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「心中天網島」 [映画]

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〔1969年/日本〕


江戸時代の大阪。
紙屋の主人・治兵衛(中村吉右衛門)は、
妻子ある身でありながら、
遊女・小春(岩下志麻)と激しい恋に落ち、
心中の約束を取り交わすようにまでなってしまう。


遊郭の中でも飛び抜けて美しい小春を狙う男も多く、
成金の太兵衛(小松方正)もその1人だった。
太兵衛は金の無い治兵衛を馬鹿にし、
自分が先に金を積んで、小春を身請けすると息巻いている。


治兵衛を案じた、彼の兄・孫右衛門(滝田裕介)は、
武士に扮装し、小春を買うフリをしながら彼女の本心を聞き出す。
すると彼女は、
「治兵衛を心中する気など毛頭ない、彼は客の一人だ」と言い放つ。


その会話を窓から聞いていた治兵衛は、
大変なショックを受け、
2人が今まで交わしていた、大切な恋文の束を投げつけ、
目が覚めた思いで家に帰る。


数日後、治兵衛が帰ってきた家は、
やっと落ち着きを取り戻し、
妻のおさん(岩下志麻・二役)は安堵する。


ところが、小春が太兵衛に身請けされるとの噂が入り、
なぜか驚くおさん。
実は、小春は治兵衛を捨てたわけではなく、
おさんに頼まれて、泣く泣く彼を家庭に帰したのだ。
このままでは小春は1人自死してしまう。
心優しいおさんは、憎い小春の身を案じ、
治兵衛を彼女の元に行かせようとする・・・。





近松門左衛門の心中物の映画化。
同じ近松の心中物では、
以前に、「曽根崎心中」を観た。
あちらも傑作だったが、こちらも同じくらい面白い。
やっぱり後世に残る作品には、
理由があるのねと思う。


江戸時代の心中物と聞いて、
一見、取っ付きにくい感じがするが、
そのような事は無く、
ストーリーは至極単純。
しかし何故か物凄く面白くて見入ってしまう。


歌舞伎のような映像で、
黒子が俳優さんの衣装を変えたり、
セットを変えたりするのも面白い。
近松門左衛門は歌舞伎の作家だったようで、
そういう意味でも、
そういった演出が合っているのかもしれない。


セリフ回しも、大変に大仰。
「曽根崎心中」でも、その独特のセリフまわしに驚いたが、
あちらほどではないにしても、
やっぱり独特。


治兵衛と小春の墓場でラブシーンがあるのだが、
それが、時代劇とは思えないくらい濃厚で、
そして長い!(笑)
家族や、付き合いの浅い恋人とは観ない方がいいかも(笑)。
この映画、監督は篠田正浩さん。
つまり岩下志麻の旦那さんなんだよね。
自分の妻をこんな風に映画に撮るって、
どんな気持ちなんだろうかと、
そんな事を考えてしまった、アホな私(笑)。


評価 ★★★★☆

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