「季節の中で」 [映画]
〔1999年/ベトナム〕
ベトナム・ホーチミン。
広大な池で栽培されている蓮の花を摘んで、
街で売り歩く仕事に雇われた娘。
ある日彼女は、池の持ち主に、屋敷に来るように言われる。
持ち主は、ハンセン病で苦しんでいたが、
娘の歌声に心打たれたのだ。
娘は口述筆記で、彼の詩を書き留めるようになる。
街を流すシクロの運転手。
彼は、あるきっかけで一人の娼婦と知り合う。
いつか必ず金持ちと一緒になって、
今の生活から抜け出すと言う娼婦を愛した運転手は、
まるで彼女の専属のように、送り迎えを繰り返す。
観光客に雑貨を売る事で、
何とか生きているまだ幼い、浮浪児の少年。
ベトナム女性との間にできた娘を探しに、
アメリカからやってきた男・ハーヴェイ・カイテル。
しかし娘は中々見つからない。
ある日、彼は、前述の浮浪児と知り合い、
酒場でビールを飲ませるが、
浮浪児の命とも言えるトランクが無くなってしまい、
カイテルが盗んだと疑いをかけられる・・・。
行った事のないベトナムなのに、
画面から濃厚な街の匂いが漂ってきそう。
オールベトナムロケのせいもあろうが、
そこで暮らす人々の様子がとてもリアルで、
ハーヴェイ・カイテル以外は、
皆、貧しく、
生きる為になんとか働いている。
画面がとても綺麗。
小さな物語の積み重ねなので、
様々な街の様子が見られて、
それらの全てが詩的。
たとえそれが、バラックであっても。
浮浪児の少年の、商売道具が詰まった小さなトランクが
無くなった場面は、
観ていて本当に辛かった。
私も少年同様、カイテルが盗んだと思ったので、
「金を持ってるアメリカ人がなんでそんな酷い事を」と、
憤りを覚えた。
しかし、真相はあとから分かるのだが。
娼婦の女の子も悲しい。
いつか必ず金持ちを捕まえられるはずだと、
毎日のように客を取るが、
やっぱり客は彼女の娼婦だとしか思っていない。
シクロの運転手は、そんな彼女を見守り続け、
ついに、彼女を買うだけの金を手に入れる。
しかし、ホテルに入った後は、
何もせずに、彼女の寝顔を見つめる。
そういえば、運転手仲間が、
とても面白い事を言っていた。
「5つ星ホテルがなんだってんだ。
俺の家は1000星だぞ。
屋根がないからな(笑)」って。
貧しさも、そんな風に笑い飛ばしてしまえば、
どうってことない。
ラストは、登場人物が、
それなりに幸せな気分になるようになっている。
おそらくは明日からも、今日と同じような日々であろうとも。
評価 ★★★★☆
トランクの行方が 気になります。
みんな一生懸命に生きているんでしょうね。(^_^)
by レモン (2012-04-21 07:26)
僕も行ったこと無いのですが、生きる貪欲な力強さをベトナムの町と人々に
感じます。日本人の原風景がどこか潜んでいるみたい。
田んぼ、小屋がある農村の景色も日本の田舎と似ています。
画面の美しい映画なのですねー。
つつがなく昨日今日を過ごしていられる事に感謝しつつ、
この映画を是非観たくなりました!
by 小太郎 (2012-04-21 20:40)
レモンさん
コメントありがとうございます。
私も最後までとても気になりながら観ていました。
子供が悲しい思いをするのを観ているのは、
こちらも本当に辛いですよね。
本当に一生懸命ですね。
私もそんな気持ちを見習わなくてはならないのかもしれません。
by 青山実花 (2012-04-21 23:01)
小太郎さん
コメントありがとうございます。
確かに、ベトナムと日本は、
どこか似ているのかもしれませんね。
戦争で苦しんだという点でも同じですし、
顔立ちも、日本人をちょっと濃くした感じで、
親近感が湧きます(笑)。
本当に、
日々、美味しい物を食べたり、
趣味に時間やお金を使える事を、もっと感謝しなくてはならないと
思わせられました。
もし機会がありましたら、ご覧になってみて下さいね。
by 青山実花 (2012-04-21 23:06)