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「続 番頭はんと丁稚どん」 [映画]

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〔1960年/日本〕


明日は大阪・道修町のお祭りの日。


薬問屋「七ふく堂」で元気に働く丁稚・崑松(大村崑)は、
祭りが何かもよく分かっていなかったが、
丁稚仲間の浮かれた様子に、
自分までウキウキ。
明日を楽しみにしていた。


ところが、そんな日に限って、
博多から「九州堂」の主人がやって来ると言う。
九州堂が早く帰らなければ祭りには行けない。
丁稚たちは、九州堂対策をあの手この手と考え出し、
なんとか追い帰す。


しかし、一難去ってまた一難。
今度は「漢方堂」から、
集金に来いと連絡がきた。
「大金だから、番頭の雁七(芦屋雁之助)が行くように」と、
御隠居はんから命じられるが、
雁七は、お嬢さんから呼び出しに応じるため、
崑松を使いに出す。


ところが崑松は、
金の入った袋を漢方堂で取り違え、
店に帰ると金がない。


責任を感じた崑松が、
金を探しに夜道を引き返すと、
自分と瓜二つのサーカスの息子と間違えられ、
サーカスに入団する事に・・・。





先日書いた「番頭はんと丁稚どん」の続編。


1作目同様、崑松が可愛くてたまらない。
頭は多少ゆっくりだけれど、
彼なりに、「七ふく堂」の仕事にも慣れてきたと見え、
映画の中とはいえ、ちょっとホッとする。


見過ごされそうな場面だけれど、
ちょっと泣けるセリフがあった。
「そんな事なら、田舎に帰すぞ」と叱られた崑松は、
「田舎に帰してくれるの?嬉しい」みたいな返事をする。
つまり、「田舎に帰される」という事は、
彼にとって罰でも何でもなく、喜ばしい事なのだな。


でも、
「田舎に帰ったら母ちゃんが悲しむぞ」と言われると、
「母ちゃんが悲しむのか?じゃあ帰らない」と、
健気に母親を思いやる。
なんていじらしいんだ。
楽しそうにやっているように見えても、
本当は母が恋しくて、
でも、母を悲しませないように頑張る、といった気持ちが、
凝縮されているようで、グッときた。


しかし、その後の展開は、
あまりに荒唐無稽すぎやしないか?(笑)
崑松がサーカスに入るなんて、
異業種にもほどがある(笑)


できれば「七ふく堂」の日常生活の中での、
すべった転んだが観たかったので、
そのあたりは期待とはちょっと違っていた。


それにしても、
大村崑さんという人は、
本当に本当に凄い人だ。
このシリーズでの彼は、崑松にしか見えない。
崑松になりきっているとしか言いようがない。


どなたかのHPで、
「今はこのような映画は作れないのではないか」と
書かれているのを読んで、
「なるほど、そうかもしれないな」と思った。


もし、今、崑松のような人を主人公にしたら、
何かとても大真面目な映画が出来上がってしまうような気がする。
でも、この映画は、
決して崑松を馬鹿にしてはいない。
彼は至って当たり前に日常に溶け込み、
他の丁稚仲間と楽しくやっている。
今の世の中、
もっと色々と肩の力を抜いた方がいいんじゃないのかなぁ。


評価 ★★★☆☆

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