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「さよなら渓谷」 [映画]

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〔2013年/日本〕


ある渓谷の町で、
我が子を殺したとして、シングルマザーが逮捕され、
母親の自宅の前は、マスコミで連日ごった返している。


その隣の部屋で、どこか一目を避けるようにして暮らす、
一組の夫婦・大西信満と真木よう子。


母親の逮捕により、事件は解決したかに思えたが、
母親が、大西と不倫関係にあったと仄めかした事から、
彼は連行され、殺人教唆で取り調べを受ける。


真木は警察に電話をし、
2人に関係があった事は間違いないと証言。
大西の立場は不利になる。


雑誌記者・大森南朋は、
大西の過去を調べ始めるが、
衝撃的な事実が明らかとなる。


大西は大学時代、将来を嘱望された野球選手であったが、
部員4人で女子高生を凌辱した事で、
退学になっていたのだ。
しかも、その時の被害者が真木だと気付いた大森は・・・。





レイプ事件の被害者と加害者が夫婦になるという、
粗筋を事前に読んだ時は、
「んな馬鹿な」と思ったわけだが、
事件後、2人が辿った人生を順を追って見ると、
「この流れなら、ここに辿り着くかも」と思えてくる。
そもそも、この2人、夫婦ですらなかったわけだし。


被害者である真木よう子は、
事件後、地獄の苦しみを味わう。
あんな事がなかったら、
普通に暮らせていたのにと思うと、
憎んでも憎んでも、憎み足りないような犯人。


彼女は言う。
「私たちは、幸せになる為に一緒にいるんじゃない」、と。
悲しすぎる。


大西は真木のする事に、
決して怒ったりしない。
彼女がどんな理不尽な振る舞いをしても、
悲しそうに見つめるだけ。
そりゃそうだよね。
人ひとりの人生をめちゃくちゃにしたんだから、
お前に怒る資格はないよ。


でも、彼はまだ、罪の意識に苛まれているだけマシ。
他の犯人・新井浩文なんか、
キャバクラでその事を得意げに話したりしている。
虫唾が走る。
キャバ嬢たちもドン引きしているのに、
それに気付く事もできない馬鹿。


もし真木よう子と同じ目に遭った女の子がいたとして、
その子は、その出来事を、
恋人なり、婚約者なりに、話さなくちゃいけないのかな。
私は黙っていた方がいいと思うのだけれど。
それは隠しているのとは違う、
幸せになる為の処世だと、私は思う。
人は幸せになる権利があるのだもの。
いまどき、生娘で結婚する女なんて少数なんだから、
性体験の一つだったと開き直って。
もちろん、そんなに簡単な事ではないんだろうけど。


真木と大西の性行為の場面が何度があるんだけど、
その背徳な感じが大変にリアルだった。
愛し合ってる者同士がする行為ではないなと、
ハッキリと伝わる、その感じ。
監督さんの演出力が凄いのだろう。


映画としては優れていると思うのだけれど、
女の子が乱暴される話は、
どうしても心が拒否してしまうのでこの点数。


評価 ★★★☆☆

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