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「100,000年後の安全」 [映画]

100000nengonoanzen.jpg
〔2009年/フィンランド〕


フィンランドのオルキルオト島にある、
「オンカロ」と呼ばれる放射性廃棄物保存施設。


放射性物質は無害になるのに、
10万年かかる。


この施設の存在を、
後世の人々にどのように伝え、
受け渡すのかを
描いたドキュメンタリー。





データや写真などを見せられ、
脱原発を声高に叫ぶような内容だったら、
ちょっと嫌かな、と思ったいた。


それに、
「10万年後なんて大げさな、
そんな先の事なんて考えられないよ」とも、
観る前は思った。


けれど、
もう、全然違っていて、
専門家や、「オンカロ」に関わる人々が、
この施設を未来にどう受け渡すのかを、
あらゆる事態を想定して、
カメラの前で語ってゆく。


つまり、原発はある事が前提の内容だ。
もちろん、これの映像を作った真の目的が、
脱原発にあるとしても、
その事には全く触れていない。
映像を見た人が触発されて、
脱原発派になっても、
それは自由という事だ。


原発に関係なく、
人間がこの先辿るであろう道を模索する内容として、
とても面白い。
考古学というのはあるけれど、
未来学とでも言ったらいいのか、
今現在が、未来人たちにとって「太古の昔」になった時、
「オンカロ」をどのように理解するのかといった話し合い。


人間は、この先も進化し続け、
言語だって変ってゆく。
どのような天変地異が地球を襲うかも分からないし、
戦争が起こらないとも限らない。
「オンカロ」に近寄ってはいけないと、
後世に伝えようとしても、
いつかここは忘れ去られる。


もし、未来の人間が「オンカロ」を発見した時、
どう思うだろう。
過去の人間が残した、何か素晴らしい遺産かもと、
新しい発見に驚き、掘り出してみたくなるだろう。


注意を書いた壁を建てたらどうか、という意見。
それよりいっそ、「オンカロ」の存在を
人類の記憶から消し去ってしまえばいいという意見。


そう考えると、
例えば、
エジプトのピラミッドに代表されるような、
世界中にある遺跡だって、
未来の人間に、
何かを警告するために建てられたという事もあり得る、などと、
なにかミステリー映画のような、SF映画のような事まで考えてしまう。


それにしても、
未来永劫、人々に何かを伝える事が、
これほど難しいとは思わなかった。
人が遠い過去に、
なにかロマンを感じるのは自然な事だし、
「知りたい」という欲求を抑えるのは難しい。


まして、過去の人たちが、
未来にこんな負の遺産を残しているとは、
想像しないであろう。


まぁ、10万年後、
人類自体が存在するかどうか、
それさえ分からない話ではあるけれども。


評価 ★★★☆☆

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