「星と嵐」 [映画]
〔1976年/日本〕
山に命を賭ける男・三浦友和。
もうすぐ大学卒業だというのに、
頭の中は登山の事だけ。
そんな彼を、父・ハナ肇は苦々しく思っており、
諍いが絶えない。
しかし、母・八千草薫と、姉・音無美紀子は、
三浦を見守っている。
父はベテランの消防士で、
非番の日でも、火事があれば飛び出してゆく。
母は、心配で心臓を悪くしていたが、
その事を父は知らず、
家では横暴な態度の父に、
三浦は、怒りを募らせるのだった。
ある日、母が倒れ、病院で急死してしまう。
父のせいだと罵った三浦は、
そのまま家を飛び出し、
大学を休学し、バイト生活をするようになる。
夏の海岸で働いていた三浦は、
海の家で働く少女・片平なぎさと語り合うようになる。
しかし、片平は地元のヤクザに絡まれ、
拉致された挙句、凌辱されてしまう。
彼女を助けられなかった三浦は・・・。
テーマがブレちゃってて、何だかよく分からない映画。
山が好きでたまらない三浦友和という設定なのに、
彼が山に登るシーンは、
最初の数分だけ。
その先も登山シーンがあるものだと思っていたのに、
それっきり(笑)。
その後は、ずっと、
彼の家庭内のゴタゴタが描かれ、
ホームドラマのようだ。
父との確執、
母の病気と死。
父の母に対する態度は、
観ているこちらがムカつくくらいの横暴さで。
で、三浦が家出してから、
また話の雰囲気がコロッと変わる。
一応、片平なぎさはこの映画のヒロインなんだろうけど、
出番も短く、
あれでは、ヤクザに乱暴される為に出てきたようなものだ。
(直接的な場面はないが)
まだ17歳の、デビュー間もない娘がこんな役、
片平さんの家族が観たら、
嫌な気持ちになりそうだ。
しかも、「来年の夏、また会える」と言っているから、
「そうか、2人は再会するのね」と思っていたら、
そのような気配さえないまま、映画は終わった。
彼女が出てきた意味って一体・・・。
ラストはもう一波乱あって、
やっと理解し合う、三浦とハナ肇。
父子問題だけ、大団円。
しかも、その時の三浦のセリフが振るってる。
彼は先輩から、夢だったアイガー北壁登山に誘われていたのに、
「俺、行くのやめようかな」だと。
やめるって、あんた、
山に命を賭けてたんじゃないの?と
小一時間聞いてみたくなったよ(笑)。
私は、初期の頃の三浦さんって、
百恵さんとだけ映画を作っていたのかと思っていたので、
片平さんとの共演に、ちょっと驚いた。
調べてみると、百恵さんとの映画の合間に、
この作品が撮られた事になる。
ホリプロとしては、
百恵さんに偏らず、新しい相手役を売り出そうとしていたのか。
評価 ★★★☆☆
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