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「年上の女」 [映画]

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〔1959年/イギリス〕


イギリスの地方都市で、市役所勤務をする25歳の青年・ローレンス・ハーヴェイ。
彼は労働者階級の出身だったが、上昇志向が強く、
クールで打算的。
金持ちになりたい、今の生活から抜け出したいと、
その事で頭がいっぱいだった。


ある日、彼は、素人演劇を観に行った際、
脇役で出演していた若い女・ ヘザー・シアーズが、
町一番の金持ちで有力者のブラウン家の娘だと知る。


なんとかシアーズに近付こうとするハーヴェイだが、
彼女の父親は、そんなハーヴェイを警戒し、
彼女をフランス旅行へ送り出してしまう。


失意のハーヴェイは、
シアーズと同じ劇団で10歳年上の女・シモーヌ・シニョレに、
自分の気持ちを相談する。
2人は最初、姉と弟のような関係だったが、
シニョレが夫と上手くいっていない事を知った瞬間、
ハーヴェイの中で、なぜか強い同情心が湧き、
シニョレと深い関係になってしまう。


ところが、旅行から帰ってきたシアーズが、
ハーヴェイに恋心を抱いている事を知った彼は、
シアーズの清らかな体を手に入れる。


ハーヴェイはシニョレを愛し始めていたが、
シアーズの金と名声は抗いがたい。
2人の愛の間で逡巡するハーベイは・・・。





古い映画を観ていると、
別に狙ったわけではないのに、
つい最近観た、別の映画に出ていた俳優さんに遭遇し、
驚く事がある。


この映画もそう。
何も考えずに借りた作品なのに、
先日観た、「ロミオとジュリエット」のロミオ役の、
ローレンス・ハーヴェイが主役を演じていて驚いた。
「おぉ!ロミオがこんな所に」って(笑)。


けれど、同じローレンス・ハーヴェイでも、
イメージは全然違う。
まだ若く、情熱的だったロミオ役に対して、
こちらは冷徹で、感情を表に出さない男だ。


その上昇志向は何が原因なのかと聞きたくなるくらい、
彼は上しか目指していない。
市役所の職員に甘んじている人生なんて、
彼には考えられないようだ。


けれど、やっぱり俳優さんとは凄いものだね。
あれほど金や地位に拘っていた彼が、
シモーヌ・シニョレに本気で恋してしまった時の、
その表情は、
それまでとは全然違っていた。
愛を知った人特有の、柔和な顔になっていた。


シニョレの孤独感が心に沁みる。
彼女の夫が秘書と浮気をしており、
それは公然の秘密になっている。
しかし、生活力の無い彼女は、
それを責める事もできない。


やっと愛した男は10歳も年下で、
しかも、金持ちの娘と自分との間で迷っている。
自分は彼と一緒になりたいけれど、
そうすると、彼の夢は叶わなくなる。
もう、どうしていいのか分からない。


シニョレはこの映画で、
アカデミー賞主演女優賞や
カンヌ映画祭で女優賞を受賞しているそうだ。


評価 ★★★★☆

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