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「ザ・ワーズ 盗まれた人生」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕

人気作家・デニス・クエイドは、
講演会で、自身の作品について語り始める・・・。


ブラッドリー・クーパーは作家志望の男で、
複数の出版社に小説も持ち込むも、なかなか芽が出ない。
そんな彼を、恋人・ゾーイ・ザルダナはいつも励ましている。


夢を諦めたクーパーは、
出版社の社員となり、ザルダナと結婚。
新婚旅行先のパリの骨董品店で、
古い皮の鞄を買う。
アメリカに帰って、鞄を開けると、
古い紙の束が見つかり、
そこにはタイピングされた小説が書かれていた。


その小説の素晴らしさに驚いたクーパーは、
一字一句違わず、それをパソコンに打ち込み、
勤務先の上司に、自分の作品として読ませた。
作品を絶賛した上司が、それを出版すると、
大ベストセラーとなり、
クーパーは一躍有名人に。
その勢いで、過去に書いた作品までも出版される事態となる。


ところがある日、見知らぬ老人・ジェレミー・アイアンズが、
クーパーに近寄ってくる。
彼は、あの小説を書いたのは自分だと言い、
それを書く事になった動機をクーパーに語り始める・・・。





96分という短い映画の中に、
デニス・クエイド、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・アイアンズの、
3つの物語が織り込まれているというのが凄い。
しかも、どのパートも面白く、
全く飽きさせないし、不自然な所もない。


当然、メインはクーパーの盗作話だけれど、
色々考えさせられるな。


クーパーは、鞄に入っていた小説を、
最初から自分の作品として世に出そうと思っていたわけではなく、
その内容の素晴らしさに憑りつかれて、
パソコンに打ち込んだだけ。
ところがそれを、ゾーイ・ザルダナが読み、
彼女の強い勧めで、上司に見せてしまう。


彼はその時点で、
例えばその小説が、
既に世に出ているものかも、という疑いは持たなかったのだろうか。
出版はされたけど、全く売れなかった作品である可能性もあるし、
出版はされてなくても、
同人誌に発表したとか、
自費出版とか。


盗作は絶対にいけない事だけど、
百歩譲って、そうせざるを得ない状況に追い込まれたのだとしても、
いくらなんでも丸写しはマズいんじゃないかなぁ。(笑)。
まぁ、丸写ししなければ、
ベストセラーにはならなかったのかもしれないけど。


それから、ベストセラー後。
あれは自分の作品だと言う人間が現れたらどうするか。
うーん・・・・・・・・・・・・
本当に難しい問題。
私の考えはここでは差し控える(笑)。


ベストセラーが出た後、
過去の作品まで売れるっていうのは、
すんごく分かるなぁ。
私も、芥川賞を取った西村賢太の「苦役列車」を読んで、
そのあまりの面白さに、
彼の過去の作品全てを夢中で読んだ。
今ではもう、彼の事は半分身内の感覚でいるくらい(笑)。


もし「苦役列車」がなかったら、
ケンタを知る事はなかったかもしれないし、
知るにしても、もっとずっと後だったと思う。
そう考えると、きっかけって本当に大切。


ラストは曖昧な終わり方だけれど、
私には、これこそが人生そのものなのかもと感じられた。
ハッキリしたオチが好きな私には珍しい事だと
自分で思ったけれど、
この映画に限っては、なぜか。


評価 ★★★☆☆

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