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「チョコレートドーナツ」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


ショーパブでダンサーとして働く、ゲイのアラン・カミングは、
ある夜、客として来ていた弁護士・ギャレット・ディラハントと
互いに強く惹かれ合い、情交する。


アパートに帰ったカミングは、
日頃から大音響で音楽をかける隣人の女に、
文句を言おうと部屋を訪ねるが、
女は男と出掛けており、
ダウン症の息子・アイザック・レイヴァが
取り残されいるのを発見する。


ディラハントに相談しようと、
彼の事務所に行ったカミングだが、
彼は迷惑そうに、「家庭局に連絡しろ」と言い捨てる。
実は彼は、自分がゲイなのを仕事場では隠しており、
突然のディラハントの訪問に戸惑ったのだ。


自分の態度が悪かったと、
すぐに謝罪したディラハントをカミングは許し、
2人の仲は、より深いものとなる。


その後、レイヴァの母親が薬物使用で逮捕され、
いよいよ行き場のなくなったレイヴァは、
施設に入れられる。
しかし、そこを抜け出し、
夜道を歩いている所をカミングに拾われ、
彼らは3人で暮らす事になる。


レイヴァを学校に入れ、
眠る前は物語を聞かせ、
休日を楽しく過ごす3人は、
もう完全に家族だ。


なんとかレイヴァの親権を取る為に、
2人は裁判に臨むが、
周囲の偏見は強く、
ディラハントは職場を解雇されてしまう・・・。





マイノリティの者同士が、
肩を寄せ合って生きる・・・
たったそれだけの事なのに、
なぜ世の中はこうも、
面倒臭いんだろう。


これは70年代のお話で、
40年近く前は、
まだ世の中の、
ゲイへの拒否反応は、
今の比ではないのだろうと想像する。


では、今は世の中は良くなったんだろうか。
確かにマイノリティの方への配慮は、
以前よりされるようにはなったと思うけれど、
学校でのいじめなどが頻繁に起こる事を考えると、
やっぱり「人と違う」という事が、
集団の中から排除されるのは、
基本的に昔と変わらないのではないかと思ったりもする。


それから、杓子定規な法律への苛立ち。


犯罪者の母が子供を育てられない、
そして、その子を引き取りたいという、
(ゲイではあるが)カップルがいる。
事は簡単に済みそうなんだけど、
そうはいかないのが、法律ってやつで。


もちろん、自分は法律に守られていて、
だから安心して暮らしていられるわけで、
文句は言えないのだけれど。


なんというか、
私がここでごちゃごちゃ屁理屈並べても、
どうにも表現しきれないようなラスト。
人間って馬鹿だ。


評価 ★★★★☆

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コメント 2

yonta*

なんていうか・・やるせないですね。
ほんとうにおっしゃるとおりで、70年代のマイノリティの方々への
風当たりは今と比べ物にならなかったと思います。
かといって、今差別がないのかと言えばそうではなく、
正直上っ面のような気もしますし・・・

ふたりがマルコを引き取りたくて、なによりマルコが
彼らと暮らすことを望んでいる。そこに何の問題があるのか。
ラスト近くの、ポールの事務所の元上司の行為なんて、
悪意があるとしか思えませんでした。
多数派って、肝心なことを見えなくする怖さがあるのかも。
「フルートベール駅で」もそうですが、観終えて言葉が出ないですね。
私が落ち込んでも、しょうがないんですが・・^_^;
by yonta* (2014-05-11 10:52) 

青山実花

yonta*さん
コメントありがとうございます。

映画の結末を知った時、
心の中で自然に「あーあ」という言葉が漏れてしまいました。
あとは溜息のみ。。。

私も、今も、一見差別がなくなっているように見えて、
実は昔と何も変わっていないと思う事があります。
ネットなどで糾弾されるから、
表っ面は「みんな平等」みたいな顔をしていますが、
かえって問題は深くなっているんじゃないかって。

本当に、あの上司は意地悪だと分かってやっていますよね。
見て見ぬフリとか、あえて意見は言わないとかいう
消極的な意地悪なら、まだ理解できますが、
あれは積極的な意地悪。
最悪でした。

この映画も「フルート~」も脱力でしたね。
悲しい出来事が多すぎます。。。

by 青山実花 (2014-05-13 14:48) 

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