「甘い汗」 [映画]
〔1964年/日本〕
銀座シネパトスで観た。
バーの女給・京マチ子・36歳。
彼女は父親を亡くしてからずっと、
水商売で生計を立ててきた。
しかし美しかった彼女も、寄る年波には勝てず、
パトロンを紹介するという話に乗る。
古美術商・小沢栄太郎との見合いも上手くいき、
話が纏まりかけるが、
天涯孤独だという京の触れ込みが嘘だった事がバレ、
破談となる。
なんと京には17歳の娘・桑野みゆきがおり、
また、母親・弟・兄夫婦・その子供までが、
狭い都営住宅にごったがえす、
大変な暮らしぶりだった。
桑野の世話は母親に任せきりではあったが、
グレる事もなく、
明るい娘に成長していた。
京は、過去に本気で惚れた男・佐田啓二の為に、
泣いてすがる幼い桑野を振り切り、
駆け落ちしようとした過去があった。
しかし、どうしても子供を捨てられず、
佐田より子供を選んだのだ。
その佐田が、十数年ぶりに京を訪ねてきた。
久し振りの逢瀬にときめく京。
しかし、佐田にはある企みがあったのだ・・・。
なんだか今の季節にピッタリな映画。
タイトル通り、
京マチ子のグラマラスな体がいつも汗をかいていて、
それが妙に扇情的な印象を与える。
けれど内容は決して「甘く」はない。
京の暮らす都営住宅の様子が凄まじい。
襖で仕切られた二間の部屋に、
8人の家族がひしめきあって暮らしている。
見ているだけで、息が詰まりそうな、その空気感。
兄のお嫁さんなんか、
よく我慢しているなぁと思うよ。
しかも、である。
東京に出てきて、泊まりに来た、
兄嫁の兄というのが、
桑野みゆきにセクハラしようとするのだよ。
狭い部屋で、雑魚寝状態の中、
変な気を起こしたんだろうけど、
見ているこちらは、気持ちの悪さに胸が悪くなった。
未遂で終わったけれど、最低最悪。
京は、桑野が学校から預かってきた、
高価そうなテープレコーダーを、
ある悪事に利用しようと、勝手に持ち出す。
そこまで見ただけで、
レコーダーが無事に戻ることはない事は想像がつくが、
案の定そうなる。
学校で責められる桑野。
どんな時でも、一番可哀想なのは、
犠牲になる子どもだ。
京マチ子っていい。
こういった、うらぶれた役もハマるし、
平安時代の女の役もピッタリだし。
結構テレビドラマにも出てるのね。
現代のお母さん役なんかも見てみたいな。
評価 ★★★☆☆
1994年に、カリフォルニア大学バークレー校で、上映されました...
http://archive.bampfa.berkeley.edu/film/FN10352
by サンフランシスコ人 (2019-05-15 07:18)
サンフランシスコ人さん
コメントありがとうございます。
こんな映画がアメリカで上映されたとは
ビックリです。
by 青山実花 (2019-12-29 18:48)