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「打撃王」 [映画]

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〔1942年/アメリカ〕


ニューヨークで生まれたルー・ゲーリッグ(ゲイリー・クーパー)は、
野球が大好き。
子供の頃から大リーグに入る事を夢見ている。


けれど彼の母親は、貧しい生活から抜け出す為、
彼が技師になる事を望み、
苦労してコロンビア大学に進学させる。
ルーも母の期待に応える為、
苦学しながら勉学に励む。


しかし、彼の野球の素質に気付いた
ニューヨークヤンキースは彼をスカウトし、
ルーは幼い頃からの夢だった、
大リーグ入りを果たす。


ただ、この事は母には内緒。
母は彼が、ハーバード大学に転学し、
勉強しているものだと思い込んでいた。
しかし、ヤンキースでめきめきと頭角を現し、
新聞に、その活躍ぶりが載るようになると、
もう隠す事は出来なくなる。


また、ルーは、
初めて代打で出場した際、
自分に野次を飛ばしてきた可愛い女・エレノア(テレサ・ライト)と
次第に愛し合うようになり、
結婚する。


公私共に、順風満帆であったが、
ある日、体の不調を感じるルー。
病院で検査の結果を聞いた所、
命はもう、そう長くないと聞かされる・・・。





大リーグの伝説のスター・ルー・ゲーリッグの生涯を、
ゲイリー・クーパーが演じた映画。
どんなものかと思っていたけれど、
これは拾い物。


スポーツ選手を扱ってはいるけれど、
決してスポ根ものではない。
ルーが野球の練習に励んでいるようなシーンは
一つもない。


それから、実在の人物の伝記ものによくある、
その人の人生の上っ面を辿っただけの、
大味な作品でもない。
何か、キラキラ光るような、素敵な映画だった。


まず、彼が大学に通っているものだとばかり思っていた母が、
ルーの活躍を新聞で知る場面が可笑しい。
母は普段、新聞など読まないのだが、
ある日、近所の人々が大挙押し掛けてきて、
無理矢理新聞を見せられる。
そこに載った息子の姿に仰天する様子に、
こちらが笑ってしまう。


母は球場に応援に行くようになるのだけれど、
最初の頃は、まだ完全には息子を認めていない。
それが、時が経つにつれて、
「技師より野球選手の方がいい」とか言い出す(笑)。
私が尊敬する北野武氏のお母さん、さきさんを思い出すような場面。


それから、ルーの夫ぶりが素晴らしい。
母は、ルーを深く愛するあまり、
新婚生活にまで、必要以上に口を出してくる。
まだ若いエレノアは、反論する事も出来ず、
人知れず泣いている。


するとそれに気付いたルーは、
きっぱりと母に注意する。
母の事を愛してはいても、
それと自分たちの生活は別問題だものね。
母だって、言ってもらって気付く事もあるし、
あとは息子の立ち回り方次第。
妻と母の間でオロオロする男も多い中、
彼は夫の鑑のような人だわ(笑)。


ルーが慰問した、
入院中の少年とのエピソードには涙が出た。
素晴らしい見せ場だった。


映画では、ルーの病名はハッキリとは分からないけれど、
ウィキペディアを読むと、
筋萎縮性側索硬化症と書かれている。
37歳で亡くなったそうだ。


美化されて描かれている部分もあるであろうが、
映画として素晴らしい。
ベーブ・ルースが、そのまま本人役で出演するなど、
他の所でも楽しめる。


評価 ★★★★☆

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