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「ウディ・アレンの夢と犯罪」 [映画]

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〔2007年/イギリス〕


ユアン・マクレガーとコリン・ファレルは、
ロンドン在住の仲の良い兄弟。
マクレガーは父のレストランを手伝っているが、
いずれ投資家になりたいとの夢を持ち、
ファレルは自動車修理工場で働いている。


2人は格安で小型クルーザーを共同購入する。
互いのガールフレンドを伴い、
沖へ出る楽しみも増えた。


そんなある日、マクレガーは、
売出し中の女優・ヘイリー・アトウェルと偶然知り合い、
彼女の魅力に参ってしまう。
アトウェルも、マクレガーを金持ちと思い込み、
二人は付き合うようになる。
彼女のためにも、
早く投資家として身を立てたいと焦るマクレガー。


一方、ギャンブル好きのファレルは、
ポーカーの賭けで大きな借金を背負ってしまった。
兄弟の頭の中は、今や金の事でいっぱいだ。


そんな時、渡りに船とばかりに、
彼らの伯父がアメリカから遊びに来た。
伯父は、美容整形医師としてハリウッドで大成功しており、
大金持ちだ。
2人は伯父に事情を話し、
金を都合してくれないかと頼み込む。


伯父は理解してくれたかに見え、喜ぶ2人。
ところが、その交換条件として、
ある人物を殺してほしいと言われてしまい・・・。





ウディ・アレン監督の、ロンドン三部作の最終章。


2作目の「タロットカード殺人事件」が、
コメディタッチだったのに対して、
本作は、1作目の「マッチポイント」(大傑作!)と似たテイストの、
シリアスな犯罪物。
「マッチポイント」ほどのインパクトはないものの、
あの緊張感は、十分味わえる。


喉から手が出るくらい金を欲している兄弟が、
金を貰う代わりに殺人を依頼される。
最初は、驚き、当然断る2人。


しかし、一晩考えて、
引き受けようと言い出したのは兄。
どちらかというと、兄の方が理知的で、
弟は自由奔放というキャラだったから、
これは意外な展開。


その演じ分けは、最後まで続く。
案外図太い兄。
精神に異常をきたしてしまう弟。


実際に、人を殺めてしまった場合、
その事を隠し通すのには、
どれだけの精神力が必要なんだろうと考える事がある。
たとえ警察にはバレずに、
事件そのものは迷宮入りしてしまったとしても、
自分の中の殺人の記憶は消せるものではないし、
最大のダブーを犯してしまった自分を、
どのように感じるものなのか。


心が何でも無い時は、
案外、平気に生きていける気はする。
その事すら忘れてしまうような日常を送れる気もする。
ただ、何かをきっかけに、
落ち込んだり、心が傷ついた時に、
それが一気に吹き出しそうだ。
かさぶたが割れて、新たな血が流れ出すように。
良心の呵責に耐えかねて、
自首してしまうかもしれない。


そんな事ばかり考えてしまう私が、
映画の観すぎなんだろうけど(笑)。


最後まで、「この先どうなるの?」という緊張が続く。
で、結局、「そうなるか」って感じで。
ある人物の一人勝ち。
人生なんて、そんなものなのかも。


評価 ★★★★☆

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