SSブログ

「映画に愛をこめて アメリカの夜」 [映画]

eiganiaiwokomete.jpg
〔1973年/フランス〕


ニースのオープンセットで撮影中の映画、
「パメラを紹介します」。


『婚約者・パメラを実家に連れ帰った青年だが、
 父親とパメラが愛し合うようになる』という悲劇的内容を、
俳優たちが演じている。


その日の撮影が終わると、
俳優たちは、素の自分に戻る。
皆、それぞれ問題を抱えているし、
喜びも悩みもある。


映画は、様々な出来事で中断し、
そしてまた、続けられる・・・。





ここでストーリーを詳しく書いても仕方がない。
映画の中で映画を撮る、
監督はフランソワ・トリュフォー自身が演じているという、
大変に面白く、
興味深い内容。


冒頭から、
なるほど、映画ってこうやって作られているんだと惹きつけられ、
巻き戻して観てしまう。
街頭のちょっとした場面でも、
通行人、バス、新聞売りなど、
すべてのカメラに映る人や物が綿密に計算された動きで、
1秒の遅れも許されない。


俳優たちの精神状態も、
撮影に大きく影響するから大変だ。
パメラを演じるジャクリーン・ビセットは、
神経衰弱を克服したばかりで、
到着が遅れている。


アルコール依存気味の姑役の女優はセリフが覚えられず、
壁に紙を貼る。
しかし、何度も何度も、同じ場所で失敗する。
なぜ出来ないのかと、
こちらがヤキモキするような箇所で引っ掛かる。


過去、恋人同士だった中年の俳優たちは、
再会を抱き合って喜ぶが、心中は複雑。
秘書役の女優は妊娠しており、
主役の俳優は、スクリプトの女の子と恋仲だが、
彼女がスタントマンといい仲になってしまい、
精神が不安定・・・。


他にも書ききれないくらいのエピソードが満載で、
撮影現場って、おそらく本当にこんななんだろうなと思わされて、
映画作りの大変さを思う。
監督も大変だし、演じるほうも大変だ。
私生活を辛さを隠し、
カメラの前に立たなくてはならない。


現場の隅っこで、
いつもヒステリックに編み物をしている中年女性がいるのが可笑しい。
彼女はスタッフの妻で、
乱れた映画界の内情が不安で、
夫を見張っているのだ。
俳優同士が関係したという噂を聞いて、
彼女のヒステリーは爆発する。
「やっぱりこの業界は、不潔な所なのだ」と。


車の運転シーンの撮影も面白かった。
普段、映画でよく観る光景だけれど、
前から撮影する時と、
後ろから撮影する時とでは、全然方法が違うし、
崖から墜落する場面の撮影も面白い。


映画作りの裏側を思い切り堪能できる。
これから、映画を観る目が変わりそう。


評価 ★★★★☆

nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 17

コメント 2

りんこう

これは大好きな映画です。音楽も素晴らしいですね。
ニースに旅行に行った時、この映画のロケに使われたホテルに泊まりましたよ。
by りんこう (2012-10-29 21:36) 

青山実花

りんこうさん
コメントありがとうございます。

これは珠玉の作品ですね。
映画作りの苦労や、
俳優さんたちの私生活の苦しみを知る事ができて、
自分もスタッフの一員になった気で観ていました。

ロケのホテルに泊まられたなんて、
羨ましいです。
とても綺麗でしたものね。

by 青山実花 (2012-10-29 23:56) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0