で観られなかったのが2本。


この2本を観ていれば、
若尾作品のうち、160本中100本を観た事になって、
キリがいいのに、と、
とても残念な気持ちだけれど、仕方ない。


それに、まだ、残念がるのは早いです。
この企画のあまりの盛況に、
角川シネマさんは、
「祭」を一週間延長した上に、
冬には、アンコールまで決定したそうです。


冬のアンコールで、
また、未見の作品が何本か入っている事を期待しています。
楽しみです。


前に一度、
備忘録として、
若尾さんの全作品を載せた事があったのですが、
今日も書いてみます。
(出演作160本。★は観た作品98本)


★春の雪 (2005)
 竹取物語 (1987)
 ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
 幻の殺意 (1971)
★男はつらいよ 純情篇 (1971)
★スパルタ教育 くたばれ親父 (1970)
 座頭市と用心棒 (1970)
★天狗党 (1969)
★千羽鶴 (1969)
★濡れた二人 (1968)
★積木の箱 (1968)
★不信のとき (1968)
 鉄砲伝来記 (1968)
★華岡青洲の妻 (1967)
★砂糖菓子が壊れるとき (1967)
★妻二人 (1967)
★夜の罠 (1967)
★雪の喪章 (1967)
 処女受胎 (1966)
★赤い天使 (1966)
★雁 (1966)
★氷点 (1966)
★処女が見た (1966)
★刺青 (1966)
★妻の日の愛のかたみに (1965)
★不倫 (1965)
★清作の妻 (1965)
★帯をとく夏子 (1965)
 女めくら物語 (1965)
★波影 (1965)
★花実のない森 (1965)
 幸せなら手をたたこう (1964)
 悶え (1964)
★卍(まんじ) (1964)
★獣の戯れ (1964)
★傷だらけの山河 (1964)
★「女の小箱」より 夫が見た (1964)
★温泉女医 (1964)
★新・忍びの者 (1963)
★越前竹人形 (1963)
 女が愛して憎むとき (1963)
★わたしを深く埋めて (1963)
★女系家族 (1963)
 八月生れの女 (1963)
★雪之丞変化 (1963)
★しとやかな獣 (1962)
★秦・始皇帝 (1962)
★瘋癲老人日記 (1962)
★その夜は忘れない (1962)
★やっちゃ場の女 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
 閉店時間 (1962)
★爛(ただれ) (1962)
★雁の寺 (1962)
★家庭の事情 (1962)
★妻は告白する (1961)
★新源氏物語 (1961)
★銀座のぼんぼん (1961)
★女は二度生まれる (1961)
★女の勲章 (1961)
 東京おにぎり娘 (1961)
★好色一代男 (1961)
★お嬢さん (1961)
★婚期 (1961)
★花くらべ狸道中 (1961)
★銀座っ子物語 (1961)
 素敵な野郎(1961)
 鎮花祭 (1960)
★偽大学生 (1960)
★安珍と清姫 (1960)
★勝利と敗北 (1960)
★ぼんち (1960)
★からっ風野郎 (1960)
★女は抵抗する (1960)
★女経(じょきょう) (1960)
★初春狸御殿 (1959)
★浮草 (1959)
 実は熟したり (1959)
★美貌に罪あり (1959)
 花の大障碍 (1959)
 次郎長富士 (1959)
★氾濫 (1959)
★山田長政 王者の剣 (1959)
★薔薇の木にバラの花咲く (1959)
★最高殊勲夫人 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
 新婚七つの楽しみ(1959)
 母(1958)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
 嵐の講道館(1958)
★一粒の麦 (1958)
★息子の結婚 (1958)
★口笛を吹く渡り鳥 (1958)
 愛河 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
 螢火 (1958)
 東京の瞳 (1958)
 妻こそわが命(1958)
★青空娘 (1957)
★夕凪 (1957)
★誘惑からの脱出 (1957)
★永すぎた春 (1957)
★朱雀門 (1957)
 慕情の河 (1957)
 続銀河の都 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
 銀河の都 (1957)
 君を愛す (1956)
 四十八歳の抵抗 (1956)
★日本橋 (1956)
★涙 (1956)
 スタジオは大騒ぎ (1956)
 あさ潮ゆう潮 (1956)
★滝の白糸 (1956)
★処刑の部屋 (1956)
 新婚日記 恥ずかしい夢(1956)
 新婚日記 嬉しい朝(1956)
★赤線地帯 (1956)
 虹いくたび (1956)
 新妻の寝ごと (1956)
 花嫁のため息 (1956)
 薔薇の絋道館 (1956)
★弾痕街 (1955)
 七人の兄いもうと (1955)
★珠はくだけず (1955)
★長崎の夜 (1955)
★幻の馬 (1955)
 娘の縁談 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 月に飛ぶ雁 (1955)
 幸福を配達する娘 (1955)
★螢の光 (1955)
 勝敗(1954)
 荒城の月 (1954)
★月よりの使者 (1954)
 緑の仲間 (1954)
 浅草の夜 (1954)
 慕情 (1954)
★舞妓物語 (1954)
★酔いどれ二刀流 (1954)
 或る女 (1954)
★心の日月 (1954)
 十代の誘惑 (1953)
 無法者 (1953)
 続続十代の性典 (1953)
 春雪の門 (1953)
★祇園囃子 (1953)
 続十代の性典 (1953)
 チャタレー夫人は日本にもいた (1953)
 怒れ三平 (1953)
★十代の性典 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
 街の小天狗 (1952)
 秘密 (1952)
 明日は日曜日 (1952)
 花嫁花婿チャンバラ節(1952)
 母子鶴 (1952)
 猛獣使いの少女 (1952)
★死の街を脱れて (1952)


(他に3本、
「長崎の歌は忘れじ」
「月形半平太」
「娘初恋ヤットン節」が、
出演作として載せられているサイトあり)

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コメント 2

mitu

あと2本で100本!すごいです!(^_^)
by mitu (2015-08-20 10:08) 

青山実花

mituさん
コメントありがとうございます。

若尾さんの映画がとっても面白くて、
色々観ているうちに、
いつの間にかこんな数になってしまいました^^
いつか全制覇したいです。

by 青山実花 (2015-08-29 08:54) 

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