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「剣鬼」 [映画]

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〔1965年/日本〕


人間と犬との交配によって生まれた斑平(市川雷蔵)。


その異常な出生により、
世間から蔑まれてきた斑平であったが、
花作りにかけては天賦の才能があり、
その能力を見込まれて、城の花係を命じられる。


また、斑平は大変な俊足で、
その走りは、人々を驚かせる。
そんな斑平は、山中で人知れず剣の稽古をする老人に出会い、
居合術を学び、
そちらの方の腕も上がってゆく。


その頃、城内では藩主・海野正信(戸浦六宏)の扱いに、
皆が困り果てていた。
精神に異常をきたし始めた海野は、
刀を振り回し、近寄るのも危ない状態。
それを隠し通すか、
新たに藩主に立てるかで、
城内の話し合いは、結論が出ない。


いよいよ藩内の反体制派の動きが活発になってきたと見た、
小姓頭・神部菊馬(佐藤慶)は、
それを封じ込める為、
斑平に、彼らを斬り殺すように命じる・・・。





市川雷蔵の「剣三部作」の三作目。


人間と犬との間に生まれた子て(笑)。
その設定だけでビックリだ。
「八犬伝」のようなお話もあるけれど、
あちらが、怪奇物というか、ファンタジー的要素があるのに対して、
こちらは大真面目。


しかも、父である犬がブチだからって、
斑平って名前はないだろう。
まるで生まれた時から、
いじめられる事が運命づけられているような、
その名前。


ただ、斑平が間違いなく犬の子だという、
表現はされていない。
あくまでも疑惑。
けれど、彼の人並外れた能力に、
人々は畏怖を感じ、
「やっぱりそうなのかも」と思わされるのも事実。


なにせ、彼の走りは馬より早い。
全力で走っている馬に追いついて、
さらに抜かしたりもする。
そこは笑っていい場面なんだろうか。
笑わせているといった雰囲気はないんだけど。
(でも笑う)


花を愛する、優しい心の斑平が、
剣が立つからと、人斬りにされる様子が哀れで。
斬りたくなくても、斬らねば殺される。
その葛藤が、市川雷蔵の表情から窺われて、
辛い気持ちになる。


「剣三部作」というけれど、
三作に内容の共通点はまるで感じられない。
三隅研次監督と市川雷蔵のコンビという意味での、
三部作なのだろうか。
私は二作目の現代劇、「剣」が一番好き。


評価 ★★★☆☆

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