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「若者たち」 [映画]

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〔1968年/日本〕


太郎(田中邦衛)、
次郎(橋本功)、
三郎(山本圭)、
オリエ(佐藤オリエ)、
末吉(松山政路)の5人の兄弟は、
両親を早くに亡くし、
大変に苦しい生活をしている。


ある日、家事一切を任されてきたオリエが
家を飛び出し、
友人2人が暮らすアパートへ転がり込む。
しかし彼女たちの暮らしも楽ではないらしく、
潰れかかった職場の商品を、
行商して歩いている姿を目の当りにして、
考えさせられる。


オリエは工場に勤め出し、
そこで戸板(石立鉄男)と知り合う。
戸板は原爆の後遺症で足を悪くした青年だが、
優しく知的で、
2人は強く惹かれ合う。


大学生の三郎は、
学園紛争の真っ只中であったが、
様々な理由で紛争から離れる学友と接してゆくうちに、
自分の生き方を考えるようになる。


そんな中、太郎は、
なんとなく結婚を意識していた、
先輩の妹・淑子(小川真由美)に、
学歴や生活の不安を理由に、
振られてしまう。


さらに、末吉は大学受験に落ち、
オリエは戸板との結婚を言い出すなど、
太郎の悩みは尽きない・・・。





この間まで放送されていた、
テレビドラマ「若者たち2014」は、
この映画を現代風にアレンジしたものなのだそうだ。
人気俳優を多数揃えていたけれど、
視聴率は散々だったようで(最終回で6.1%)、
そう多くの方の共感は得られなかったらしい。


妻夫木君が出ていたので、
とりあえず第1回を見て、
「もういいかな」と思ったのだけれど、
「探して録画」の設定にしてしまったようで、
気が付くと、毎週ハードディスクに入っている(笑)。
消去するのもなんなので、
結局全部見てしまった。


連続ドラマを放送期間中に全話見るなんて、
私の人生で10回もないんじゃないだろうかというくらい少ない事で、
(再放送やDVDで見る事はよくある)
自分で自分が可笑しかった。


毎回、妻夫木君のテンションが異様に高くて、
ちょっと暑苦しい(笑)。
そもそも、この「若者たち2014」は、
「ひとつ屋根の下」というドラマのリメイクと言った方が近いらしく、
で、「ひとつ屋根の下」こそが、
この田中邦衛主演の映画、「若者たち」をベースにしてあって、
で、映画は、元々テレビドラマだったものを映画化したそうで・・・
うーん、なんかゴチャゴチャ(笑)。


で、せっかくドラマを観たので、
本家本元を観なくてはという事でDVDを借りてきた。
「2014」で慣れてしまったせいで
余計に感じるんだろうけれど、
とっても重い。


兄弟がすぐ取っ組み合いの大喧嘩を始めるのは同じだけど、
コミカルな演出のドラマと違って、
シャレにならない感が強い。
佐藤オリエなどは、喧嘩が始まるとシクシク泣き出す。
満島ひかりの「またやってるよ」という物慣れた視線とは違って、
本当に悲しくなってくる。


この兄弟の貧しさが、
当時の日本の中でも酷い方なのか、
それとも皆がこんなものだったのか、
それがよく分からないけれど、
同じ頃に作られた石原裕次郎やクレージーキャッツの映画は、
もう少し豊かなので、
やっぱり貧しい方なのかな。


ラスト近くでまた兄弟喧嘩になった時、
なんと、次郎が、
「金なんて何の意味もないんだ!」と叫びながら、
ストーブでお札を燃やすシーンがある(1枚だけど)。


現代の感覚なのか、
私だけなのかは分からないけど、
めっちゃ違和感。


お金だけに囚われるのは嫌だけど、
そこで燃えているお金は、
太郎が懸命に働いて得た報酬じゃないか。
それに、お金に「何の意味も」なくはない。
そのお金であなたは大学に行けてるんでしょう。
ご飯を食べられるんでしょう。


色々あるけど、
全体に、当時の「若者たち」が、
様々な考え方のもとに、
それぞれ、頑張って生きている姿は良かった。
あと2本続編があるらしい。
ソフトが探せるなら観てみたい。


評価 ★★★☆☆

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いっぷく

そういえば石立鉄男が生前の最後のラジオ番組出演で
たぶん「若者たち」を指していたんだと思いますが
「プロレタリアートじゃなくて裕次郎さんのような
作品に出たかった」と言ってましたね。
当時なら、ああいう重さはあり得たでしょうね。
東宝とか日活の映画はまあ当時としても
ハイソなファンタジーだったんでしょうが
昔はそれだけ描くモチーフが多様だったんじゃないでしょうか。
by いっぷく (2014-10-05 03:34) 

青山実花

いっぷくさん
コメントありがとうございます。

貴重なお話しをありがとうございます。
なるほど、石立さん、そんな風に仰ってましたか。
確かに、この映画のような役より、
当時、絶大な人気があったと思われる、
石原裕次郎さんのカッコいい映画に出たいというのは、
若者なら誰でも思う事でしょうね。

石立さんのドラマのイメージからすると、
裕次郎さんより、クレージーキャッツに近い気もしますが(笑)。
(あのコミカルな感じが)

by 青山実花 (2014-10-06 20:26) 

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