「メアリー＆マックス」

〔2009年/オーストラリア〕


オーストラリアに住む、8歳の少女・メアリーは、
ちょっと肥満気味で、
おでこのあざを気に病む、孤独な少女。
お父さんもお母さんも、理想的な親像とはかけ離れている。


ある時、彼女は、アメリカに住む誰かと文通しようと思い付き、
電話帳で無差別に選んだ人に手紙を送る。
その相手は、ニューヨークに住む44歳のマックス。
そこから2人のやり取りが始まる。


以来、文通は、20年も続けられるが、
その間には、実に様々な出来事がある。


マックスも、人付き合いが上手くできずに悩んでいたが、
それは、ある病気が原因だと判明する。


メアリーも、
小さな少女から、
年頃の女性へと成長し、進学し、恋もする。


文通を続ける2人はどうなってゆくのか・・・。





アニメだから子供向けかなと決めてかかると、
大変な事になる。
むしろ、子供に観せられないシーンが多々ある。
人生を知った大人だからこそ堪能できる、
珠玉の作品。


矛盾しているようだけれど、
全体のトーンは暗く、そしてあたたかい。
メアリーもマックスも、
様々な悩みを抱え、日々が楽しいとは、
冗談でも言えない雰囲気。


マックスは、文通が始まった時、
既に大人だったので、
それほどの変化はないが、
メアリーの8歳からの20年は大きい。


一度は人並みの幸せを手に入れたかに思えたメアリーだけど、
その後、悲しい出来事がある。
さらに彼女は、マックスを怒らせてしまい、
関係修復は不可能かと思われ、
どん底の精神状態に陥る。


もう駄目だ、と限界まで思い詰めた時、
「君を許す」との、マックスからのメッセージが届く。
そして、その間ずっと、
「ケセラセラ」の歌がかかるのだが、
それが大変に心に沁みる。


「♪なるようになるさ　先の事など分からない♪」
あらためて聞いてみて、
素晴らしい歌だと再認識。
（この映画とは関係ないけれど、
ヒッチコックの「知りすぎていた男」では、
このケセラセラが実に効果的に使われている。
必見です）。


そうだ、人生、なるようにしかならない。
捨てる神あれば、拾う神あり。
全体に暗いお話しだけれど、
どこかに希望の光が見える。


評価　★★★★☆

コメント 6

「♪なるようになるさ　先の事など分からない♪」

気持ちが軽～～くなりますね。「今」が大事ですね。

・・・これから一人で映画を観にいきます。

実花さんのブログを参考に・・・。（*^_^*）えへへ♪



by レモン (2012-05-09 13:38) 

これにはホントに泣かされました。
劇場で号泣してたおじさんは、オイラです（＾皿＾;）
by 堀越ヨッシー (2012-05-09 22:55) 

R指定じゃないけれど、「おとなになったら、わかるからね」
というようなシールとかDVDに貼ったらいいかもしれないですね（笑）。
子どもが観たら、受け止められないんじゃないかって心配です・・

でも、暗いし、つらいし、なかなか幸せになれないのに、
なぜか、あたたかいんですよね。
メアリーどん底のケセラセラは、ほんとにしみました。
「知りすぎていた男」も今度観てみたいと思います(^^)

そういえばマックスの、
「時間を守れないのに、どうしてバスの時刻表を作るのか」
というのに、とても共感したのを思い出しました（笑）。
by yonta* (2012-05-10 01:15) 

レモンさん
コメントありがとうございます

>気持ちが軽～～くなりますね。「今」が大事ですね。

本当にそうですね。
あらためてyoutubeでケセラセラを探して、
何度も聞いてしまいました。

>これから一人で映画を観にいきます。

映画は、一人でも観ても良し、家族や友達と一緒でも良し、
臨機応変に楽しめる娯楽ですよね。
私のブログが参考になるかどうかは、
ちょっと不安ですが(笑)、
沢山楽しんで下さいね。

by 青山実花 (2012-05-10 22:11) 

堀越ヨッシーさん
コメントありがとうございます。

劇場で観たら、DVD以上の感動があったのでしょうね。
羨ましいです。
by 青山実花 (2012-05-10 22:12) 

yonta*さん
コメントありがとうございます。

本当に、yonta*さんがブログでこの映画をご紹介されなければ、
観ないで一生が終わっていたと思います。
本当に感謝しています。
ありがとうございました。

本当ですね、R指定とはまた別に、
「子供向け、でも、子供向けじゃない」みたいな
指定があるといいですね(笑)。

>「知りすぎていた男」も今度観てみたいと思います(^^)

お会いした事もないのに、失礼かもしれませんが、
「知りすぎていた男」は、
yonta*が観られたら、とてもお気に入られる作品ではないかと
勝手に想像しています。
もしお時間がありましたら、ぜひご覧になってみて下さいね。

本当にマックスは、病気ではあるけれども、
実に色々な事を考えている、
頭の良い人ですよね。
人の表情は読み取れないけれど、
読み取ろうという工夫も素晴らしい。
バスの時刻表への疑問も、
彼らしくていいですね。

by 青山実花 (2012-05-10 22:37)