「アフリカの女王」 [映画]
〔1951年/アメリカ・イギリス〕
1910年代。
アフリカのコンゴで、
兄と共に宣教師をしているキャサリン・ヘプバーン。
しかし彼女たちが住む村は、ドイツ軍に襲われ、焼き払われてしまう。
そのショックで兄は死ぬ。
ヘプバーンは、
オンボロ蒸気船、「アフリカの女王」で商売するカナダ人・ハンフリー・ボガートに
助けられるが、
川下の湖に停泊するドイツ軍の船に、
仕返しをしてやろうと言い出す。
彼女は、「手作りの魚雷で、ドイツの艦船を沈没させる」と言うのだが、
ボガートは、
「そんなお粗末な物で、敵をやっつけるの無理だし、
そもそも、こんなボロ船では湖まで辿り着けない」と反対する。
しかし、強気のヘプバーンに押し切られ、
「アフリカの女王」は出発する。
たった2人の、狭い船での川下り。
最初はギクシャクしたり、
喧嘩していた2人だったが、
次第に心が通い合い、
いつしか、愛し合うようになる。
途中、ドイツ軍のから攻撃を受け、
滝のような激流を越え、
蚊の大群に襲われ、
葦の生い茂る湿地で立ち往生し、と、
様々な困難が2人を襲うが・・・。
タイトル、「アフリカの女王」から、
キャサリン・ヘプバーンが、
女ターザンのように、
アフリカで君臨する話かと勝手に思っていたが、
全然違っていた(笑)。
全編、ほぼ川下りに終始し、
アフリカらしい、猛獣に襲われるなどのシーンは無い。
襲ってくるのは、
蚊の大群と、ボガートの体にくっつく蛭くらい(笑)。
(これは気持ち悪い)
シリアスなようで、結構コミカル。
しかも、ハンフリー・ボガートが、
今まで私が持っていたイメージをまるで違っていて驚いた。
彼の映画は5本くらいしか観ていないから、
知ったような事は言えないけれど、
「カサブランカ」とか「麗しのサブリナ」とか「マルタの鷹」なんかの、
オシャレで素敵な役しか知らなかったから。
この映画のボガートは、
ボロ蒸気船を操る、ただのオッサンで、
しかも、酒に酔って、キャサリン・ヘプバーンに暴言まで吐く。
「お前は魅力の無い嫁き遅れ」みたいな事を。
たしかにヘプバーンは、色気のある女ではないけれど、
それを言っちゃ身も蓋もない。
深く傷つくヘプバーンだけれど、
でも、負けてはおらず、ある仕返しをする。
こんな風に、ヘプバーンが強気なところが、
この映画の魅力なのだろう。
もし彼女が、へにゃへにゃの、色気だけの女だったら、
ボガートを助けながら、
様々な困難を乗り越える事は不可能だし、
そもそも、話が成立しない。
ボガートが、アカデミー賞主演男優賞まで取ったこの映画だけれど、
内情は大変だったらしい。
以前、このブログで、
クリント・イーストウッド主演の、「ホワイトハンター ブラックハート」について
書いた。
あれは、この映画の撮影中の出来事を映像化したものだそうだが、
本当に酷かった。
ジョン・ヒューストン監督がやる気ゼロで、
しかも、過酷なアフリカロケでセットはボロボロ。
調べてみると、やはり監督は、
アフリカを撮影地に選んだのは、
象狩りが目的だったらしく、
ヘプバーンは、そんな監督にかなり立腹したようで、
「アフリカの女王とわたし」という本まで出版したという事だ。
もし、この先、この「アフリカの女王」を観るかたがいらしたら、
間を空けずに、「ホワイトハンター~」も観ると、
より楽しめるのではないかと思う。
評価 ★★★☆☆
蚊の大群はたまらんですね。
蚊取り線香はないのでしょうか?
by don (2012-07-28 21:06)
ふたりだけで船の上にいるシーンが長いのに、
案外飽きずに、楽しんで観られますよね。
気の強いキャサリン・ヘプバーンは、
色気はなくても同性から見たら、とてもかわいいし、
ハードボイルドでも、お金持ちでもない、汚いオッサンの
ボガートも、けっこう好きです(^^)
ラストもハラハラしました。
以前、青山さんの「ホワイトハンター~」の記事を拝見して、
すごい公私混同だなあと・・しかも象狩りだなんて。
でも、そんな状況でも、おもしろい作品が撮れることもあるのだなあと、
びっくりしたのを思い出しました。
by yonta* (2012-07-29 00:46)
donさん
コメントありがとうございます。
蚊取り線香て(笑)。
すみません、笑ってしまいました。
蚊といっても、
辺りが暗くなるくらいの大群なので、
蚊取り線香はあっても、効かない気がします(笑)。
観ているだけで痒くなりそうな感じで、
マラリアが心配になりました。
by 青山実花 (2012-07-29 20:31)
yonta*さん
コメントありがとうございます。
本当、船上にいるだけなのに、全く飽きませんね。
流れる水って、時間を忘れてしまいます。
キャサリン・ヘプバーンは、
どんな映画も、あまり色気の無い役が多いですが、
なぜか可愛いですよね♪
大スターのオーラでしょうか。
ハンフリー・ボガートにはビックリでした(笑)。
どんな役でも出来るんですね。
こちらも、さすがの貫禄です。
>そんな状況でも、おもしろい作品が撮れることもあるのだなあと
私もまったく同じ事を思いました(笑)。
あんないい加減な仕事ぶりでも、
良作ができる事があるんだなぁって。
今度、「アフリカの女王とわたし」を読んでみますね。
ヘプバーンがどれほど怒っているのか、
確認したいと思います(笑)。
by 青山実花 (2012-07-29 20:33)