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「人情紙風船」 [映画]

ninjoukamifuusen.jpg
〔1937年/日本〕


江戸時代。
貧乏長屋に住む浪人が縊死し、
住人達は大騒ぎ。
亡くなった人を弔ってやろうと皆で繰り出すが、
実は酒が飲みたいだけ(笑)。


長屋の住人の一人、浪人の海野又十郎は、
父の知人の侍・毛利三左衛門に、
仕事を紹介してもらおうと、
父の手紙を持って日参するが、
まるで相手にされない。


その毛利は、
質屋の白子屋の美しい娘・お駒を、
自分の上司の部下に紹介し、
自分の株を上げようと躍起になっているが、
お駒は番頭に恋している。


白子屋の用心棒をしている、
ヤクザ一家の親分・弥太五郎源七は、
長屋の住人・信三が勝手に賭場を開いている事を怒り、
信三を痛めつける。
しかし彼はそれに懲りず、
その夜も賭場を開く。


信三は源七を困らせてやろうと、
駒子を誘拐し、
又十郎の部屋に連れてゆく。
白子屋に頼まれて、
駒子を迎えにきた源七を追い返し・・・。





江戸時代を実際に生きたわけじゃないのに、
物凄くリアルな物を感じる。
当時の人々って、
本当にこんな感じだったんだろうな、と思う。


長屋に暮らす町人は、
おしなべて貧しく、
だから、たとえ葬式であっても一大イベント、
酒を飲む機会を逃しはしない。


浪人の海野又十郎は、
さすがに武士だけあって、
他の住人とは毛色が少し違うけれど、
ある意味、彼の苦しみが一番深い。


仕事を欲していても、それが叶わず、
妻は紙風船作りの内職をしている。
彼は妻を心配させまいと、
「もうすぐ決まりそうだ」と苦しい嘘まで吐く。


質屋の中の様子も、
私には大変に興味深かった。
最近、古い時代の商家の家を舞台にした映画を
よく観るのだけれど、
その場合、商家の誰かが主人公なだけに、
どうしても商家側からの主観で描かれている。


なので、この映画のように、
客観的な目で見た商家の様子が面白くて。
「番頭はんと丁稚どん」のようなわけにはいかないなと
思ったり(笑)。


喜劇でもなく、悲劇でもなく、
ただそこにある、人々の日常。
一つ思ったのは、
この時代って、人の死が、
今よりずっと身近に感じられたのかも、という事。


評価 ★★★★☆

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