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「鬼の棲む館」 [映画]

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〔1969年/日本〕


室町時代。
人里離れた山寺に、一人の女が訪ねてきた。


その女・楓(高峰秀子)は、
女と逃げた夫・太郎(勝新太郎)を探し回った末、
ついに居場所を見つけ、やって来たのだ。


太郎と逃げた女・愛染(新珠三千代)は、
その肉体で男を魅了する魔性のような女で、
愛染に溺れる太郎は、楓を追い返す為、罵声を浴びせる。


しかし、楓は怯む事なく、
太郎たちと一つ屋根の下で暮らし始め、
半年が過ぎた雪の日、
旅の僧・高野の上人(佐藤慶)が、一夜の宿を求めやって来た。


上人は、太郎の煩悩を封じ込むが、
愛染を見て、驚く。
かつて上人は、愛染に夢中になり、
恋敵を殺した過去があったのだ。


愛染は、上人が捨てた煩悩など、
自分の魅力で取り戻してみせると、
上人を誘惑し・・・。





谷崎潤一郎原作。
名前がある登場人物はたった4人の
短い映画だったけれど、


凄いよ、新珠三千代。
彼女の演じる愛染は、魔性そのもの。
タイトルの「鬼」とは、
私はてっきり、強面の勝新太郎を指すのかと思っていたけれど、
新珠さんこそ、鬼だ。
男を魅了し、離さない、本物の鬼だ。


元々は身分が高かったという、
勝新太郎演じる太郎は、
愛染に夢中なあまり、
ついには、盗賊となり、
里へ下りては強奪を繰り返すようになる。


それもこれも、
愛染の、
「こんな山奥にいたんじゃ、気分が晴れぬ」とか、
「肉が食いたい」とかの、
我儘放題のせい(笑)。
魅力の無い女なら、
そこで男が見限りそうなものだけど、
太郎は気持ちは決して変わらない。


物語がさらに面白くなるのは、
佐藤慶演じる高野の上人が登場してから。


上人は、厳しい修行をし、
煩悩など捨て去ったと言うけれど、
愛染の魅力には、どうしても抗えない。


しかも、2人は、かつては睦み合った仲。
体が覚えている、そんな女に誘惑されちゃ、
据え膳食わぬは男の恥(笑)。


市川雷蔵の「妖僧」でも思ったけれど、
修行って一体何なのでしょうね(笑)。
何十年苦行を積んだって、
ほんの一瞬でそんな物は意味もなくなってしまう、
男の性(さが)。


ごめんなさい、罰当たりで。
もちろん、そんな方ばかりではないとは思いますが、
何しろ、信心深くないもんで(笑)。


新珠さんは、上人をモノにしたあと、
全裸で仁王立ちし、「あーはっはっはっ!」と高笑い。
完全勝利を得た瞬間の
鬼気迫る様相は大変な迫力だった。


評価 ★★★★☆

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コメント 2

向日葵

高峰秀子さんが霞みそうね。。
by 向日葵 (2015-02-08 03:14) 

青山実花

向日葵さん
コメントありがとうございます。

本当にその通りです。
名女優の高峰さんも、
この映画では新珠さんに押され気味なんですよ。
by 青山実花 (2015-02-10 14:47) 

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