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「血槍無双」 [映画]

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〔1959年/日本〕


浅野内匠頭が吉良上野介相手に刃傷沙汰を起こしてから数か月。
浅野の家臣たちは、
着々と仇討の準備を進めていた。


吉良邸の周辺は、
商人になりすました家臣が多数。
屋台の蕎麦屋・杉野十平次(大川橋蔵)もその一人。


十平次はイケメンで、
女にモテていたが、
本人は堅物で、そちらの方はからきし弱い。
さらに、侍でありながら、武芸が苦手で、
仇討の際、足手まといになるのではと、
本人も、周囲も、気にかかっている。


ある日、十平次はひょんなことから、
槍道場の師範・俵星玄蕃(片岡千恵蔵)と知り合い、
槍を習う事になった。
しかし、鈍臭い十平次の腕前は中々上達せず、
玄蕃は厳しく彼に当たる。


また十平次は、
吉良邸に出入りしている料亭の女将・お蘭が
自分に惚れているのを利用して、
吉良が確実に在宅している日を探りを入れる・・・。





忠臣蔵のスピンオフのような物語。


赤穂浪士は四十七人もいるので、
各人のエピソードには事欠かず、
いくらでも物語が作れるのだろう。
そういう意味でも、
忠臣蔵って、いい題材だと思う。


蕎麦の屋台を引く、
弱っちい男が、
実は吉良上野介への仇討に燃えているとは、
誰も気付いてはいないが、
槍道場の師範だけがそれを察するという展開が大変にいい。


師範はその事を決して口にはしないけれど、
十平次に、槍のある技を熱心に教える。


それってのが、
槍を畳に突き刺して持ち上げ、
相手に投げつける技なんだけど、
十平次はヘトヘトになりながら練習しても、
それを体得する事ができない。


そりゃそうだよね。
だって、畳よ、畳(笑)。
畳の重さがどれくらいあるのかは分からないけど、
素手で持ち上げるのだって大変だろうに、
槍一本で投げつけるなんて、
急にやれったって、簡単に出来ることじゃないと思うんだけど。
それとも槍の技としては、
オーソドックスなものなのかしら。


十平次は、師範の美しい妹・おたえと、
互いにほのかな恋心を抱くんだけど、
忠臣蔵って悲しい。
浪士たちはもうすぐ必ず死ぬと、
観ているこちらは知っている。
「愛しすぎないで」、と言いたくなってしまう。


十平次に惚れるお蘭もいい。
お蘭は十平次がおたえを好きだと知ってしまい、
激しい嫉妬に苦しむ。
でも、だからといって、
吉良に彼の存在を密告するような事はせず、
重要な情報を教えてくれる。
素敵な女性。


悪人が殆ど出てこない忠臣蔵。
良い映画だった。


評価 ★★★★☆

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