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「さあ帰ろう、ペダルをこいで」 [映画]

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〔2008年/ブルガリア〕


1980年代。
まだ共産政権下にあったブルガリアの小さな町で、
男の子が誕生する。
彼はアレックスと名付けられ、
両親と祖父母に愛されながらスクスクと成長する。


祖父のバイ・ダン(ミキ・マノイロヴィッチ)は、
ボードゲーム「バックギャモン」の名人で、
アレックスにも、それを教える。
アレックスはバイ・ダンが大好きで、
「バックギャモン」の血筋もしっかり受け継いでいるようだ。


しかし、不安定な政権下、
父・ヴァスコと母・ヤナは、ある理由から、
アレックスを連れて亡命せざるを得なくなってしまう。
大好きな祖父母との別れ。
それはとても辛いものだった。


それから25年。
バイ・ダンの所へ連絡が入った。
ヴァスコの運転する車が事故を起こし、
ヴァスコとヤナは死亡したと。


アレックスは奇跡的に助かったが、
しかし、記憶を失い、
駆け付けたバイ・ダンの顔を見ても、
何も思い出せない・・・。





祖父と孫が、
二人乗りの自転車を漕いで、
孫の生まれ故郷に向かうという物語。
いい映画だった。
親子の情愛を描いた映画もいいけど、
祖父と孫というのも、なかなか良いものだなぁと感じる。


その祖父・バイ・ダンがとてもいい。
彼は「バックギャモン」が大好きで、
町内の老人には誰にも負けない実力を誇っているけれど、
ゲームで金を賭ける事は絶対しない。


最初はてっきりギャンブル的に楽しんでいるのかと思っていたので、
その姿勢に、めっちゃ好感が持てる。
日本で言えば、囲碁や将棋を楽しむお爺さんみたいなもの?と
思ったりもして。


バイ・ダンが、アレックスを迎えにいって、
故郷に向かって自転車で漕ぎ出すわけだけれど、
ただのロードムービーではなく、
合間に、過去の様々な出来事が、
回想シーンのように挟まれる。


アレックスの両親がなぜ亡命しなければならなかったのか、
その理由も泣かせる。
アレックスの家族は全員、
愛情深い、いい人ばかりなんだ。


亡命者を収容する施設で、
幼いアレックスが、
建物の隙間に、あるオモチャを隠し、
それを、帰郷の途中で発見する場面には涙が出た。
それって、校庭にタイムカプセルを埋めて、
数年後に取り出す時の感激と同じ心理なのか、
人間は本能的に、そういった事にロマンを感じるのかも、と、
自分の気持ちの有り方を面白くも感じた。


ラスト、
「んな馬鹿な」と捉えられそうな事が起こるけれども、
でも、ギリギリで荒唐無稽にはならず、
納得できる作りになっていて、
それも素晴らしかった。
人生、何が起こるか分からない。


評価 ★★★★☆

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