SSブログ

「フランケンシュタイン」 [映画]

Frankenstein.jpg
〔1931年/アメリカ〕


ある墓地で、真新しい棺が埋葬されようとしている。
そして、それを物陰から見つめる男がいる。


男は、遺族が帰ってしまった後、
墓を掘り起こし、棺をリヤカーに乗せ運び出す。


男の名はフランケンシュタイン博士(コリン・クライヴ)。
彼は死んだ人間の体の各部分を繋ぎ合わせ、
一人の人間を創造する実験にとり憑かれているのだ。


助手のフリッツ(ドワイト・フライ)は、
大学に忍び込み、人間の脳を盗み出す。
しかし彼は、自身のミスにより、
犯罪者の脳を持ち帰ってしまう。


ついに、人間は完成した。
あとは、命を吹き込むだけだ。
嵐の夜、雷の強い電力に当てられて、
モンスター(ボリス・カーロフ)は動き出した・・・。





このフランケンシュタインの物語は、
1818年に、メアリー・シェリーという女性が書いた
小説だそうだ。


今から200年も前に、
女性がこんな本を書くとは驚きだし、
遺体を繋ぎ合わせて、人間を作るというその発想も凄い。
フランケンシュタインというと、
作り出されたモンスターの名前がそれだと思われがちだが、
これは創造主の名前で、
モンスターには名前も付けてもらっていない。


ホラーにジャンル分けされるのであろう本作だが
作り出されたモンスターは、
可哀想すぎる。
怖いというより、悲しい。
勝手に作られ、
その醜い容貌から、人々に恐れられ、
暴れれば打たれ、縛られる。


あれほど執着していた実験なのに、
フランケン博士には、モンスターに対する愛情は、
欠片も感じられない。
なんて無責任なんだ。


しかも博士は、
暴れるモンスターを恩師に丸投げして、
自分は家に戻って、
のんきに結婚式を挙げようとする。
この一大事に、そんな事してる場合かって。


逃げ出したモンスターが、
湖に辿り着くのは有名な場面だ。
「ミツバチのささやき」の中でも使われるその場面は、
美しさと同時に、
どうしようもない悲しみをたたえている、
名シーンといえる。


評価 ★★★★☆

nice!(16)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 16

コメント 6

原みつる

このフランケンシュタインは観た事ないです。
コッポラのフランケンシュタインは観たんですけどね~
by 原みつる (2012-06-08 20:02) 

yonta*

ほんとうに、この作品とか「キングコング」は、
人間が悪いですよね。彼らはちっとも悪くない。
「フランケンシュタインの花嫁」もかわいそうですが、
こちらの方がつらいです。
青山さんがおっしゃるように、悲しい、という表現が
一番合っている気がします。

でも、続編やリメイク・・たくさんあるみたいですし、
(1910年の作品とか、すごく気になります)
他も観てみたいなと思ってます。
このあいだ、「ブライド」も観たし・・^^;
by yonta* (2012-06-08 20:33) 

水上耕助

今から200年も前に女性がこんな小説を書いたと知れると色々言われかねないので、当初の出版時は匿名だったそうです。
小説だとより怪物の悲哀がクローズアップされた内容なので、個人的には何本もある映画より小説のほうが好きです。
by 水上耕助 (2012-06-09 00:11) 

青山実花

原みつるさん
コメントありがとうございます

80年以上も前の映画なので、
中々観る機会もありませんよね。
コッポラの「フランケンシュタイン」も、
モンスターが可哀相でしたが、
こちらも同様です。
もしいつか、機会がございましたら、
ご覧になってみて下さいね。
by 青山実花 (2012-06-09 17:24) 

青山実花

yonta*さん
コメントありがとうございます。

まずはyonta*さんにお礼を言わなくてはなりません。
この作品の事を教えて下さってありがとうございます。
「ブライド」を観る前に、観て良かったです。

「フランケンシュタイン」にしても、
「キングコング」にしても、
「ジュラシックパーク」にしても、
人間って勝手だなぁと思いますね。
動物だけでなく、
ニュースでよくある、子供への虐待なども、
同じ気持ちになります。
自分の意志で作ったんだから、責任持ちなよ!と。

そうなんですよね、
映画って一つ観ると、
そのシリーズや、他の監督さんの作品も、
とっても観たくなるんです。
「ブライド」楽しみです。

by 青山実花 (2012-06-09 17:33) 

青山実花

水上耕助さん
コメントありがとうございます。

原作を読まれているのですね。
やはり映画より、小説の方が味わい深いですか。
この作品はともかく、
他にも数あるフランケン映画の中には、
必要以上にモンスターを不気味に描いてある作品も
あるようですね。
切なくなります。

本当に、このような小説を女性が書いたと知れたら、
200年前なら、何を言われるか分かりませんね。
匿名にするのも分かる気がします。

by 青山実花 (2012-06-09 17:45) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0