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「クリスティーン」 [映画]

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〔1983年/アメリカ〕


1972年。
冴えない高校生・キース・ゴードンは、
家では親からの過剰な干渉を受け、
学校ではいじめられる日々。
その日も、不良グループに取り囲まれるが、
駆け付けた唯一の友達・ジョン・ストックウェルが助けてくれ、
不良のリーダー・ウィリアム・オストランダーは
退学になる。


その日の帰り道、ゴードンは、
民家の庭先で、廃車同然に置かれていた真っ赤な車・プリマスを見て、
なぜか強く心惹かれ、
ストックウェルが止めるのも聞かず、
買い取ろうと決める。
持ち主で、気味の悪い初老の男は、
車を“クリスティーン”と呼び、
この間亡くなった弟が乗っていた、と言う。


その後、ゴードンは人が変わったようになってゆく。
自信なさげだった彼が、
目つきまで鋭くなり、
学校で一番の美人・アレクサンドラ・ポールを恋人にし、
また、両親にも激しく反抗する。


一方、学校を退学となり、
ゴードンへの恨みを募らせていたオストランダーと仲間たちは、
ガレージに忍び込み、
クリスティーンを、これ以上はできないくらい、
めちゃくちゃに破壊してしまう。


しかし、クリスティーンは、
まるで生きているかのように、
車を再生させ、
オストランダーたちに復讐を始める・・・。





スティーブン・キング原作の小説を、
ジョン・カーペンター監督が映画化。


意思を持った車が復讐するという、
普通に考えれば荒唐無稽な物語を、
大変に面白く魅せる。
キングの原作も良いのだろうし、
監督も演出も上手いのだろう。


その車“クリスティーン”が、
なぜ、人の心を持つようになったのかは、
特に描かれてはいない。
なにせ、工場で作られている時から、
人を殺していたくらいだから、
人間の霊が憑りついたとか、
そんな事もなさそうだ。
逆に、その理由のなさが不気味で面白い。


なんといっても好きなのは、
車体を傷つけられた“クリスティーン”が、
まるで怪我をした生き物が自然治癒するみたいに、
ピカピカの元の姿に戻ってしまう場面。


フィルムを逆回ししているのかなぁとは思うけれど、
とにかく見入ってしまう。
それから、少し羨ましくもある。
私の愛車・ヴィッツも、
ぶつけた事はないけれど、
小さな傷が無数にあって、
あれが“クリスティーン”みたいに、
自然治癒したら、どんなにいいだろう、って(笑)。


それから、キース・ゴードンの演技も、
見所の一つ。
“クリスティーン”に出会って、
憑りつかれたようになってゆく演技が秀逸。
どんな事にでも、
あまりにハマりすぎる人の顔って怖いと思わせてくれる。


車には全く詳しくないけれど、
“クリスティーン”を演じる(?)プリマスという車種は、
クライスラー社で作られた、
実在する大衆車らしい。


一体、この映画の為に、
何台のプリマスを使ったんだろう。
何度も、修理不可能なくらいボコボコになったり、
燃え上がったりしているし。


そして、このようなホラー映画にプリマスを使用する事を、
クライスラー社は承知したんだろうか。
まぁ、考えようによっては、
いい宣伝になるわけで、
その効果を狙ったのかもしれないけど。


評価 ★★★★☆

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nikopon

アメリカはその辺ドライに割り切って
広告と思うみたいですね。
日本のドラマの話ですが
自動車会社のスポンサー枠ですと交通事故のエピソードを
入れようとすると難色示されるとか、色々あるようですよ。
聞いた話ですけど。
カーペンター監督好きですが、これは未見でした。
面白そうなので、見てみます♪
by nikopon (2014-02-28 23:15) 

青山実花

nikoponさん
コメントありがとうございます。

自社の製品が、繰り返し繰り返し、
映画内はもちろん、CMやポスターに映れば、
それは大変な宣伝になりますものね。
日本の方が、その点、色々気にするのでしょうか。

これは中々面白い作品でした。
機会がありましたら、ぜひご覧になって下さいね。

by 青山実花 (2014-03-01 13:53) 

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