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「拝啓総理大臣様」 [映画]

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〔1964年/日〕


大阪の漫才師・鶴松師匠が亡くなり、
葬儀に駆けつけた弟子の鶴川角丸(渥美清)。
漫才を辞めていた角丸だったが、
師匠の死を機会に、もう一度舞台に上がる事を決める。


東京に出てきた角丸は、
かつてのコンビ相手、東京ムーラン(長門裕之)の
住まいを訪ねる。
しかし、今やムーランは、ルージュ(横山道代)との夫婦漫才で、
大スターとなっており、
角丸の相手をしてはいられなかった。


東京へ出てくる電車の中で隣り合わせた、
日本人と黒人とのハーフ・村瀬アヤ子(壷井文子)と、
偶然再会した角丸は、
彼女と組んでヘルスセンターで漫才を始める。


一方、ムーランは浮気癖が原因で、
ルージュに愛想を尽かされ、離婚は時間の問題。
ムーランは角丸に、
もう一度自分と組まないかと持ち掛ける・・・。





先日観た、「拝啓天皇陛下様」のシリーズだが、
あちらが、軍隊を舞台にした作品に対して、
こちらは、戦後から随分時間が経ち、
国民がテレビを楽しむようになった、
そんな時代の物語。


話は、
角丸の人生と、アヤ子の人生の2本立てで描かれ、
ちょっと散漫な印象を受けるが、
つまらなくはない。
特に、アヤ子の人生は、
考えさせられるものがある。


彼女は、日本人と黒人とのハーフで、
どこにいても、
「黒んぼ黒んぼ」と囃し立てられ、
「なにさ、黄色んぼ」と言い返す。
舞台に立てば、「服を脱げ」などと野次を飛ばされ、
お客に殴りかかる。


終戦から19年後の、この映画。
おそらく、世間には、彼女のような、
戦争の落とし子ともいえるようなかたが、
沢山おられただろうし、
人々から受ける迫害も、同じようなものだっただろう。


しかし、アヤ子は挫けない。
グレる事もなく、ひねくれる事もなく、
自分の運命を受け入れているように見える。
「生まれた時から、黒い黒いと言われてきて慣れてるから」と、
達観したように言う、
物凄く性格の良い子だ。
とても可愛い。


彼女を見ていると、
映画、「キクとイサム」(大傑作!)を思い出す。
キクが大人になったら、
アヤ子のような感じかな、と思いながら観る。


なんだか、話の本筋より、
アヤ子の人生が気になってしまった私。
演じていた壷井文子さんは、
今はどうしておられるのだろう。
映画はこれ1本しか出ていないようだけれど。


評価 ★★★☆☆

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