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「夜の素顔」 [映画]

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〔1958年/日本〕


新文芸坐の現在のテーマは、
「映画監督『匠の技』Vol. 2 大映東京編」。
ポスターの左下は川口浩様♪
この映画には出てないけど(笑)。

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終戦直後の混乱期。
日本舞踊の大家・細川ちか子の家に、
見知らぬ女・京マチ子が尋ねてくる。
こんな時代に弟子は取らないと言う細川だったが、
京はしつこく粘り、無理に弟子入りする。


数年後、細川の弟子は50人を越え、栄えていたが、
これは京の力に因る所が大きかった。
彼女は細川の家を盛り立てる為なら、
男に体を許す事も厭わず、
細川の一番弟子として君臨していた。


ところが、京が細川のパトロンを寝取った事から、
細川が激怒、京は破門となる。
京はパトロンに金を出してもらい、
新しく日本舞踊の家を立ち上げ、
金持ち令嬢を多数集める。


家が軌道に乗り始めた頃、
京は、戦時中、慰問に行っていた際出会った、
根上淳とヨリが戻り、
パトロンと別れ結婚。
しかし根上淳が、日本舞踊などという古臭いものでなく、
これからは自分のプロデュースで、
もっと新しいものをと言い出した事から、
運命に翳りが見え始める。


さらに、一番信頼していた弟子・若尾文子と根上淳が
出来上がってしまい・・・。





若尾文子さんが好きで、
彼女の未見の映画が劇場に掛かった時は、
なるべく観たいと思っているのだが、
この映画は、京マチ子の独壇場であった。


とにかく、彼女から発せられる妖気に当てられる。
そう見えるように、撮影されているという事もあろうが、
自分がのし上がってゆく為なら、
嘘でも、泣き真似でも、仮病でも、
何でも使う、その強かさが凄い。


しかし、その強さの原因が、
次第に分かってくる。
彼女は過去を隠しているが、
ある日、大阪弁を話す崩れた女が、
金をせびりにやって来て、
大変な口喧嘩となる。
その時の京の言葉遣いが、
今まで聞いた事もないような汚いもので、
その内容からも、彼女の育ちが想像でき、
聞いていた者たちは驚く。


いいなぁ、こういう映画大好き。
自分は平凡に生きたいけれど、
映画の中くらい、
自分が体験できない世界を見てみたい。


それに、人間関係はドロドロでも、
みんな大人だし、
1人が集中的にいじめられたりしているわけじゃない。
それぞれが自分の損得勘定と責任において行動している。
嫌な気持ちにならない一番の理由は
そこにあると思う。


それにしても、
結婚した夫が、
芸の事など何も知らないくせに出しゃばってきた事から、
周囲と上手くいかなくなるって、
今話題になっている、
演歌歌手とちょっとイメージが重なって、
なんだか可笑しかった。


評価 ★★★★☆

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