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「わが恋は燃えぬ」 [映画]

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〔1949年/日本〕


明治時代。
自由民権の思想が日本中に広がっていた頃。


岡山県に住む平山英子(田中絹代)も、
男女平等を目指して、
女子解放を謳っているが、
家は昔ながらに封建的で、
両親は彼女の考えなど、理解する事もできない様子。


英子の恋人で自由党員の早瀬龍三(小沢栄太郎)は、
東京に出て、さらなる運動をすると言う。
早瀬が出立してから、
ほどなくして、英子も故郷を捨て、
早瀬の下宿を訪ねる。


ところが、早瀬の様子がおかしい。
彼は東京で藩閥政府のスパイに成り下がっていたのだ。
ショックを受ける英子であったが、
自由党の重鎮・重井憲太郎(菅井一郎)に励まされるうちに、
早瀬と別れ、
いつしか重井懇意になる。


そんな中、酷い待遇で働かされていた、
製糸工場の女工で、英子の幼馴染・千代が職場に火をつけ、
逮捕されるという事件が発生。
偶然その場にいた英子も逮捕されてしまう。


数年後、恩赦で出獄した英子は、
重井と暮らす家の二階に
千代を住まわせるが、
重井と千代が出来上がっている事に気付く・・・。





男女平等、か。
頭では分かっているけれど、
今の私にその言葉は、
イマイチ、ピンとこない。


それは、今の私の生活の中で、
男女が不平等だと感じる場面が
殆ど無いからだと思う。
むしろ、女の方が威張っている事が
多々ある気もする(笑)。


ただ、私が今のそんな生活ができるのは、
この映画のような先達さんたちがいたからでしょうし、
それに、私がたまたま今のような環境にいられるだけで、
世の中には不平等な思いをされている方も沢山おられるだろうから、
一概に、「今の世の中は」という言い方で片付く問題ではないだろうし。


それから、男女平等と一言でいっても、
やっぱりそこには違いがあるのは事実よね。


英子が岡山から出てきて、
早瀬の下宿に転がり込んだ時、
「そ、それは、僕と結婚してくれるという事?」
と聞かれるのだけれど、
「いえ、そのような事は活動が軌道に乗ってから。それまではお友達」と
彼女は答えるんだな。


その場面に私は、
「そんな無体な」という言葉が自然に頭に浮かんできたよ(笑)。
だって、英子は早瀬の部屋と
襖一枚隔てた納戸で寝泊まりすると言うのだもの。
早瀬にしてみたら、お預け食った犬のような状態じゃないか(笑)。


その後、早瀬と別れて重井と恋仲になる英子だけど、
重井と、友達の千代が出来上がる場面を見て、
これまた自然に、
「やっぱりそうなった」という言葉が浮かんできた。


いくら進歩的な考えの持ち主と標榜してはいても
重井が女を男より劣っていると考えているのは一目瞭然。
浮気現場が見つかった時、重井は、
「あの女は妾だ、端女だ」と平気な顔で言う。
女を「端女」と呼べる感覚の男に、
心からの平等の意識はないであろう。


でも重井が千代とイチャイチャしている様子は、
英子といる時よりずっと楽しそうにも見える。
男女平等は素晴らしいけど、
それだけで片付けられない事があるのも事実。


評価 ★★★☆☆

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