「みだれ髪」 [映画]
〔1961年/日本〕
酔って喧嘩をした板前の勝新太郎は、
自分が投げた一升瓶が、
通りすがりの美しい女・山本富士子に当たってしまい、
大怪我をさせてしまう。
山本を病院に担ぎ込んだ勝は、
彼女に仄かな愛情を感じるようになるが、
山本は、病院の医師・川崎敬三と恋仲になってしまう。
山本は川崎との結婚を夢見て、
ドイツ語を習い始める。
しかし彼には、華族の令嬢・南左斗子 との縁談があり、
南もドイツ語を習いに、同じ塾に来ていた。
その塾で、山本の身に小さな事件があり、
それを知った勝は、
独断で怒鳴り込みに行ってしまう。
塾側は、それを山本が差し向けたものだと誤解し、
彼女は出入り禁止になってしまう・・・。
不思議なバランスで成り立つ三角関係。
山本富士子は川崎敬三と
深く愛し合っているけれど、
話の流れからして、
結ばれるとは思えない。
そして、山本さんに惚れ抜いている勝新太郎。
彼は山本さんから一歩下がって、
彼女を見守る役目。
別に頼まれたわけではないけれど、
一人勝手に、用心棒をしているようだ。
勝さんの献身っぷりは、
私が最近ハマりまくっている、
「春琴抄」の佐助にも通じる所がある。
もちろん、山本さんは、お琴ほどサディスティックではないし、
勝さんとの間に、男女の関係は決してないのだけど。
それにしても、
自分が良かれと思ってした事が、
人の運命を大きく狂わせてしまう事があると思うと怖ろしい。
勝さんは、山本さんを思うあまり、
ドイツ語塾に怒鳴り込みに行ったわけだけれど、
やはりそれは、短絡的で軽率な行動だったと
言わざるを得ない。
感情に任せて怒鳴った本人は、
それで気が済んだとしても、
怒鳴られた相手だって、馬鹿じゃない。
必ず仕返しを考えるだろうし、
この映画では、山本さんの破門がそれに当たろう。
少し冷静になれば、
そうなる事は分かると思うのだけれど。
ラストは、微妙に成り立っていた3人の関係が、
崩れた瞬間を表しているのだと思う。
ここでも勝さんは、短絡的かつ衝動的。
人の性格は、なかなか変えられるものではないのね。
評価 ★★★☆☆
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