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「クロッシング」 [映画]

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〔2009年/アメリカ〕


ニューヨーク・ブルックリン。


犯罪が多発するこの街で、
刑事・リチャード・ギアは、
若い後輩刑事たちから、軽んじられている存在。
事なかれ主義の彼は、
大きな事件に首を突っ込まずに、
今まで生きてきた。
そして、あと1週間で定年退職を迎える。


麻薬捜査官のイーサン・ホークは、
金を、喉から手が出るほどに欲していた。
幼い子供が3人もいる上に、
妻は双子を妊娠中。
妻には重い喘息持ちで、
医者からは、家のカビが原因だと言われる。
引っ越したい、
しかし、頭金が思うようには貯まっていない。


潜入捜査官として、ギャングの一味に加わってきた
ドン・チードルは、
ボスのウェズリー・スナイプスの逮捕を命じられる。
しかし、長年スナイプスと付き合ってきたチードルは、
警察の任務を越えて、
彼に友情を感じ始めており、
心乱れる。


3人の刑事はそれぞれに、
人生の岐路に立ち・・・。





ブルックリンの警察で働く3人の刑事の生きざまを描いた、
オムニバス映画、ではないけれど、
そんな感じの内容の作品。


3人の中で、
私が一番息苦しく感じたのはイーサン・ホーク。
だって、彼の悩みは仕事ではなく、
妻や子供に家を買ってやりたいという焦り。
刑事の仕事上での悩みは、
私には想像で考えるしかなく、
「そんなものかな」で済むけれど、
家族の為にお金が欲しいとなると、
観る者は誰だって、切実なものを感じるだろう。


変な言い方だけど、
何かの値段って、一体誰が、どうやって決めるのだろう、と思う。
このホークにしても、
日常、生きていくにはなんとかなるくらいの
給料は貰っていると思うのだけれど、
家を買うとなると、金が足りない。
もう少し、もう少しだけ金があったらと、
観ているこちらまで辛くなる。
「生かさず、殺さず」という言葉が頭に浮かぶ。


正直、彼の生活苦を思うと、
麻薬捜査で踏み込んだ家にあった札束の山から一つくらい、
持ち帰らせてあげたいとまで思ってしまった。
どうせ犯人たちだって、いくらあるかなんて、
把握しちゃいないだろう、って。
それが彼の妻と子供たちのためになるなら、
神様だって怒らないだろうよ、って。


リチャード・ギアの役は、
彼にしては面白いなと思った。


刑事として、全く精彩を欠く彼は、
後輩たちから完全に小馬鹿にされていて、
ロッカールームでは、
まるで学生のいじめのように、
本人に向かって、酷い言葉を投げかける者までいる。
それでも彼は、
何も聞こえないように、ひたすら定年の日を待っている。
今まで色男の役が圧倒的に多かったと思われるギアにしては、
なんだか珍しい役柄な気がするけど、
まぁ、そういう生き方もありかな、と少し思ったりもして。


タイトルが「クロッシング」なので、
3人がどこかで交わるのかと思っていたけれど、
そのような事もなく、映画は終わった。
まぁ、だからといって不満はない。
ある3人の刑事の、個々の生き様が楽しめる。
ラストも面白い。


評価 ★★★☆☆

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su-nya

面白そうですね!
イーサン・ホークという役者さん自体、
なんだかこう切ない感じですよね。
写真で見ると、けっこう老けてる。
by su-nya (2015-03-14 12:14) 

青山実花

su-nyaさん
コメントありがとうございます。

イーサン・ホーク、いいですよね。
「ガタカ」の素晴らしさには鳥肌が立ってしまいます。

なんだか気になって、彼の年齢を調べてみたら、
44歳なんですね。
「生きてこそ」の時は学生だったのに~^^;
by 青山実花 (2015-03-17 23:29) 

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