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「潮騒」 [映画]

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〔1964年/日本〕


伊勢湾に浮かぶ小さな島・歌島。
島民の殆どは漁師と海女を生業として暮らしている。


漁師の1人、新治(浜田光夫)は、
ある日、浜で船の引き上げを手伝っている、
若い娘・初江(吉永小百合)に出会い、その愛らしさに心惹かれる。
初江は、村一番の船主・照吉(石山健二郎)の娘で、
幼い頃、養女に出されていたのだが、
今回、親元に戻ってきた為、
新治とは初対面だった。


初江を忘れられなくなった新治の様子に気付いた母・とみ(清川虹子)は、
身分が違うと、
厳しく新治に言い含める。
初江は、東京の大学を出た安夫(平田大三郎)との
結婚が決まっていると聞いた新治はショックを受ける。


ある日、新治は丘の上にある、
日本軍施設だった、小さな建物で偶然初江に会う。
今度、嵐で漁が休みになった時、
ここで会おうと約束した2人は、
それを実行し、急速に親しくなってゆく。


しかし、新治に思いを寄せる娘・千代子(松尾嘉代)が、
それを目撃し、
安夫に告げたせいで、
2人は一線を越えたとのあらぬ噂が、
狭い島中に瞬く間に広がってしまう。


噂を耳にした、照吉は怒り狂い、
初江は外出もままならなくなる。


しかし、暴風雨の晩、
照吉の船が沖に流れてしまい、
誰もが腰が引ける中、
新治が海に飛び込み、
船を救う為に泳ぎ出した・・・。





三島由紀夫原作の、この「潮騒」は、
小学生の時に読んだ気がするのだが、
(児童向け文学全集に入っていたような)
こんなに良い話だったとは、
当時は全然気付かんかった。
何を読んでいたんだろう、自分(笑)。


映画化されると、
決まって、日本軍施設での、
半裸の初江と新治のシーンばかりが話題になったようだが、
初めて観てみても、
それは、雨に濡れた服を乾かす為だけの、
とても可愛らしい場面で、
劣情を催すようなものではなかった。
アイドル女優が脱ぐのか、脱がないのかに、
注目が集まったのであろうか。


そんな場面ばかりに気を取られているのは勿体無い。
主役の2人も可愛くて、いいけど、
とみ役の清川虹子の演技が大変に良い。
息子が、高嶺の花とも言える、
島のお大尽の娘に恋をしていると気付いた彼女は、
キッパリと、諦めるように言い渡すが、
そこには母の愛と、そして悲しみに溢れている。


しかし、2人が本気で愛し合うようになると、
照吉の家に行き、
玄関先で物申す。
その女傑っぷりが、とにかくカッコいい。


とみと親しい、海女さんのリーダー各の女性は、
そんなとみの気持ちを慮り、
初江と新治の間に、
まだ男女関係がない事を証明しようとしてくれる。


浜で海女たちの胸を品評し、
「生娘の胸ってのは、こういうのを言うのよ」と、
初江を指して、皆の前で宣言する。
女同士の友情もいいものだなと思わせてくれる。


新治が、照吉の船の為に、
海に飛び込む場面も好き。
威張りくさっていた照吉は、新治の行動に声も出せずにいる。
なんともスッキリした場面であった。


評価 ★★★☆☆

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