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「土」 [映画]

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〔1939年/日本〕


貧しい小作人の勘次は、
娘・おつぎと、息子・与吉、
そして、死んだ妻の父・卯平と暮らしている。
懸命に働いてはいるが、
生活は一向に楽にならない。


勘次は卯平から借金をしている。
卯平は、娘に亭主にもう少し甲斐性があればと、
勘次に不満を持っている。
そのせいで、2人の折り合いは悪い。


あまりの生活の苦しさに、
勘次は盗みを働くようになる。
しかし、それに気付いたおつぎは、
勘次の盗んだものを川に流したりする。


おつぎと同じ年恰好の村の娘たちは、
町に奉公へ行くが、
勘次はおつぎを手放したがらず、
おつぎも、農作業と、父と弟と祖父の面倒があるので、
家に留まる事を決める。


ある日、卯平と与吉が留守番中、
マッチの火が藁に燃え移り、
あっと言う間に、家全体が炎に包まれてしまう。
村の人たちが懸命に消火作業するも、
家は全焼。


責任を感じた卯平は首を括ろうとするが失敗。
勘次はそんな卯平を可哀相に思い・・・。





長塚節の小説を、内田吐夢監督が映画化したという作品だけれど、
戦災でフィルムが失われたと長らく思われていたところ、
ドイツに保存されたものがあったそうだ。


そのせいで、ドイツ語字幕がついているこのフィルムは、
最初と最後がやはり切れていて、
日本語のテロップで、
その欠損部分の内容が補われている。


サイレント映画ではないけれど、
雑音が大きく、とにかく聞き取りにくい。
俳優さんたちが何を言っているのか、
分からない部分も多いので、
小説の粗筋を辿りながら観る。


地味で暗く、
その貧しさは救いようがないという話だけれど、
それでも、そんな暮らしの中で、
多少の金が入れば、
勘次がおつぎに、帯を買ってやろうと言い出すなど、
悪い要素ばかりではない。


それに、村の人々が、
結構優しく、村八分のような話でないのが救われる。
庄屋のおかみさんは、
勘次一家に親身になってくれるし、
みんな、火事を出した時の消火活動はもちろん、
その後も、何かと親切にしてくれる。


こういった貧しい日本の昔を映画で観る度に、
今の繁栄と贅沢は、
こういった人々の過去があって成り立っているんだなぁと
いつも思う。


評価 ★★★☆☆

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