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「斬る」 [映画]

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〔1962年/日本〕


小諸藩士の高倉信吾(市川雷蔵)は、
父と妹と、平穏に暮らしていたが、
父に頼み込み、
3年間の条件で旅に出る。


3年後、家に戻った信吾の元気な姿に、
父と妹は大変に喜ぶ。
帰郷直後、
水戸の剣客・庄司嘉兵衛との御前試合が行われるが、
若い侍たちは、誰一人庄司に勝てない。
業を煮やした藩主は、
最後に信吾を指名。
元々、剣は苦手な信吾だったが、
旅の最中に編み出した、「三絃の構え」で、
見事に相手を倒す。


侍たちは信吾を絶賛したが、
隣家の池辺はそれに嫉妬。
信吾には出生に秘密があると、
皆に触れて回る。


激怒した信吾の父は、
池辺に激しく詰め寄るが、
逆切れした池辺に、
父と妹は殺される・・・。





柴田錬三郎原作。
「剣三部作」の第一作という事だ。


出だしはかなり面白い。
今、まさに打首になろうとしている、藤村志保。
けれど、刀を振り上げた天知茂の目が、
何かを物語っていて、
プロローグには相応しい幕開け。


そして、「20年後」とくれば、
市川雷蔵の出生に、
藤村と天知が関わっている事は、
誰も目にも明らかであろう。


最初は、市川が、
その事を知ったうえで、
父や妹を大事にしているのかと思っていたのだけれど、
そうではないらしく、
隣家の池辺の話を立ち聞きした彼は、
かなりな衝撃を受けている様子。
自分の親が、実の親ではなかったとは、
たとえ何歳でそれを知らされても、
きっとショックな気持ちは同じなんだろうなと、
彼の気持ちを考えながら観ていた。


ただ、笑ってはいけないけれど、
池辺に斬られた父が、
息も絶え絶えな中、
市川に、出生の秘密を打ち明ける場面が長いのよ。
死にかかったあんな状態で、
あそこまで事細かに、
過去を説明できる者はいないであろう(笑)。
「伝えなきゃ」という思いが強固だったのかもしれないけど。


その後の展開は、
彼の出生とはあまり関係なく進む。
思い切り出生に絡めた方が、
面白いんじゃないかと思うんだけど、
それは私の勝手な希望(笑)。


この映画で市川がする、
「三絃の構え」。
彼はこれを「邪剣だ」と言って、
あまり使いたがらない。
たしかに、今までに見た事のない構えで、
戦う以前に、
構えただけで相手が委縮してしまうという優れもの。
市川雷蔵だから、よりカッコよく見えるのかもしれないけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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