「横道世之介」 [映画]
〔2013年/日本〕
長崎で生まれ育った横道世之介(高良健吾)は、
大学進学を機に上京し、
狭いアパートで暮らし始める。
入学式当日、
最初に話し掛けてきた同級生・倉持一平(池松壮亮)や
阿久津唯(朝倉あき)と親しくなり、
サンバサークルに入るハメになったり、
あるきっかけで知り合った年上の女・片瀬千春(伊藤歩)が
愛人と別れる際に、弟のフリをさせられたり、
それなりに楽しい学生生活の幕開けだ。
お人よしで、どこか図々しく、
誰からも好かれる世之介。
大学の友人・加藤雄介(綾野剛)と、
ダブルデートする事になった世之介は、
金持ちのお嬢様・与謝野祥子(吉高由里子)と知り合う。
祥子はなぜか世之介を気に入り、
よく会うようになる。
夏休みに帰省する際も、
なぜか祥子も実家にくる。
両親もビックリだ(笑)。
青春を謳歌する世之介と、
周囲の人々、
そして数十年後、彼らの姿が、
描き出される・・・。
ブログを始めて、
一番最初に書いた本のレビューが、
この「横道世之介」だったので、
とても強い印象で残っている。
読後、泣いたという事も記憶している。
とはいえ、内容は細部までは覚えていない。
そのレビューを読み返してみて笑った。
何と私は、
「人って、色んな事、大切な事、みんな忘れてしまうんだな。」
と書いているではないか。
「それって自分の事じゃん」と、
突っ込み入れたくなったよ(笑)。
本を読んだ当時は、
映画化されるとは思っていなかったわけだが、
スクリーンを観ていくうちに、
「あぁ、そうだった」と、
本の記憶が蘇る。
とってもいい奴な世之介。
彼を取り巻く人々も、またいい人たちで。
祥子役の吉高由里子が可笑しい。
金持ちすぎて、どこかズレている、その演技は、
多少、付け焼刃な感じもしないではないが、
なんだか笑わせられる。
全ての会話は、
「ごきげんよう」、「○○ですわ」で通されて、
運転手つきの車で現れ、
ファッションもお嬢様風だ。
庶民の世之介とは、暮らしぶりがまるで違うが、
そのような事はまるで気にする風でもなく、
天真爛漫に世之介の人生に入り込んでくる。
各人の十数年後の姿が描き出される場面で、
一番変わったのも祥子であろう。
人の人生は、どこへ転がってゆくか分からないものだなぁ。
とても良い作品だけれど、
160分と長いのが、ちょっと難。
それから、世之介が誰かと話す時、
いちいち聞き返して、
ポンポンと弾むような会話にならないのが、
気になる。
もしかしたら、原作がそうなのかもしれないし、
世之介の優柔不断な性格を表す為の、
演出なのかもしれないけど。
評価 ★★★☆☆
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