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「雨あがる」 [映画]

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〔1999年/日本〕


長雨で川が増水し、
安宿で足止めを食う人々。
三沢伊兵衛(寺尾聰)と妻・たよ(宮崎美子)も、
その仲間だ。


三沢は剣の達人でありながら、
そのお人よしで、優しすぎる性格から、
仕官になれず、
しかし、そんな夫を
たよは誇りにし、付いていこうと決めていた。


散歩に出た三沢は、
若侍たちの喧嘩に出くわし、
その剣の腕で止めるが、
その場面を藩主・永井和泉守重明(三船史郎)が目に止め、
城に招く。


三沢の剣の腕前に惚れこんだ永井は、
城の剣術指南番に彼を雇いたいと言い、
反対する一部の家老を納得させるため、
御前試合をする事になる。


ところが、三沢の相手をする剣士が間に合わず、
永井が手合せする事になる。
すると、試合に夢中になりすぎた三沢は、
永井を池に叩き込んでしまう。


永井はそんな事で怒るほど小さい人間ではなかったが・・・。





タイトル通り、大変に爽やかな時代劇。


山本周五郎の原作を元に、
黒澤明監督が脚本を書いた、
いわば遺稿を、映画化したのだそうだ。


寺尾聰演じる三沢伊兵衛は、
超が付くくらい、いい人なのだが、
なぜか、どこの藩に勤めても上手くいかず、
長続きしない。


しかし、その理由が次第に分かってくる。
彼は人に気を使い過ぎて、
丁寧すぎて、
かえって人から疎まれてしまうのだ。


例えば、永井を池に落としたあと、
三沢は、必要以上に永井に謝る。
永井は三沢の剣の腕や人柄に惚れ込んではいるけれど、
あまりに過剰に気を使われると、
かえって無礼に感じる、みたいな事を言う。


なるほど、人間って本当に難しい。
丁寧なら何でもいいというわけではなく、
何事にも程度というものがあるのだろう。
別に三沢は、
相手に気に入られようと、そうしているのではなく、
持って生まれた性格なのだろうから、
仕方ないのだけれど。


基本、いい人しか出てこない。
多少の邪魔は入るけれど、
悪人というほどではない。
とにかく安心して観ていられるし、
90分と短いので、
込み入ったエピソードもなく、ストレート。


最後に、
永井役の三船史郎さん。
彼は三船敏郎さんの実子だそうだけれど、
その演技にビックリで・・・。
プロの中に一人だけ素人がいるような・・・。
(ごめんなさい)
名俳優の息子が必ずしも演技が上手いという
わけではないと痛感した作品でもあった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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コメント 2

don

>彼は人に気を使い過ぎて、
 丁寧すぎて、帰って人から疎まれてしまうのだ。

あ~、わかります。
まじめすぎて、面白みがないという事でしょうか。

わりと身近にも、そういう人います。
酒飲むと、人格変わりますが^^




by don (2013-04-09 21:44) 

青山実花

donさん
コメントありがとうございます。

人間関係のさじ加減って難しいですね。
真面目すぎてもつまらないし、
いい加減なのはもっとイヤだし^^;

飲むと人格変わりますか。
真面目でいる事が、
実はストレスとか(笑)。

そういえば、昼間ウィキペディアで、
三船敏郎さんについてじっくり読んだ所、
「彼は誰もが認めるいい人で、
大スターなのに偉ぶらず、腰も低かった。
ただし、酒を飲んでいない時は」。
みたいな事が書いてありました。
世界のミフネもストレスが溜まっていたんでしょうか(笑)。

by 青山実花 (2013-04-09 23:35) 

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