SSブログ

「福耳」 [映画]

fukumimi.jpg
〔2003年/日本〕


宮藤官九郎は29歳のフリーター。
今までに何度も転職し、
まともに働いた事のない、お世辞にも真っ当とは言い難い男。


彼は一目惚れした看護婦・高野志穂が働く、
老人向けマンションの中のレストランの面接を受け、
採用される。


ところが、バイト初日に、
亡くなったばかりのお爺さん・田中邦衛に気に入られ、
田中の魂が宮藤の中に入ってしまう。
田中は宮藤の福耳と、耳にあるホクロに
魅せられたのだ。


田中は現世に未練を残していた。
彼は同じマンションに住む、司葉子に惚れており、
告白しないまま死んだ。
美しい司は、
他にも、谷啓や坂上二郎にも惚れられ、
彼女を巡っての争いが絶えない。


マンションには、
元文部省の大臣で、今はゲイをカミングアウトした宝田明や、
宝田が片思いしている、元軍人・多々良純,
そして、宝田に片思いしている横山通乃、
一言も口をきかない99歳の千石規子など、
様々な人間が暮らしていた。


田中に憑りつかれた宮藤は、
なんとか体から、彼を追い出そうとするが、
宮藤の借金返済と、高野に近付く方法を伝授するという約束で、
田中は宮藤の中で存在し続ける。


田中は田中で、
宮藤の体を借りながら、
司と会話し、ダンスし、
ついにはホテルに行く所まで成功する。


田中の願いは叶うのか・・・。





田中邦衛が、宮藤官九郎に憑りついた当初は、
なんだかウザく感じたものだが、
2人の息が合ってゆくにつれ、
田中を好きになってゆくから、
映画って分からない。


自分に自信が持てず、
何をしてもヘタレで、
29歳までフリーターできてしまったという役を、
宮藤官九郎が演じると、
怖ろしいくらい、リアル。


けれど彼は、
田中と体を共有するうちに、
少しずつ自信をつけてゆく。
現実にはない事だけれど、
自分に自信の持てない若者が、
こんな風に何かをきっかけに、
元気になれたらいいのにと思う。


宝田明が、最高に良い!
元文部省のお役人が、今はゲイよ(笑)。
でも、とっても素敵で、
本当にゲイにしか見えない。
彼はゲイバーを経営しているのだけれど、
そこに、息子の嫁の父親が訪ねてくる。


息子は、父親がゲイという事を隠しているので、
宝田もその日はゲイを封印。
その展開は、「Mr.レディ Mr.マダム」を思い出すが、
マンションのみんなが客になりすまして、
協力してくれるのが、可愛くて微笑ましい。
とっても好きな場面。


司葉子を取り合うという、
老人らしからぬ元気な様子を見せていた、
坂上二郎さんと谷啓さんも、
もうこの世にはいない。
惜しい事です。


評価 ★★★☆☆

nice!(18)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 18

コメント 2

坊や

やくざ親分と介護福祉士の若者の人格が入れ替わってしまう、テレビドラマ ドンキホーテの面白かったことを思い出しました。 ストーリーは違いますが
楽しさの ツボ”は似ているところが有ると思います。 

Mr.レディ Mr.マダム」は大好きなコメディー映画です!!
by 坊や (2012-06-25 15:46) 

青山実花

坊やさん
コメントありがとうございます。

>テレビドラマ ドンキホーテ

なるほど、そのようなドラマがあったのですね。
一見、介護とは無縁そうな人が、
老人と接してゆくうちに変わってゆくというのが、
共通して面白い点なのでしょうね。

「Mr.レディ Mr.マダム」、
私も大好きです!
もう一度観たくなりました。

by 青山実花 (2012-06-26 20:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0