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「まごころ」 [映画]

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〔1939年/日本〕


小学校6年生の富子(加藤照子)と信子(悦ちゃん)は、
大の仲良し。


富子は、母・蔦子(入江たか子)と祖母の3人暮らしで、
母の着物の仕立てで生計を立てている。
一方、信子の家は金持ちで、
父の啓吉は入り婿だ。


今日は夏休み最後の日。
通信簿をもらった2人は、
互いに成績を報告し合う。
富子は1番だったが、信子は10番。
それを知った信子の母は、
学校に乗り込んで文句を言うが、
逆に、信子は我儘な所があると諭されてしまう。


信子は夜、父と母が言い争っている声で目を覚ます。
最初は信子の成績の事だったが、
激昂した母が、
「どうせあなたは蔦子さんと一緒になりたかったんでしょ!」
と言うのを聞いてしまう。


翌日、信子は、その事を富子に告げる。
富子は驚き、ショックを受ける。


その後、近所の川で遊んだ富子と信子だが、
信子が足を怪我してしまい、
富子が薬を取りに帰ると、
心配した蔦子が一緒に付いてきた。
川に戻ると、そこに信子の父がいて・・・。





繊細で、良い映画だった。
「私は日本が大好きだ、
 そして、こんな風に日本が描かれている映画も大好きだ」と
強く感じた作品。


仲良しの少女2人の、父と母が、
昔、恋仲だったらしいという、
描き方によっては、生々しい話になりそうな題材を、
とても綺麗にまとめてある。


2人が6年生という設定も、とても効いている。
子供なんだけど、そう幼いというわけでなく、
でも、大人というには早い、
そんな年頃。


そんな少女2人が、
親の過去を知ってショックを受ける様子が素晴らしい。
信子は多少ドライだけれど、
富子の動揺は大きく、
家に帰って、母に確認する。


子供目線の映画だけれど、
川で、蔦子と啓吉が再会する場面は、
実はこちらもドキドキした(笑)。
2人は結婚後、初めて会ったらしく、
普通に、大人としての会話をする。
軽口なんかは叩かないし、
過去を知らない人が見たら、
昔恋仲だったなんて、気付きもしないくらい節度を持った応対。
とても素敵な2人だった。


それに対して、
信子の母は、性格に多少難ありというように描かれている。
娘の成績が下がった事を、
学校に抗議に行く母。
モンスターペアレントって、
最近の風潮かと思ってたけど、
こんな昔にも、いなくはなかったんだと確認。


でも、この場面が可笑しくて、
劇場内からはクスクス笑いが聞こえる。
先生の指摘は辛辣で、
母はグーの音も出ない。
そのやり取りが実に楽しい。


そんな母も、
ラストはきちんと反省の様子を見せる。
ラストだから急転直下という感じではなく、
とても自然な流れでそうなる。
自分の非を認めるって、
難しい事だけれど、
それが出来た母も、
本当はいい人なんだと、
ホッとするような気持ちになる。


召集令状が来た事が、
誇らしい、喜ばしい事のように描かれていなければ、
満点なんだけどな。


評価 ★★★★☆

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