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「瀧の白糸」 [映画]

takinoshiraitoirie.jpg
〔1933年/日本〕


明治26年。
旅芸人一座の乗った乗り合い馬車が人力車に抜かれ、
乗客者たちから「遅い」と煽られた馭者の村越欣也(岡田時彦)は、
猛スピードで馬を走らせるが、
そのせいで馬車が壊れてしまう。


欣弥は馬車を捨て、
裸馬に一座の座長・瀧の白糸太夫(入江たか子)を乗せ、
金沢に送る。


瀧の白糸太夫は、水芸で人気の、
美しい看板スターだ。
金沢に着いた3日目の夜、
太夫が散歩に出ると、
橋の上で眠っている男がいる。
よく見ると、彼はあの日の馭者の欣弥ではないか。


欣弥は、馬車を壊した事で馭者の仕事を解雇されたと言う。
そして、自分は東京で法律の勉強をしたいが、
その為の金が無い、とも。
欣弥を好きになりかけていた太夫は、
自分が学費を出すから、
東京へ行けと欣弥に言う。
驚いた欣弥だったが、結局申し出を受ける事にする。


太夫の仕送りは、最初は実行できていたが、
欣弥の学校の終わりが近づいた頃、
苦しい状況になってくる。


思い余った太夫は、高利貸しの岩淵に金を借りに行くが、
岩淵が、別の旅芸人一座の男と組んで、
太夫を騙した事を知り、
岩淵を刺し殺してしまう・・・。





昨日は若尾文子さんの「滝の白糸」のレビューを書いたけれど、
こちらは若尾さん版より23年も古い、
入江たか子さんが主演の作品。


味わいの違いを楽しみたくて、
連続して観てみたけれど、
比べてみると、
若尾さん版は、アイドル映画だったんだなぁと分かる。


出演時の年齢は2人共、同じくらいのようだけれど、
若尾さんは、おぼこな娘のような描かれ方をしているように感じる。
たとえば、太夫が欣弥に学資を出すと申し出た夜、
若尾さん版の欣弥は、
彼女の指一本触れずに、すぐ東京に旅立つけれども、
入江さん版では、一夜を共にする、といったように。


1933年の映画で、弁士さんが、
「2人はその夜、結ばれたのであります」などと、
大真面目に語っているがなんだか面白くて、
でも、その流れの方が自然だなと感じる。
翌朝、欣弥に寄り添うように人力車に乗っている太夫の表情は、
とても幸せそうで、分かるなぁとも思ったり。


太夫が、金に頓着しない女だというもの分かる。
彼女は欣弥に送るつもりの金を、
座員の女の母が危篤だと聞かされ、
渡してやったり、
駆け落ちするという男女にカンパしてやったりと、
他人が困っていると放っておけない性格なんだな。
そもそも、いくら惚れたとはいえ、
2度しか会った事のない男の学費を出してやる事自体、
人がいいとも言えるけれども(笑)。


それにしても、昔の話って、高利貸しがよく出てくる(笑)。
それだけ困っていた人が多かったんだろうし、
あと、おそらく法律もそれほど厳しくなかったんでしょうね。
物語の悪役としては、
とてもいい職業だけれども(笑)。


今、とっても観たいのが、
京マチ子さん版の「瀧の白糸」。
あの妖艶な京さんは、
どんな太夫を演じるのだろう。


大映は、京さんの「瀧の白糸」のあと、
4年しか経ってしないのに、若尾さんでまた同じ映画と作るって、
なんでなんだろう。
昔のアイドルが通過した「伊豆の踊子」みたいなもの?
もちろん、それだけお話しが面白いという事なんだろうけど。


評価 ★★★★☆

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