「未成年 続・キューポラのある街」 [映画]
〔1965年/日本〕
キューポラのある街・川口で、
ジュン(吉永小百合)は17歳になった。
父は相変わらず鋳物工場で働き、
母は貧しい一家を切り盛りしている。
ジュンは、昼間はカメラ工場で働き、
夜は定時制高校に通っている。
ジュンと友達は、
卒業後は、
職工から、事務に配置換えされる事を夢見ていた。
しかし、そんなジュンたちを快く思っていない同僚もおり、
彼女は、大人になるにつれ、
世の中の矛盾に気付き始める。
幼馴染の克巳(浜田光夫)は、
新しい工場作りに燃えていた。
彼曰く、
「その会社は、社長も社員もない、皆が平等。
利益は全員で分配」
だと言う。
ジュンの母も、克巳の工場で働き始めるが、
父は、年若い克巳に使われる妻が気に入らず、
飲んだくれている。
ある日ジュンは、友人に誘われて、
高校生の集いに行く。
声を大にして、
自分の考えを主張する出席者に、
ジュンは気圧され、何も発言できない。
そこへ、朝鮮高校の生徒たちがやって来る。
差別を受けているという彼らの主張を聞き、
彼女は何かに目覚める。
ジュンには、
数年前、
父と共に北朝鮮に帰った在日朝鮮人の友人・ヨシエがいた。
ヨシエの母は日本人で、
一人、日本に残ったのだが、
そんな彼女に、ジュンは北朝鮮行きを強く勧める・・・。
吉永小百合の「キューポラのある街」は、
以前にビデオで観たけれども、
続編があるとは知らなかった。
今回、ビデオが借りられたので、
観てみたわけだが、
いやー、その内容にビックリだ(笑)。
高校生の吉永小百合が、
友人の母親に、
北朝鮮行きを勧めるって、
現代なら考えられない事であろう。
その母が在日なら、
それも仕方ないと思うけど、
彼女はれっきとした日本人よ!
しかも、最後のお見送りの時まで、
「行きたくない」と泣いている。
吉永さん、とんでもない事をしでかしてくれたもんだ。
高校生の集いというのも、
こっぱずかしくて、観ていられない。
そんな集いに来るくらいの子たちだから、
皆さん、立派に色々考えていて、
それを声高に主張する。
人は、自分の考えを誰かに知ってもらいものだってのは、
分かってる。
現代は、その集いが、
ブログやその他のツールに代わっただけだとも思う。
ただ、その内容が、
やっぱり今とは違う。
説明する能力のない自分がもどかしいけど、
なんだか観ていられない。
浜田光夫の、
「利益の分配」も、なんだかなぁ。
ある種の思想の持ち主が、
観客を扇動しようとしていたのか?とまで勘繰ってしまうよ。
まぁ、そういう時代だったのでしょうね。
今作られている映画だって、
何十年か後には、
「古い」と言われるんだろうし、
今、常識だと思われている事が、
180度ひっくり返っている事だってあるかもしれないし。
評価 ★★☆☆☆
今日は。楓と申します。
父親が吉永小百合さんの昔からのファンです。でも、キューポラのある街に続編があるのは、意外と知らないかもしれません。少し遅い帰省をするので、ここで仕込んだ知識を披露してみます。
by 楓
by さつき (2013-08-16 12:05)
私はこの作品を知らないのですが
必ずしも政治的な意図があったわけではなく
今に比べてまだ貧しくて
かつ情報も論考力も不足していた当時の
日本をリアルにあらわしたものかもしれません
北朝鮮への帰国事業推進は、当時の保守勢力も含まれて
いるので、特定の政治思想に基づいて行われたわけではなく
安保闘争とかウーマンリヴなどと同じで、
そういう社会の雰囲気というかブームだったのだと思います
たとえばブーフーウーの狼役の永山一夫さんが北に渡ったのも
共産主義者だからというより
同胞意識と「楽園幻想」ではなかったと思います。
この作品に岡田可愛さんは出ているのでしょうか
前作は彼女のデビュー作なのに、なぜか彼女は
自らのプロフィールについて
「青春とはなんだ」をデビュー作に書き換えています。
かつての安田成美「春よ来い」降板事件ではありませんが
彼女の立場からは、触れたくない作品なのかもしれませんね。
by いっぷく (2013-08-17 09:28)
楓さん
コメントありがとうございます。
吉永さんは、ある年齢の男性からは、
絶大な支持を受けていますね。
どれだけ人気があったかが偲ばれます。
お父様にぜひ、この映画や、
先日書いた「若草物語」のお話しなど、なさってみて下さいね。
もしかしたら、
「当時劇場で観た」なんて言われたりするかもしれませんが・・・(笑)。
お父様の反応、私まで楽しみでワクワクしています。
by 青山実花 (2013-08-17 20:45)
いっぷくさん
コメントありがとうございます。
いつもご丁寧なお話しに感謝しています。
確かにこの映画での北朝鮮は、
現在、日本の誰もが知る北朝鮮としては描かれていませんね。
(もしそうなら、吉永さんがそんな事を勧めるわけないでしょうし)
梁石日さんの小説や、
映画、「パッチギ」などでも、在日のかたやその家族が、
朝鮮に帰るという話が描かれていますので、
雰囲気は分かります。
「楽園幻想」、
まさしくそうでしょうね。
北朝鮮がこの世の楽園だと聞かされ、
船で出発した日本人女性が、
かの地の港の、貧しく荒れ果てた様子に、
泣き崩れたというエピソードも知っています。
情報が少ない時代の、不幸な話なのでしょう。
(いや、どんなに情報があっても、
これだけオレオレ詐欺に騙されるかたがいるのですから、
いつの時代も、一定数、そういう方がいるのかもしれませんが)
岡田可愛さんのお顔がよく分からないので、
ウィキペディアで経歴を調べてみましたら、
この映画にも出ていますね。
岡田さんにとって、消したい黒歴史なのでしょうか。
ついでというわけではないのですが、
ウィキペディアで「キューポラのある街」を検索してみましたら、
やはり、北朝鮮問題についての解説がありますね。
永山一夫さんという方についても調べてみましたら、
やはり北朝鮮帰国後のお話しが書かれていました。
この問題を書き出すと、
本当にキリがないくらい、
知りたい事が出てきます。
また機会がありましたら、
色々教えて下さいね。
by 青山実花 (2013-08-18 09:51)