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「脱出」 [映画]

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〔1972年/アメリカ〕


ジョン・ボイト、バート・レイノルズ、
ネッド・ビーティ、ロニー・コックスの4人の男たちが、
山奥の村までやって来る。


村はもうすぐダムの底に沈む運命。
特にレイノルズは、
自然を破壊する、そのような事態に怒り心頭の様子。
彼らの今回の目的は、激しい急流の美しい川が無くなってしまう前に、
カヌーで川下りをする事。


2人ずつに分かれて、
カヌーを漕ぎ出した彼らは、
1日目は順調に終える。
しかし、悪夢は翌日起こる。


休憩しようと、岸に上がったボイトとビーティが、
ライフルを持った地元のならず者2人組みに捕まったのだ。
ボイトは木に縛り付けられ、
ビーティは酷い目に遭わされる。


異変を感じたレイノルズが、
背後から男の1人を撃ち殺し、
何とか助かったが、
遺体の処理で意見が割れる。
コックスは、
「警察に届け出よう」と言うが、
レイノルズは、
「田舎の人間は全員が親戚。陪審員は全員、死んだ男の身内になる」と主張。
結局、多数決で遺体を埋める事にする・・・。





ネッド・ビーティが、
地元のならず者から受ける仕打ちに、
かなり驚いて、ショックを受ける。
これを観た方の殆どは、
他の細かい場面は忘れてしまったとしても、
その場面だけは、いつまでも強烈に覚えているんじゃないだろうか。


バート・レイノルズが、
その男を殺すわけなんだけど、
ロニー・コックスに言われるまで、
私の頭の中に、
「自首」なんて言葉が一つも浮かばなかった事に
自分で気付いて驚いた。


いつもなら、
「正当防衛なんだから、ちゃんと警察に説明して」と思う所なんだけど、
なんだか、殺された男があまりにも酷くて。
もうすぐ、そこら一帯がダムの底に沈むっていうのも、
頭の片隅にあるからだろうけど、
遺体をなんとか処分しなくちゃと、そればかり考えていた。


その後の展開に派手さはないけど、
夢中になって観てしまう。
追い詰められるような気持ちになる。
大げさなアクションや、銃撃戦がなくても、
映画は見せ方一つなんだなぁ、と思う。


地味な映画だけど、
きっと私は、このラストを忘れないと思う。
今後、「正当防衛」とか「完全犯罪」なんて事を見聞きする度に、
この映画を思い出すような気がする。


評価 ★★★★☆

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コメント 4

yonta*

「脱出」と聞くと、ハンフリー・ボガートとローレン・バコールの映画を
思い浮かべてしまうのですが、こちらも見ごたえがありそうですね。
自首するということが、思い浮かばないほどの
ひどい仕打ちは覚悟して見るとして・・・
青山さんが忘れないとおっしゃっる、ラストが気になりました(^^)
近いうちに観てみたいと思います。
by yonta* (2013-05-12 00:05) 

ミスカラス

この映画!淀川さんの日曜洋画劇場で、何度も放映されてその都度観ました。男の映画ですよ。心理面の描写が見事でして、観てる側も次第に追い詰められました。主演の個性派俳優!ジョン・ボイドも渋いです。コレクターとか、真夜中のカーボーイ・・そうそう晩年ではトム・クルーズのスパイ大作戦のリメイク版での悪役ぶりも見事でした。
バート・レイノルズって、肉体派役者で演技が余り上手くないのだけど、この映画では彼の違った面が見られて中々!役柄が光っていたなぁという記憶があります。
by ミスカラス (2013-05-12 06:26) 

青山実花

yonta*さん
コメントありがとうございます。

これは中々の掘り出し物だった気がします。
その「仕打ち」というのが、
おそらくは多くの方が嫌悪感を催すであろう事で、
映画の最後まで、
心に染みついて離れなくて・・・。

映画のラストと、
それに続く未来に考えさせられました。
色々お話したいけれど、
それは、いつか、yonta*さんがご覧になった時に^^

私はハンフリー・ボガートの「脱出」は未見です。
とても評価が高いようですね。
いつか観てみます。

by 青山実花 (2013-05-13 14:32) 

青山実花

ミスカラスさん
コメントありがとうございます。

なるほど、淀川先生の番組で放映されていましたか。
「男の映画」と言われて、よく考えてみましたら、
本当に、女性の登場は少ないですね。
男で始まり、男が事件を起こし、男で完結している。
納得です。

4人の俳優さんたち、誰もがキャラ立っていて良かったです。
ジョン・ボイトもバート・レイノルズも、
それぞれ役割があって。
一人自首を主張したロニー・コックスは知的な印象でしたし、
それから、ネッド・ビーティは、
これが映画初出演だそうですね。
初めての映画で、あんな可哀想な役・・・、
ちょっと気の毒でした。

by 青山実花 (2013-05-13 14:40) 

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