「越後つついし親不知」 [映画]
〔1964年/日本〕
昭和12年。
越後の寒村から、京都の造り酒屋に出稼ぎに来ている、
小沢昭一と三國連太郎。
ある日、三國は、“母危篤”との電報を受け取り、
故郷に帰る。
実家への雪道を歩いていると、
自分の前に、小沢の妻・佐久間良子が歩いている事に気付く。
以前から、冴えない小沢にしては、
佐久間は勿体無いほど美しい嫁だと、
村人からも噂されており、
三國は、彼女の姿に欲情し、
周囲に誰もいないのをよい事に、手篭めにしてしまう。
誰にも言えぬ秘密を抱えてしまった佐久間だが、
三國はふてぶてしくも、人に言わなければ分からないなどと、
たわけた事を言う。
数ヶ月のち、佐久間は妊娠に気付く。
村人たちは、小沢が出稼ぎに行く前にできた子だろうと、
祝福してくれるが、
産婆の診察を受けた佐久間は、
腹の子の大きさからして、
三國の子に間違いないと知る。
小沢も佐久間の妊娠を喜ぶが、
たまたま訪ねた産婆から、
佐久間の産み月を知り、
自分の子でないと気付く。
佐久間に激しく詰め寄る小沢は・・・。
以前観た、若尾文子さんの、
「越前竹人形」にも少し似ているが、
その後の展開は全然違う。
原作は、「越前~」と同じ水上勉。
三國連太郎の非道ぶりには、
気分が悪くなる。
真面目で働き者の小沢昭一に対して、
三國はいつも、ズルそうな目をして、
周囲を眺めている。
小沢が、その働きを認められて、
表彰された時も、
美しい嫁がいる事も、
嫉妬はするが、自分の能力ではどうする事もできない。
だから佐久間良子を手篭めにするくらいしか出来る事のない、
最低の男である。
しかも、京都に戻った三國は、
小沢に、「佐久間が浮気している」などと、
嘘の報告をして、
小沢を苦しめる。
小沢と佐久間は、
見た目には不釣合いだが、
幸せな夫婦であった。
村の女性たちは、手作業をしながら、
佐久間の妊娠をからかうが、
その内容は微笑ましく、
佐久間が皆から好かれているのが分かる。
三國の子でなければ、
これほどの喜びはなかったのに。
その後の小沢の行動は、
大変に悲しい。
しかし、そうするしかないような終わり方であった。
評価 ★★★☆☆
日本の古い映画って、男女の関係には品行方正な作品が
圧倒的に多いのだろうと思っていましたが、
青山さんの書かれた感想から、そうじゃない映画も沢山あるなあと
教えていただいてます。
三國連太郎さんは、釣りバカの時に台本に書き込みを
いっぱいされてた、というのを聞いたことがあります。
(おそらく演じ方を細かく書かれてたのでは?ということでした)
この時も、非道な男の演じ方を台本に書かれてたのかしら・・
と勝手に想像する私(笑)。
佐久間良子さんも、日銀からお断りされそうな美しさですね。
by yonta* (2012-04-29 09:33)
yonta*さん
コメントありがとうございます。
私も、古い映画を観る前は、
昔の男女はもっと貞操観念が強いものだと思っていましたが、
とんでもなかったです(笑)。
逆に、規制も少なかったのでしょうか、
今では考えられない表現や、言葉が見られる作品が、
沢山ありますね。
どちらの作品も、偏る事なく観ていきたいと思っているのですが。
>台本に書き込みをいっぱいされてた
ほぉー。
やはり、いつまでも第一線で活躍される方は、
それなりに理由があるのですね。
そうですね、きっとこの映画の時も、
最低の男をどうやって演じるか、
研究されておられたのかもしれませんね。
本当にこの映画の佐久間さんは、まだ若く、美しく、
雪国に嫁いできた女の役がハマっていました。
当然、日銀の試験は不合格でしょうねぇ。。。(笑)。
by 青山実花 (2012-05-01 22:49)